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「そんなに西島秀俊のこと好きだったの?」「いやそういう問題じゃないんですよ」

「そういえば『そんなに西島秀俊のこと好きだったの?』って聞かれて」
「……そういうことじゃないんだよね、わかるよ」
「『別にその人と結婚してなかったところでお前に可能性があったわけじゃないよ!?』って言われてもそれはわかっていてね」
「そういうことじゃないんだよね」
「1対1関係を求めてるわけじゃなくて」
「うんうん」
「どういうこと?“イケメンはみんなのもの”ってこと?」
「いや、なんかそれも違う……」
「誰かのものになって悔しい!とかでもないよね」
「そうそう」
「難しい」
「だって素敵な男性じゃないですか恋人がいて然りじゃないですかっていうかどう考えてもモテるでしょ」
「はい」
「だから別にそれでショックとかじゃないわけ」
「なるほど」
「じゃあ何かっていうと身も蓋もないこと言うけど、」
「うむ」
「“結婚しない”と“結婚できない”の差は大きいなってことです」
「大きいね」
「えっよくわかんない」
「つまり40歳を結婚していらっしゃらなかったのは『してなかった』ってだけで、いつでもその選択肢はとれたわけだなって……」
「当然薄々わかってることだけど、改めてその事実を突きつけられると、あ、むしろ今までこっちが勝手に、いろいろすみませんでした、って気分に」
「同じ“独身”でもまったくフィールド違うってことに気づくよね」
「ステータス同じだけでパラメータまったく違うからね」
「Bボタンで進化止めてただけだったわ」
「いきなり何?Bボタン?」
「で、そんなの元から知ってるんだよね」
「知ってるから改めてまた、こう」
「わかったようなわからないような」
「あとはまぁやっぱり“一般女性”の引きがすごすぎる」
「24歳からお付き合いして27歳で結婚、のリアルさ」
「相手が西島秀俊じゃなければ山ほどあるパターンですね」
「ほぼ空想上の手が届かない年を重ねてもかっこいい人 と 少なくとも年齢だけはそれなりに近いOLしてた“一般女性”、の組み合わせの絶妙さに二重に人生を考えさせられる」
「“一般女性”、こんなに私たちから近くて遠い肩書きが他にあるだろうか」
「年下と結婚するなんて!キー!とかでもないし、もしかしたら私にもチャンスがなんてそんな夢みたいなこと考えてるわけもなくてね……なんだろうね…」
「本気の絶望とかじゃなくてこういう芸っていうか、現実知ってるからこその集団共有ショック芸っていうか」
「むしろ絶望してる対象は多分、自分の現在と未来…だよね…」
「“人生のネクストステージにログインできる一般女性”にも“選択肢を持つ40代独身”にもなれなそうってことね」
「つら」
「“20代独身一般女性”の行く先」
「よくわからないですけど落ち着いてください」
「ぶっちゃけどうしても結婚したい死ぬとかじゃなくて人生のネクステに駒を進めるためのイベントの1つとして…いやなんかうまくいえないけど」
「どうせならポケモンずかん完成させたいみたいなこと?」
「なんでまたポケモンなの?」
「今日発売日だから……」
「おつかれさまです」