インターネットもぐもぐ

インターネット、おなかいっぱい食べましょう




人生で3000回もやってるのにわかんないことだらけなので1ヶ月で今さらメイク入門

3000回、というのは結構な数だと思うわけですよ。

中学か高校くらいから化粧をしはじめて、まぁやらない日があるにしても平均して年にざっと300日はやってるとして、もう累計3000回くらいは「朝の化粧」って行為をしていることになる。しかしまぁ、こんなにやってるのに、改めて考えてみると自分のやり方にまったく自信がない。当然だけど誰かに正解を教えてもらったこともないし、雑誌を熱心に買って研究しているわけでもないし。強いて言えば高校生の頃はそれなりに安くていいコスメとかなんとかちゃんみたいなメイク、を学ぶページを熱心になぞっていた気がするけど、その時点からもうずいぶん時が流れているわけだ。多少使う道具のグレードは変わったけど基本的なプロセスはずっと一緒だし、メイクの仕方を変えてとか季節ごとにどうこうみたいのってほとんど実感がわかない。親に「あ、眉毛整えるようになってる」とにやにやされて異常に気恥ずかしさを感じた中学生のわたしと今と、いったい何が違うんでしょうか。

ということにある日気付いて、むむむ、と思った。
こんなに毎日繰り返してることなんだから漫然と続けるのもなんだかなぁ。どうせこれからも付き合っていかなくてはならないんだからもう少し型を知りたい。
というわけで、11月はひと月かけて化粧のことを考えていた(2013年は毎月1つ何か新しいことを始めることにしていた。何度か穴が開きながら1年は終わりを迎えようとしています)。

今までほんとに適当だったから何からしたらいいのかもわからない。コスメ好きの友達に「ねー、化粧するときにさ、もう少し気をつけるところとか何をどうするのが“当たり前”なのか知りたいんだけどどうしたらいいの」と聞いてみた。何か本や雑誌を読んだりそれこそ教室的なものに行ってみたりとかもありえるの?と思ったけど返ってきた答えは「それならとりあえず、化粧品カウンター」だったのでした。カウンターにはお姉さんがいるでしょ、希望に合わせていろいろ試せるしやってもらいながらポイント聞けるし、と。な、なるほど……思いつきもしなかった。そして、ハードル高い。……高いよ!

デパートの1階に化粧品売り場があるのは当然知っているけど通過するだけの場所だった。きれいなお姉さんがキラキラあるいはギラギラと微笑む中で明度と彩度と解像度の低いわたしはフロアのはしっこをそそくさと抜けてエスカレーターに飛び乗るので精一杯だったわけだ。マツモトキヨシでコスメ見るのが限界だよ。デパートのお化粧品なんてべらぼうに高いイメージがあったし、何もわからずに買いに行ったら玄人のお姉さんたちに軽蔑されそうだし、そもそもあんなに目線が向いてる中で立ち止まるなんて!!どんな顔したらいいの!!何も知らないから知ったかぶりすらできないよ!だいたいテスター使わせてもらったら買わなきゃいけない空気なんじゃないの?こんな貧乏っぽいアレなんですが……。でも今やってみなきゃもうやらないぞ。働き始めたから昔よりは少しお金あるし大変なことになってもどうにかなる。がんばろう(思い詰めすぎ)。

はじめてカウンターに座ったのは渋谷西武だったかな。ジル スチュアートかM・A・Cか。ちらちらと新作を覗いてたらお姉さんに「よければお試しされますか?」と声をかけられる。「あ……」とどっちともわからない声を出してぎこちなく笑う。ダメだここでひるんじゃ!今月のノルマだ!と思って「この新しいシャドウがきれいだなと思って、乗せてみたいんですけど、」という。じゃあこちらへどうぞ、って通されてカウンターに座らせてもらった時にあまりにビビリすぎて「わたしこういうところ座るの初めてです」とうっかり言ってしまったら、そんなにたいした話でもなくね?みたいな顔でじっと見られた。「あ~、そうなんですか」。そうです。

……挙動不審すぎる初チャレンジを経て、修行のようにほぼ毎週末いろんな百貨店のいろんなブランドのカウンターに腰掛けた。いやいや、そんなに押し強く売りつけてくることほとんどないよ、と前述の彼女に教えてもらった通り(ビビリすぎて事前に聞いた)(その子も「な、なんでそんなこと?」って感じだったかもしれない)、ほとんどお金を落とさない上に超初歩的な質問攻めだったにも関わらず優しくしてもらえて恐縮だった。

最初は毎回ビビってたけどだんだん楽しくなってきた。ブランドごとにお姉さんの雰囲気や化粧の強調する部分なんかも違っていておもしろかった。普段自分でやってることを「やっていただく」のは不思議な嬉しさがある。わーきれいにしてもらってる!やったー!みたいな気持ちになった。子どもか。そして、当然だけど雑誌で見るより自分の顔に直接乗せてもらった方がいろいろわかる。オリーブ色のシャドウすごくかわいいけど自分には似合わないな、とか、ボルドーって思ったより使いやすいな自分の肌色に合うんだな、とか、今までオレンジ系のリップって手を出してこなかったけどなるほどこんな感じで印象が変わるんだね、とか、アイラインはこんな感じで引いてもいいんだ、とか、「目がでかくなるようになんちゃら」ってこういうことですか…!とビフォーアフターで驚くとか、そういうことがいっぱいあった。楽しい。なんだこの顔案外いろいろできるんだな!?化粧をあれこれする、こと自体かわいい子の特権のように思ってたみたいだ。

「ファンデーションを試させてください」というのがフルコースでいろいろ見せてもらえる手段のようだ、とわかった。ベース作りからやってもらえて、シャドウやチーク、マスカラものせてくれることが多かった。そもそも、ベースとか、まともにやったことなかったよ今まで…だってなくても平気だし……。顔色変わるんだな~とか当たり前のことに感動した。みんなこういう経験をどうやって積んでいるんだろうか。新鮮すぎる。ファンデーションは特に、ブランドによって合う合わないがあることがわかりやすかった。合わないやつだと肌に付けた瞬間に、あ、これは違う、ってすぐわかる。「好きなコスメブランド」って感じのものがやっとできた。

慣れてくると喋れるようになった。こういう色使ってみたいけどうまく使える気がしないだとか、どうしてもまつげが下がるんだけどビューラーのコツはあるのかとか、目尻のキワにうまくラインを引けないとか、シャドウの幅って具体的によくわからないよとかやってもらいながら具体的に聞くとさくっと教えてもらえて勉強になった。まぁモデルさんとはもとが違いますし…って気持ちもあって、メイクページ見て色の使い方とかには目が行くけど細かいやり方の部分よくわかってなかった。多くは望んでないし、カラコン!つけま!つけま2枚目!みたいなフルメイク…というよりフル武装するわけじゃないし、できる範囲で「手持ちのこれでもう少しいい感じに」する方策を増やしたいだけなのでふむふむなるほどだった。

そんなこんなわけで、1ヶ月かけてじわじわ身の回りの道具を一新した。ファンデーション変えたら全然崩れなくなって快適だし、シャドウもチークもリップも気に入ってる。というか気に入ってから買ってるわけで、当然満足度が高い。しかしね、新しいコスメを買って使うって超シンプルにテンションがあがってすごいですね。麻薬的。外見だけでかわいいな~ってなるし、この色好きだな~って毎日思うし、今日はどっちにしようかなを迷うのも楽しい。

化粧、わたしの中では娯楽の対象ではなかったのだけど、娯楽として愛してる人の気持ち少しわかった気がする。選ぶプロセスも、手に入れた!って達成感も、毎日に組み入れていく部分も楽しい。ハマるってほどじゃないけど、新しく開拓するお作法がわかったのでとってもよかった。

デパートのコスメカウンターは怖い場所じゃなかった。新しい幸せ供給地発見して嬉しい。身近にあるけど知らない世界まだまだいっぱいある。メイク入門じゃなくて化粧品カウンター入門じゃねえか!スタートにも立ってないじゃん!という意見は甘んじて受け入れます失礼いたしました。でも近づこうとしたことすらなかったからそもそもこの類の何かに興味をもつことすら大きい一歩だったんです!!

さあ死ぬまでに、あと何回わたしは鏡台の前に。毎日やるのなら楽しめたほうがいいや。


--
これまでの1ヶ月で入門シリーズはここ宝塚歌劇とBLと短歌について書いてる。ジャニーズとテニミュに関してもいい加減書きたい。毎月新しいネタを見つけて今まで視界の隅にあったものに真正面から飛び込むの、超楽しいです。