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Twitterだらだら見るのやめたい人におすすめする、独断で選ぶAudibleのよき小説

毎日のように愛用しているAmazonのオーディオブックサービス「Audible」がプライム会員限定で3カ月無料らしいので、おすすめの作品を書いておく。

いつも30日だし、3カ月はかなり長いのでは…!かなり大きいキャンペーンぽい。月1500円だから4500円分と思うとでかいよね。しかし7月18日までなのでギリギリすぎる。すみません。


小説聴き始めたらハマった

私がAudibleを使い始めたのは2020年6月らしい(今調べた)。仕事でPC、スキマ時間はスマホ漬け、配信で映画やドラマを見まくる、と1日中目を酷使してばかりで、目を使わない娯楽がほしいと思ったのが一番の理由だった。最初は生活のどの場面でいれたらいいのかよくわからなくていまいち使いこなせず放置し、しばらく休会もしていた。

当時Audibleは「スキマ時間に効率的に情報収集!」「ビジネスマンのトレンド!」的な側面を強く押しており、ビジネス書とか自己啓発本が売れ筋でトップページでもそっちが目立っていた。聞きたい本を何冊か読んだ(聴いた)あと次何読もうかなと思って見てみてもいまいち惹かれるものがない。ホリエモンとかひろゆきの本、別に聞きとうない……と思ってそっ閉じ、みたいな感じだったのだ。

これならイケる!とバチッとハマったのが小説を読むようになってからだった。ビジネス書で役に立つことを「お勉強」しても、仕事のセミナーの延長みたいで全然テンションがあがらなかったが、フィクションを音声で流し込むのは、人物もカメラワークも勝手に造形できる画のない映画のようで、一文ごとに想像力が刺激されてかなり楽しかった。

下手に先が見通せない、流し読みできないのも私には向いていた。すぐにネタバレを見てしまう意思の弱い人間なので……。逆に、ピンポイントに情報をさらいたい本だともどかしいので良し悪し。そっちは文字でザザッとさらう方が便利だと思う。

最近は小説が充実していて、選びやすくなってうれしい。体感的には村上春樹の小説が一気に追加されてからランキングが春樹作品で埋まり、小説のプッシュがドドドッと増えた、気がする。

自分が最も習慣的に使っているシーンは子の寝かしつけの時間だ。一緒にふとんにいないと騒ぐから黙って横にいるだけなんだけど、スマホいじってると画面が明るくて邪魔になるしやることがない。イヤホンを片耳だけ突っ込んで何か聴いているのは私的にも「本読んでる」状態になり、「他にやりたいことあるのに〜〜!早く寝てくれ!」とイライラしないし一石二鳥で助かる。

他にも公園でひたすらすべり台し続けるのを見守っているだけの手持ち無沙汰な時間とか、野菜を炒めるとか洗濯たたむとか手は動かさなきゃだけど脳はあいてる時間に使っている。あと電車の中とか寝る前とかにだらだらTwitter見るのをやめられたのはAudibleの存在がかなり大きい。

ザリガニの鳴くところ

オーディオブックおもしれ〜〜な!?とアガりまくった思い出の作品。「なるほど、この方向で楽しめばいいんだな!」とわかってここからいろいろディグりはじめた。米国でものすごく売れた小説で、まあまあ分厚いしいろんな要素がこみいっているし、時間の経過もダイナミックだし、紙で読んでいたらカロリーが高くてなかなか進められなかったかもしれない。

とにかく、池澤春菜さんの朗読が声のトーンも演技も素晴らしくてめちゃくちゃ聴き応えがある(強いて言えば、前半の幼い主人公の声色でかわいらしさが強調されているのが、作中の彼女のキャラクターを踏まえたうえで個人的にはちょっとだけ気になった)。

後半になればなるほどハマり込み、早く先を知りたくてちょこちょこ時間を見つけて必死に聴き進めていた。紙の書籍で読んでいたらちらっと後半をめくってしまっていたと思うので、ズルのできなさがよかった。

ソロモンの偽証

宮部みゆきの代表作のひとつ。意外に読んだことなかった。この本は猛烈に長くて、3部作でそれぞれ上下巻ある。計6冊。朗読でいうと1冊10時間以上あるので……なんと総計約78時間(!)もある。なんて言われるとひるむと思うんですけど、猛烈におもしろいので後悔させません。おすすめ。

これも羽飼まりさんというナレーターさんが本当に素晴らしくて、素晴らしすぎて、感動のあまりオーディブルの問い合わせから「羽飼まりさんが最高でした」とファンレターを送り、彼女が朗読している他の作品をわざわざ探して聴いたくらいだ。

クリスマスに起きた同級生の転落死は、殺人か自殺かーー中学生たちが「学校内裁判」で真実を明らかにしていく話なのですが、とにかく登場人物がめちゃくちゃに多く、少年少女だけでなく取り巻く大人たちも膨大で、年齢と性別も多種多様。

羽飼さんはその声色や抑揚の使い分けがわざとらしくなく、でも抜群にうまくて、後半になると地の文で話者を明らかにされなくても声だけで今誰のセリフだったのかわかる。藤野涼子の熱を帯びた声と神原くんの涼やかな声が全然違う。最高。この頭の中で違う世界が広がる感じが気持ちよすぎるしオーディオブックの醍醐味だな……と思う。

あと現代日本が舞台なので、登場人物の名前が聴きとりやすい。これは重要。カタカナの名前は比較的覚えにくくて、オーディオブック初心者には慣れないとストレスになる可能性が高いと思う。

例えば、私は『三体』三部作もすべてAudibleで聴いた(読んだ)のだが、これは名前に加えて、聞き慣れない言葉や創作された用語が多いのでかなり聞き取りが難しい分類に入ると思う。話はすごくおもしろいけど、まずこれ聴いてみて!とは到底言えないタイプだ。

「葉文潔」は漢字のビジュアルで見せられたら覚えられるけど「イエ・ウェンジェ」は結構大変じゃないですか?Audibleで履修すると、その後他人のレビューを読んでも漢字で書かれると誰のことだかわからないという弊害がありました。「ルオ・ジー」と音で認知しているので「羅輯」と書かれてもわからない。

すでにめちゃくちゃ長くなってしまった。このあとはもう少し短めで……。

同志少女よ、敵を撃て

語弊があるかもしれないが、映画的、アニメ的な描写が多いので情景が思い浮かべやすく聴きやすい。大祖国戦争におけるソ連軍の女性兵士を描く以上当然悲痛なシーンも多く、活字で読んでいたらしんどかったと思うが、声で聴くと呆然としているうちに嵐のように過ぎ去っていく。圧倒的な戦火の前にすべては過ぎ去っていく虚しさが味わえる。言い過ぎ?

ナレーションは多田李衣菜(デレマス)やエアグルーヴウマ娘)のCVやってる青木瑠璃子さん。近頃のAudibleはAmazon的にもかなり気合が入っているようで、有名声優・俳優を起用していることも多いのでそれで選ぶのもおもしろいと思う。普通アニメやドラマでは「セリフ」しか聞かないが、朗読だとふんだんに「地の文」を読むのでそこの緩急が楽しめる。

六人の嘘つきな大学生

一人称小説なので音声で話をつかみやすいタイプ。タイトルからわかるようにもちろん舞台は現代日本だし、ストーリー自体も緻密な構成で聴き応えあっておすすめ。初心者向けって意味ではかなりおすすめの方かもしれない。

過酷な就活戦線の中で、周囲の爆裂エリートたちと並び立とうと背伸びする大学生を演じる木村良平さんの声がぴっったりで超いい。私は『Free!』という作品が大好きなのですが、あまりにも遠野日和を感じるのでああいう木村さんボイスが好きな方はおすすめです……(ピンポイントすぎるリコメンド)

絶縁

韓国の若手作家、チョン・セラン氏の発案で、アジア各国の作家が「絶縁」をテーマに書いた短編を集めたアンソロジー。日本からは村田沙耶香なのだが、村田節炸裂の絶品SFで本当にいい。何しろタイトルが「無」。すごいやろ。

ナレーターも三浦透子、古川琴音、蒔田彩珠山田真歩など一癖ある俳優ばかりで楽しい。有名俳優のナレーションだと、川上未映子『春のこわいもの』の岸井ゆきのも最高です。

墨のゆらめき

三浦しをんの久しぶりの「男と男」のバディ小説なんて絶対楽しいじゃん……。いい意味で軽く、さらっとカラッとしているので生活のどんな場面でも寄り添ってくれる(?)(いやでも子どもたちの嬌声が響く明るい公園でどっぷりシリアスな戦争ものを聴くのは心理的に結構ムズいんだよ)。櫻井孝宏さんのナレーションもキャラクターのつかみ方がうまくてさすが…と思う。聴きながら笑っちゃうシーンがたくさんあって新鮮でした。

国宝

1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。

語り、尾上菊之助。……このあらすじでこの読み手なだけで大勝利じゃないですか?

講談調の語り口で、テンポよく進むので朗読に向きすぎている。菊之助丈の声はさすがに響きがのびやかで、気持ち良すぎて眠くなってしまうレベルだ(実際何度も寝落ちした)(褒め言葉)。俳優であり人間である2人の一生を描くダイナミックな大河絵巻。吉田修一の20周年作品かつ新聞小説とあって、時間軸も壮大だし上下巻で長い。圧倒的な筆致を脳から味わえる。

小説ではなくエッセイなのでこのリストからちょっと離れるのだが……。とにかく、著者とナレーターが同じというのが一番の魅力。青木さやかさんの飾らない言葉が、本人の声で語られることで複雑な色を持つ。

タイトル通り、母との確執や関係の変化が語られるのだが、喜怒哀楽、どの感情がどのくらいのバランスで乗っているのかって、文章と語りでは伝わる印象が違うシーンも多い。他人が読んでいたらここまで微妙な心境をあらわせなかっただろうなと思う。なるほど〜朗読はこういうアプローチもできるのか!と知っておもしろかった。


オーディオブックは個人的にはかなり相性があって「話はおもしろそうだけどナレーションがくどくて気になるよ!」とか「声は好きなんだけど筆致のバイブスが合わなくて気分がのらん…」とか好みが激しい。

そのうえ検索性やリコメンドエンジンの精度が低いからビビッとくる作品を見つけるのが難しいんだけど、逆にディグり方がわかると書籍では読まなかったであろうものに出会っておもしろい(『ソロモンの偽証』とか、こんな長いのわざわざ今から本でいま読むきっかけなかった気がする)。今12万冊あるらしいしどんどん増えてるので新着見てるだけでけっこう楽しめる。

www.amazon.co.jp

このリストはあくまで私にピンときたやつでしかないので全然参考にならないかもしれないが、自分のツボを見つけたらめっちゃ楽しいですよ!!という話でした。これが好きならこれも好きかもよ!のおすすめがあったらぜひ教えてください〜〜!✨