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スピッツ「横浜サンセット2013 劇場版」、夢みたいだった

人生で一番天国に近かったライブが、2時間半の映画として閉じ込められてた。
スピッツ「横浜サンセット2013」。

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スピッツ 横浜サンセット 2013 -劇場版- | SPITZ OFFICIAL WEB SITE

2013年9月に、横浜赤レンガ倉庫であった野外ライブがDVD/Blu-rayではなくなぜか劇場版になった。終わった瞬間、早く円盤になってくれ…今の夢みたいな時間を目の前でもう1回巻き戻したい…と思って倒れそうだったのに、そのまま音沙汰なくてあきらめてたけど、まさか1年半も経って映画館で見ることになるなんて思わなかった。

内容はスーパーシンプルに、ライブの最初から最後まで、MC含めノーカット。バックステージやメイキングのようなドキュメンタリー要素も全然なし。拍手の音で始まって、照明が落ちて終わる。目の前でライブがそのまま繰り広げられる。横浜の海を一望できる場所が、昼から夕方に、そして夜に少しずつ色を変えていくのが全部見える。あ、そうだった。こういう1日だった。この日は。


スピッツ、みんな名前は知ってるだろうし、知ってる曲もいくつかあるだろうし、カラオケで歌ったり聞いたり、人によっては学校で歌った経験もあるだろうけど、演奏しているところそういえばちゃんと見たことないなって人、少なくないと思う。それはテレビにほとんど出ないというのが大きいのですが。ライブは少なくない回数やってますが、ドームのようなものすごく大きなところでやるわけでもないし、ファンです!という気合い入った人以外の人が足を運ぶ機会ってそりゃ少ないよなって思う。興味はあるよ~という人が出会う機会あるとしたらフェスくらいでしょうか。

スピッツのライブ、超かっこいいのだ。CDを軽々超えてくる。楽器の生音ってこんなにパワーがあるんだなって思う。音楽に関して素人だからむずかしいことはよくわからないけど、それでもなんだか正しく音を浴びてる気がして、いつだってとても楽しい。幸せになる。イヤホンからカーステレオから有線放送から流れるいつもの曲と情報量が全然違う。

だからめっちゃ見てほしい。
おっきいスクリーンで映画館のいい音で、夏の終わりの横浜にトリップしてほしい。

……まぁ正直ね、ものすごく淡々とライブしてる映像が続くからそんなに起伏あるわけじゃない。例えばわたしは前日あんまり寝てない日に行ったのと、最初の数十分でドキドキしすぎて心臓が疲れて途中眠くなった(正直)。あとやっぱり映画館で座ってるから声出したり踊ったり手をあげたりできないのはもどかしい。「めっちゃ好きな曲きたあああああ」って気持ち押し殺すしかない。でもぼんやり聞いてたりまどろんでる時間すら気持ちよすぎた。だってずっと音が鳴ってるし目をあけたら色が変わってるし、閉じ込められた時間全部が夢みたいだよ。


草野マサムネさんは、びっくりするくらいずっと青年のおもかげがあって、本当にすごい人だ。


空も飛べるはず」「チェリー」「ロビンソン」、世に広く知られてるのって、少し前の曲だと思うけど、もう50歳が見えてきたおじさんたちの作る曲、ずっとかっこいい。最近のライブだと「さらさら」にいつも胸が詰まってしまう。この日のセットリスト、オリジナルアルバム14枚を網羅してたんだけど、別に意図したものじゃなかったらしい。


スピッツ / さらさら - YouTube

もう何百回と聞いてるはずなのに毎回ライブの度に泣きそうになるのは「運命の人」。これはほんと……生で聞く説得力がすごい。励まされすぎてる。バスの揺れ方で人生の意味がわかるし、愛はコンビニで買えるし、神様は自力で見つけるのだ。


スピッツ / 運命の人 - YouTube

あとこのライブで最高だったのは「渚」。曲の終わりに延々と続くドラムがあまりに波の音だった。何度も重なる。今ここで聞くのがなんて似合ってるんだろうって鳥肌が立った。


スピッツ / 渚 - YouTube

それからやっぱり、「夏が終わる」。この年の夏は本当に本当に暑かったんだった。当日は台風が近づいていて、この週末を超えたら急に涼しくなるのかもなって思ってたんだ。
「暑すぎた夏が終わる、音もたてずに」。


見ながらこの1年半のことがフラッシュバックしてきて頭がぐらぐらした。2013年は人生でいちばん幸福な1年だったんだけど、そこから月日が経っても思ったよりずっとハッピーだ。ずっとハッピーなんだよね。幸せは途切れながらも続くもんね。


スピッツ / スピカ - YouTube


観に行くまではなんだかんだ円盤になるのかなって思ってたけどそんなことないみたいだ。パンフレットを読む限り、モノとして残したくない理由があって、だからこういう形でもう一度見せているように思える。くそう、辛い時に何回だってこの日を反芻したいのに。許されない。

でも幻みたいに残響みたいに、美化された思い出として甘く頭に残り続けるならそれもいいかもしれないね。


スピッツ 横浜サンセット 2013 -劇場版- | SPITZ OFFICIAL WEB SITE
新宿と梅田、週末を待たずに終わる予定だったのに追加上映が決まったから、まだ土日で見られるよ…! そのあと、5月までかけて全国いろんなところをまわる。

ああ、やっぱりスピッツ大好きだな。ずっと特別だ。
ライブが終わるといつも、次またこの光を浴びるまでちゃんと生きなくちゃ、って、背筋が伸びる。

代々木上原のモスク「東京ジャーミー」に行ってきた

代々木上原にあるイスラーム教のモスク「東京ジャーミー」に初めて行った。

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東京ジャーミー・トルコ文化センター

小田急線の車内から、ホームから、見える高い塔。モスクがそこにあるのは随分前から知っていたけど、いつか行きたいな~って思っててやっと足を踏み入れた。……めっちゃ、楽しかった!!行けてよかった!!また行きたい。
※建物内の写真も入れてたのですが「撮影はOKでもWebに載せるのはNG」ですよと教えていただいたので外しました、すみません……。調べたらきれいな写真、たくさん出ます。


ニュースで聞くいろいろに辟易して、動画はもちろん画像でも見るのが辛くて、でも目をそらすのもなぁと思って、違う方向からそういうことについて歩み寄りたいって気持ちで思い出したのが電車から何度も見ているミナレットだった。東京ジャーミー、調べてみたら毎週土曜と日曜の14時半から、予約不要で無料で見学会をしてることがわかった。Webサイトに服装規定とかちゃんと書いてある。1人でいってもいいものなんだろうか。どきどき。

服装について
礼拝場は、イスラーム教徒が礼拝を行なう神聖な場所です。女性の場合は、ストールかスカーフをご持参いただき、長袖・長ズボン、ロングスカート(足首まで隠れるもの)など身体の露出の少ない服装でお越し下さいませ。女性のショートパンツ、キャミソール、タンクトップ、レギンス等での入場はご遠慮下さい。男性もハーフパンツやタンクトップはご遠慮下さい。階下のホールでは、女性のスカーフは不要ですが同様の服装を心がけてください。


5分前くらいについたら数十人いて、結構多くて驚いた。いつもこんなものなのでしょうか。「いつか」行きたいな~、の「いつか」は今だろうと、わたしのように思った人がたくさんいたのかもしれない。自分の親くらいの世代の夫婦、レポートの種として見に来たような大学生、これから出かけるんだろうなって感じの若い女性、子ども連れも。近くにいた小さな男の子がアラビア語を学んでいるようで、目につくもので分かるものを読んでいて格好よかった。「お母さん、これは数字の4だよ!」

東京ジャーミーの歴史自体は古くて、1938年から。ロシア革命(!)の影響で中央アジア地帯から東へ東へ、海を超えて日本まで、やってきたトルコ系の人々によってはじまったんだって。ま、まさかロシア革命なんて言葉を聞くなんて思わなかった……。こんな感じで歴史とか風俗習慣についていろいろ説明してくれる。

今の建物は2000年に建てられたもので、16世紀のオスマン・トルコの伝統的な建築形態を再現したものなんだそうです。高いミナレットと、美しい礼拝堂がある。本国から100人以上の職人を呼び寄せて、「水とコンクリート以外のほとんどすべて」を現地から取り寄せて、数年がかりで建築したんだって。大理石の床、彫刻された木の細工、鮮やかな色のタイル、全部本物だ。全部とってもきれい。おみやげも売ってる。

1階にはホールがあって、この日は子どもたちが何かを教わってた。壁にあるアラビア語のカリグラフィーのアートがなぞりたくなるくらい素敵。初夏のラマダン(断食)の時期はここで毎日、日没の時間からトルコからやってきたシェフによる本場のトルコ料理が振る舞われるそうで、イスラーム教徒じゃなくてもウェルカムらしい。行くしか……!


30分くらい見て回ったところで、2階の礼拝堂へ行く。

大学の卒業旅行でシスティーナ礼拝堂に行った時に「あ、これは世が世なら入信するわ」って1秒でくらっときたことを思い出す。今よりもっと色や光が少ない時代にこんなにキラキラしたものを見たらどんな気持ちになるだろう。「神々しい」って言葉の意味はこういうことなのか、ってなった。神様の世界はどんな場所でしょうか。(中高はプロテスタントの学校に通っていたけど、カトリックとはこう違うんだなっていうのもそのとき思った)。

……それと同じようなことをこの日も感じた。ニュアンスの違ういろいろな青、大理石の白、優しい金色、いっぱいある。息を詰めて見る。ステンドグラスがきれいだ。チューリップやバラの装飾がかわいい。アラビア文字が踊る。この日は曇りだったけど明るく陽光がさすとまた雰囲気が違いそうだ。

少しずつ人が集まってきて礼拝が始まる。女性は2階のバルコニーのようなところ。とはいえ別に1階に女の人が入れないわけではなくて、現にわたしたち見学の人たちはみんな1階の後方に座る。子どもがいっぱいいるのがかわいい。前半はみなさん礼拝堂の好きな場所で自由にお祈りする。子ども、普通に遊んでる。同じくらいの歳の子とじゃれたり寝っ転がってくすぐりあったり、走り回ったりしてる。別に静かにしなくてもいいのか~~。この空間にいるってことが大事みたいだ。

そのあと、メッカの方向に向かって1列に並ぶ。さっきまでわらわらしてた子どもちゃんたちもパパの横に並んで、まねっこする。くねくねしたり隣の子の肩をつっついたりしながら、ひざを折って床に額をついて、口の中で言葉を復唱する。

なんかよくわからないけど泣けてきてしまった。。なんだろう、当たり前のようにちゃんと毎日が続いていることに? 宗教って日本だと馴染みがないけど、思想や信念以前に日常や生活に普通にあるものなんだよな~。「1日に5回、礼拝するのは大変じゃないですかってよく聞かれますけど、みなさんごはん1日3回食べたりおやつ食べたりするのに苦労してる感じします? 精神的な食事のような感覚、お腹じゃなくて心を満たすもの」って言ってた。

あと、クルアーンは音楽的なものって話もおもしろかった。礼拝でも朗々と読み上げる。アラビア語で理解するのに意味があるっていうのは排他的な意味ではなくて、音で聞くものなんだって。聖書は(わたしが知ってる限りは)そういう感じはあまりないけどどうなんだろう。お経はそうかもしれないね。


イスラームは誤解されてるところも多くて、という話にも当然なって、今ニュースを騒がせていることの話にもなって、いろいろそういうリアルな視点が聞けたのも興味深かった。過激派組織がやってることは許されることではなくてイスラーム教がテロを認めてるわけでは当然まったくなくて、でも前提として偶像として“描く”ことに対する感覚は全然違うわけで、とか。

普段考えないことをいろいろ考えたし、何より荘厳で美しくて背筋が伸びる場所で、元気でた。無料でこんなにいろいろ見せていただけてありがたい。肌の露出を抑えるし女性はスカーフが必須だし、普段からマフラーしている冬場は見学しやすいかも。


オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)

オスマン帝国 イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)

わたしがイスラームに興味を持ったかなり大きなきっかけがこれ。すっごく好き。
多民族国家を束ねる合理的で先進的な知恵がオスマン帝国にはあって読んでて気持ちがいい。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

イスラーム国の衝撃 (文春新書)

あと最近話題になったこの本も、Kindleになったから読んだけど「そうだったのか!」ばかりで超興味深かった。脈々と、アフガニスタンタリバーンがどうつながっているか、何が違うのか、そういうところを知るだけで全然違う。

東京ジャーミー・トルコ文化センター


とてもざっくりした感想だけど、やっぱり宗教的な場所に行くの好きだな。いろんなものにちゃんと理由があって別に知らなくてもいいんだけど知ってると世界の見方が少しだけ変わる……可能性がある。

普段見てるものだともしかしてアイドル現場ってある意味自分にとっては“宗教的な場所”に近いかもしれないな? ってぼんやり思いながら小田急線のホームに戻った。キラキラしてて、外から見たら理解できないこともきっとあって、それでもわたしたちは1つの方角を見つめて愛と祈りを注ぐ。あなたに幸福がありますように。

新書「『タカラヅカ』の経営戦略」超おもしろかった 阪急の駅員→宝塚大劇場総支配人になった人がAKBと比較しながら解説する

めちゃくちゃ面白かった。
新書~って感じのタイトルだし知り合いのヅカヲタのお姉さんにすすめられなかったらスルーしてたと思うけどものすごく面白かった。1日で読み終わるのもったいなくて後半半分を次の日までとっておいたくらい。
宝塚を知らなくても、ビジネスとしてのステージエンタメに興味がある人だったら楽しく読めると思う。
だって、100年だよ。100年続いてきてるわけだよ。すごいことだよ。


著者の森下さんは、阪急に入社して普通に車掌や運転手をやってから歌劇団に異動になって、星組プロデューサーをして、宝塚大劇場の総支配人をやってからの梅田芸術劇場の役員という経歴の人。しかし阪急、鉄道会社だから人事異動の1つとして駅員さんからエンタメビジネスに動かすの冷静に考えて振り幅すさまじい。でも経営戦略としてインフラと別軸の収益源として成立させているからこそ、普通の芸能ビジネスと少しニュアンスや側面が違ってて、ある意味ドライな感じで視点が面白い。

ビジネス戦略が整理されてて、そう!こういうの!読みたかった!!って感じ。まず「はじめに」の時点でこんな感じで期待しかない…!ってなる。

「100年も継続する」ビジネスモデルを以下のように特徴づけることもできます。
①歌劇作品を「創って作って売る」垂直統合システムの存在
②興行ビジネスで最も重要な「自主制作」「主催興行」の質・量両面での充実
③卓越した独特の著作権管理手法
④地方での興行を上手く取り込んだ実質的ロングラン興行戦略の実践

こんな感じでガツガツと、およそ感情論とかけ離れたワードがたくさん出てきて最高です。私が一番興奮したのは「阪急が宝塚歌劇を保有している意味、それはまず、親会社である阪急阪神ホールディングスの株主対策の一面です」「つまり、買収防衛策という点で、個人株主対策は必須となるのです」ってところ。アイドル文化とかファンの心理とかをふわっとまとめた評論家のみなさんの書物もそれはそれはそれでいいし意味あると思うんだけどだけど、数字や用語を定量的に拾いながら経営サイドの話を、しかも宝塚様のお話を、拝見できるなんてレアチャンスでうれしすぎる!!


とはいえ数字の話だけじゃなくて、リアルな運営の話とかカルチャーや姿勢の話もいろいろ出てくる。

宝塚歌劇は女性だけの歌劇団で独特な衣装とお化粧、という外見的なことだけじゃなくて、音楽学校から一貫したある意味閉鎖的な人材教育環境、東西の専用劇場を中心にビジネスとしての利益最大化を目指したシステマティックな興行体制などなどシステムとしていろいろ独特で、歴史の積み重ねもあるけど、分かりにくいっちゃ分かりにくい。けど、改めてそっちの側面から説明されるとなるほど~って思う。こうやって具体的なものに言及してくれると、例えば私だったらAKBとかジャニーズとか2.5次元舞台と言われる諸々のあり方とかと比べたくなる。何が強くて何が弱いのか。どこがどう時代や客層に合わせて変わってるのか。

内情の話だと、音楽学校の卒業生から組子を選ぶ組付きプロデューサーによる“ドラフト会議”、必ず来るトップスターの卒業の日を見据えた上演演目決めの駆け引き、劇場支配人として稼働率を上げるべくの奮闘、機材トラブルで上演中断に陥った際のトラブルシューティング、とか、具体的な公演名や生徒さんの名前(柚希礼音さん、稔幸さんなどなど)あげながら書いてくれてるのに結構ドキドキする。この2年くらいしか知らない私ですら、だから彼が実際関わってた期間の宝塚を知ってたらますます、だと思う。

あとバウホールやら日本青年館やら中日劇場やら博多座やらファンにはお馴染みの劇場の名前も出てきてそれぞれの評価や使い勝手、位置づけが明らかにされてるのもおもしろい。青年館はキャパが中途半端で結構難しいとか、名古屋は東京にも関西にも日帰りできるから宝塚としては中日劇場は大事でぜひ新規にお客さんを取り込みたい場所とか。


後半では、まるまる1章使ってガッツリAKB48との比較。

若干突っ込みたいところはあるけど、それでもだいぶ的を得ていて(的を得てない比較だって世の中には山ほどありますからね)どっちも追っかけてる自分としても楽しく読めた。

これも冒頭で「双方に共通するコンセプトとして『シロウトの神格化』というフレーズを使っていきたいと思います」ってフレーズが出てきた時点で期待してたのですが裏切られなかった……。そうなんだよ、シロウトの、神格化。“私の”神様に近づけていくプロセスなんですよね。


比較の視点としてあげてるのが5つあって、どれも考えがいがあるので詳細はお読みください。

①必然性と偶然性
②閉鎖系と開放系
③近接性と結界
④物理的アクセスと心理的アクセス
⑤卒業とホーム・カミング

常設劇場を拠点に持ってること、明確なセンターorトップ、はっきりした卒業制度、とかAKBと宝塚の共通点(…というか真似た点というべきかもしれない)はあるわけですが、ファンとの距離感、ファン組織の統制、立ち位置ゼロ(舞台の真ん中)に求められるもの、はもちろん違うわけで具体的な現象から背後にある運営的な思惑、ビジネス的な視点まで考察や推測してて読み応えある。「『コミュニケーションを売る、見せ方・売り方を工夫する』という意味で、宝塚歌劇AKB48は時代を超えた共通項を持っているのは間違いありません」。ほんとにな~~!

で、AKBとかブロードウェイのあれこれを踏まえて最後にこれから宝塚歌劇が新たに提供すべき商品、コミュニケーションとして提案してるものが、ほんとそれ……!ってなるのです。これは宝塚だけじゃなくて、ステージエンタメなんでもそうだと思う。うーん、いや、ジャニーズは違うかも。違うかもってなんとなく思っちゃう自分の心理も考え始めるとおもしろい。とにかく今このネット全盛期を踏まえるとそうだよね、ってなる妥当な結論。……ここまで引っ張って何かは言わないよ!読もうね!


本論とは少し逸れるんだけど、「平日昼の空白」問題が超興味深かった。宝塚の新公演はほとんどの場合、金曜に幕があく。実際に観劇したりネットや知人の評判を見てから買い足す人が多くて、最初の月~金のチケットがどれだけ幕が開く前に売れてるかに成否はかかってる…って話なんだけど、これってこれからますますどうしようもないよな~て思った。兵庫の宝塚大劇場は平日の公演時間が11時から、13時から、15時からの3パターンで、これって勤め人には絶対に無理な時間なのだ(東京は平日18時半からもある)。しかも宝塚は梅田から30分以上かかる。客層に女性が多いから特に目立つんだと思うけど、働いてる人は増えていくに決まっているよね。働いた金を週末に使ってるんだもんねえ。

もちろん、舞台は1人でも楽しめるエンタメだから平日休みの人もファンになりやすい(実際友人に何人もいる)って側面はあるけど、多分そういうことじゃなくて。「平日の昼」をターゲットに娯楽を提供するのはそもそも広く難しくなっていくよなぁって話。きっとたくさんのところで起きてそうだ。

いやーほんとにおもしろかった。Kindleでハイライトした場所ぽちぽち読み直してるだけでまだ楽しい。とてもおすすめです。


最後に直近の公演案内でもしておきます。

  • 白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―

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宙組公演 ミュージカル『白夜の誓い―グスタフ三世、誇り高き王の戦い―』 | 宝塚歌劇公式HP

宙組・凰稀かなめ様の退団公演。「ロココの寵児として、北欧史にその名を残すスウェーデン国王・グスタフIII世の波乱に満ちた生涯を描くミュージカル」……なんですが私が不勉強なのもあるけど話は駆け足でちょっとなんか突っ込みどころがありまくる。とにかくかっこいい衣装だらけで眼福です。かなめさま~~。2幕のショーの歌がものすごく耳に残る。

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宝塚歌劇 雪組公演『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―/ファンシー・ガイ!』
「宝塚でルパン三世やるんだよ」って言うと十中八九「え????」と言われるけど本当です。東京では来月後半からなんですけどチケットが……全然とれない……。演目がキャッチーすぎるのもあるし、早霧せいなさん、咲妃みゆさんの雪組の新トップの大劇場お披露目公演なのでかなりの激戦です。ちゃんとルパンなので、興味ある方はぜひ最寄りのヅカヲタに耳打ちしてみてください。なんとかしてくれるかもしれません。。

このあとも、柚希礼音さん夢咲ねねさんの星組トップコンビの退団公演、タイトルからしてギラギラしまくりの「黒豹の如く」、かなりの確率で非ヅカヲタに「何このきれいな人……」と言われ、昨年「エリザベート」で演じたトートがあまりに2次元すぎて実在が危ぶまれている(私の中で)明日海りおさん率いる花組「カリスタの海に抱かれて」、グスタフであまりの輝きにびっくりした、舞台でのお美しさに意識がぼんやりしてしまう宙組新トップ朝夏まなとさんのお披露目公演キラキラミュージカル「TOP HAT」、レスリー・キーさんによる龍真咲さんのアー写があまりにかっこよすぎてこの小さな写真だけで期待していいんでしょうか?って前のめりな気持ちになる月組「1789-バスティーユの恋人たち-」などなどが控えております。「宝塚、1回見てみたいな~~」って気分のみなさま、2015年ぜひとも……!きっとハッピーになれるよ!


しかし年が明けてから活字欲が強くてすごいハイペースで読みまくってる。さっき読み始めた本もかなり期待できそうな出だしなので次のエントリも本の話になるかもしれません。Kindleは最高に幸福な悪魔の道具。

さよなら、2014。

2015年が始まって10日ちょっと経って、どろどろと溶けるように時間は否応なく過ぎていくんだなって若干憂鬱になる。あっというまだな~~。

毎年書いてるから今年も1年の振り返りを書こうと思うけど、正直そんなに特筆すべきことがない。というか、よく思い出せない。何を考えてたのか、何に悩んでたのか。あんまり身辺に事件がなかった。まぁそういう意味では書かなくてもいいんだけど、このシリーズは未来の自分のための記録なので、毎年書き続けることに意味があるので、時間を決めて今からだらだらと思いつくままどうでもいいことを書き上げる。

よーいスタート。

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スピッツのために初めて行った沖縄、最高に楽しかった。幸せすぎた。

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ヘルシンキは思ったよりずっと海が近くておどろいた。とってもいいところだけど整然としてまともすぎる、という感想。


2013は人生で一番楽しい1年間でずっとアドレナリン出まくってて、この幸せを来年のわたしが超えられる気がしないって思っていたけど、案外そんなこともなく2014も年がら年中わりとハッピーだった。ハッピーになるためのツールがだいぶ定番化してきた、が正確な表現かも。

現場数を数えたら、ジャニーズ12、AKB/NMBとか乃木坂とかその他女子ドルが28、宝塚12、テニミュ関連のあれこれが7、その他お芝居的なものが18、で、ジャンルにくくれないのがまぁ他にもあれこれあるから……たぶん一昨年よりは減ったとはいえ……。好きなものが増えると雪だるま式に見たいものが増えていくのでうれしいし楽しいけど、麻薬みたいだ。幻想の効果が切れる前に新しい非現実を摂取しないと死ぬ。


初めてのこといろいろあったけど、SMAPのコンサートに行けたのとってもうれしかった。これまでもこれからもアイドルでいること、芸能に生きて死ぬ運命を引き受けること、老若男女の愛を受け止め続けること、について考えた。すごい仕事ね。足かけ3年、いろんなものを浴びるように摂取して知りたかったいろいろの根源というか、1つの完成形というか、を目の前で目撃したのはちょっと自分のなかで第1章の終わりという感じでじーんときた。


「お勉強野郎」として(とあえて)ジャニーズや宝塚やお芝居に意識的に入門しはじめたっていう経緯は再三言ってることなんだけど、やっぱりステージがすきだな~。勉強するぞ!って気持ちが消えてきた今だから改めて思う。何を見ててもとても楽しいんだけど、それってとにかくテキストにできるものをずっと探してるような気がしてきた。

最近思ってるのは、文章書くことが得意というより、見たもの聞いたことを文字に起こすのが得意なんだなってことだ。これは案外結構意外にわりと、違う。批評じゃなくて感想を書くんだ、という気持ちはどんどん強まってる気がする。あんまり自分の名前で何かをしたためたいって欲がなくて、だから誰のものでもいいTwitterが、適当に目に入ったからRTするような世界が相も変わらず結構好き。


ブログは結構書いた気がしてるけど案外そうでも…なかった…?(その前より少ないことに今気付いた)いくつか持ってる場所、全部気持ちの上では役割が違ってだいぶ安定してきた。

書きたいネタいろいろあるんだけど、このへん書かないと忘れそうだからどうにかしたい。何かの感想とかじゃなくて考えてることを書くのって、それなりにきちんと仕上げたくなっちゃって自分でハードルあげてしまう。内向きの現象を外向きに翻訳することが楽しいし好きだしめっちゃやる気出るんだなってやっとわかってきた。

  • 女子アイドルはそこそこ女ヲタがいるのにジャニーズの男性ファンが少ない理由の仮説
  • アイドルとBLの楽しみ方がわたしの中では似てる話
  • 推し(女子ドル)と担当(ジャニーズ)と贔屓(宝塚)、ガチ恋(女子ドル)とリア恋(ジャニーズ)と本気愛(ジャニーズ)の違い
  • 二次創作における創作フォーマットとしてのLINE
  • 大学時代はそうでもなかったのに働き始めてからおたくに出戻ってる友人が多い件
  • 1ヶ月で世界が輝くジャニーズ入門(2013年に書きかけて盛大に放置している……)


オンオフ関係なく、何度も思ったのは、なるべく機嫌よく生きてるといいことあるな、ってことだ。超大事。媚びるとかおだてるとかじゃなくて自分が機嫌よくいること。すべてはこのためって感じだった。休日に予定を詰めるのも、爪の先をきれいに染めるのも、新しい化粧品を買うのも!!機嫌よく生きるってめっちゃやりやすい目標だと思う。今年ももっと手札を増やすぞ。




好きな女の子が2人ともセンター曲があったのも2014幸せイベントだった。。


年末年始に大学の友人たちにあって、留学とか転職とか結婚とか、みんな考えていて偉いなぁと思った。重なると困るからうまいことずらして披露宴入れてね、って笑う。世界はまわってるんだなあ。恋愛は都市伝説じゃないんだなあ。少しずつ時間は積み重なるし、どんなに年をとっても途切れず「初めて」が待ってるんだな~。


わたしがこんなネタを産んでるあいだに友人各位は。


あとはそうですね、事件としては、ブログもTwitterも親にバレたかもしれません。ええと……。
とりあえず今年も楽しいインターネットになりますように。

2014年おすすめしまくった本と新しい「信仰の現場」に踏み込みたい欲

2014年は狂ったように読み物を求める時期とKindleなんてもう知らない見たくないってなる時期と交互にきて、平均するとそこそこ活字は読んだ気がする。でも途中で投げ出したのも多いかもしれない(電書は投げ出すのが簡単で、しかも他のを読み始めてしまうとあんまり残してることに気付かない)。

とはいえ、おすすめの何冊!とあげられるほども読んでないので、感想書いておきたかったけど結局どうもしなかった本をいくつか書き記しておくことにする。人間は案外すぐに忘れちゃうので、未来の自分のために。

  • 文化系のためのヒップホップ入門

文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)

文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)

めっっっちゃくちゃおもしろい。図書館で借りて読んで、あまりに気に入って新刊で買い直してすぐに最初からまた読み直したくらいおもしろい。ヒップホップに詳しくないから、詳しくないからこそ知らないことばっかりでもっと知りたいことばっかりで夢中になって読んだ。今本棚から出して付箋が貼ってあるところを追いかけたけどいっぱいあった。2011年に出たので少し前だけど、ヒップホップの勃興から発展と変容、日本への輸入と受容のされ方なんかについて追いかけていくので古さは関係ない。


例えるなら「万葉集」なんだよ、イケてるビートとかリリックを“本歌取り”するデータベース使った遊びなの、「ヒップホップはあくまでみんなが漫然と考えていることを気の利いた言い回しでラップできれば勝ちってゲームなんですよ」、なんてキャッチーな切り口をはさみつつ、白人文化黒人文化がどう影響しあってるの?結局過激なディスりあいは何が目的なの?テクノやハウスとどうつながったの?ヤンキーのものなの、エリートのものなの?女性ラッパーはどういう扱いなの?ロックとヒップホップが思想的に決定的に違うのはね、日本ではこういう風に捉えられてきてるけどね……などなど発祥のアメリカ本国から日本の話まで、文化的社会的政治的な多種多様なポイントをざざっと洗っていく。

対談を元にしてるから読みやすいし、「ヒップホップは少年ジャンプ」「プロレス」「お笑い」なんて、理解できるワードや概念を散りばめて比較しながら文化としてまるっと解説する。合間にアーティストや曲の名前も山ほど出てくるし章ごとに大量にディスク紹介があるから聞き始めるとキリがない!楽しい!

専門用語が多すぎるんですよ。僕もヒップホップに興味を持つようになって面白かったのは、例えば「レペゼン」て言葉はわりとよく知られているけど、「このトラックはイルでドープだよねえ」とか普通にいいますよね。それ何語だよっていう。そういう独特の言い回しがあって、面白いけど閉鎖的でもある。

これ冒頭の部分なんだけど、そうそうそうってなって一気にテンションが上がった。ヒップホップよく知らないけどなぜか謎のイメージだけが先行してる…って人の視点も含めて拾ってくれる。わたしがヒップホップに興味をもったのはライムベリーとかlyrical schoolとかラップするアイドルを好きになったのが最初で、メインストリームはなんか怖くてとっつきにくそう…と思ってたけどこの本はそういう人にも優しかった。

70年代の終わりにストリートの一角で若者の遊びとして密やかに始まったものがいろんなものを巻き込んでいつのまにかひとり歩きして商業的に成立していく、という過程にぞくぞくする。私はボーカロイド文化のことを考えながら読んだ。一段下に見られているというか、まぁ所詮アマチュアの内輪の音楽でしょ、というところからいろんなものがスタートするんだなと思う。ヒップホップや音楽の話をしているように見えて、もっと広く大きく、自分が好きなものに引きつけて考えられて読んでてとっても楽しかった。超おすすめ。

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

並列してこれを。タイトルから分かる通り、2007年に始まる初音ミクを取り巻く物語。こうやって「証言」が形になるのってとても意味があることだなあって思う。ここまでの数年(思えば本当に数年なんですね)で起こったいくつもの事件や転換点、ソフトウェアの開発サイドや曲の作り手なんかの話をまとめてうねりについてまとめてる。何箇所も泣きそうになってしまった。初音ミクはただの萌えキャラでも単なるソフトウェアでもなくて、向こうに人間がいるって、言うまでもないことだけどよく考えると感動的だなって思ってしまう。

大学生の春、渋谷のセンター街で「メルト」が流れてびっくりしてたら一緒にいた友達に「知ってるの?誰の曲?」って聞かれたことを思い出す。「え!? ボカロ曲ってこんなに公の場で当たり前のように流れる感じでいいの!?」って思った、ニコニコ動画自体の知名度も今よりずっと低かったあの頃。今はカラオケランキングやらオリコンやらでボカロ曲が上位を占めるのが当たり前だし、才能を生まれる場所として認知されていて、文化は市場はこうやってできていくんだってことを目撃できているってすごい。

「世界を変えた」というのは言い過ぎ――という声もあるしまぁわかるけど、でも世界って、主観だから。世界が変わったと思ってる人はいるから。ボーカロイドツールでもブームでもなくてカルチャーになってるのが、見ていて聞いていてわくわくする。

やっぱりこのCM、何度見ても好き。「たくさんの点は線になって」。(……でも育てたのはYouTubeじゃないじゃん、とは思ったしこれからも何度だって思うけど!!)

  • よろこびの歌

よろこびの歌

よろこびの歌

Kindleでセールになってて、女子校のクラス合唱が題材の群像劇か、と思って女子校モノ好きだから何の気なしに買った本。最初は普通に読んでたどころか、案外盛り上がり少ないな~文章きれいだから最後まで読むのはできそうだけど、というくらいの姿勢だったんだけど(ごめんなさい)、ある箇所で不意を突かれたようにボロボロ泣いてしまった。朝の通勤中の電車の中で泣いてしまって、反則だよ、と思った。

世界は68億の人数分あって、それと同時に、ひとつしかない。いくら現実逃避したところで、ここで私は生きていくのだ。

うーん、いざ説明しようと思うと困っちゃう。なんだろう、高校生のときってある日突然世界の真理がわかるじゃん。大きな事件とかドラマとかなくたって、本当にどうでもいいタイミングでパッと目の前が開ける瞬間があるじゃん。そういう小説。背筋が伸びる。泣いても笑っても怒っても投げ出したくなっても境遇を呪っても誰かを恨んでも、自分の人生を生きてくれる人は自分しかいないのだ。

  • 聖の青春

聖の青春 (講談社文庫)

聖の青春 (講談社文庫)

3月の電王戦をきっかけに将棋を見始めて、将棋好きな人にとりあえずこれを読め!と貸してもらった数冊のうちの1冊。大崎善生はわりと好きなんだけど、これは将棋題材だから読んでもわからないかな~と思ってスルーしてた。えーーーめっちゃおもしろいじゃん………。普通に後悔しました。

29歳で人生を閉じた天才棋士村山聖の人生の記録。どこまでがフィクション(脚色)でどこからがドキュメンタリなのか分からないけど、そんなのは問題じゃないくらい、生粋のゲームプレイヤーとしての高潔さにやられる。大崎さんのもったいぶっててガラスみたいな水晶みたいな文章がとてもよく似合う。読み進めると止められなくて生活に支障が出た。

しかし、天才の中のほんの一握りの天才しかプロになれなくて、子どもの頃に運命付けられた相手と何度も何度も何度も同じように盤を挟んで向かい合う、って、何その世界漫画でしょ、いやむしろ神話?って感じなわけですよ。わたしの中で将棋は黒子のバスケにめちゃめちゃ近いわけであって……(というとお前は何を言ってるんだと高確率で言われますが本気)。

やっぱり個人的には圧倒的に電王戦に興味があるのでまた3月が楽しみです。


知らないしわからないけど将棋を教えてもらうのが楽しい話 - インターネットもぐもぐ

 

  • 性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか

性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか

性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか

前からタイトルだけは印象的だったから覚えていて、これもKindleで安くなっていたのをきっかけに買った。とにかくひたすらインターネットと人々の欲望をめぐる話をずうううっとしていてとても面白い。最高。世界は広い。

「性欲」って書いてあるけどもっと広く、萌えやときめきやフェチズムを科学していく。男女ポルノはもちろん、ゲイポルノ、やおい、エロ漫画、「絶対領域」、「ふたなり」、トランスセクシャル、ヴァンパイア、全部出てくる。身も蓋もない話をすると、どんな偏屈な嗜好を持っていたとしても結局人間は動物でしかないし、すべては脳神経の刺激とホルモン分泌で決められるのだな……と思える。肉体は抗えない。


まずもう目次からしてアツすぎる。「男は映像を好み、女はストーリーを好む」「圧倒的な少女たち、がんばっているMILF(日本語で言うと“人妻もの”に近い概念)」「なぜ手フェチじゃなくて足フェチなのか」「お尻や乳房など体ばかりに注目するのはなぜか」「女性は優秀な長期投資プランナーである」「ヒーローには『ココナツ』のようであってほしい」「ゲイの男を惹きつけるキュー ストレートの男と違うところは3つだけ」「求む、背が高くてお尻がカッコいい男」「浮気妻と素人娘は競争原理と本物志向の表れ」「男と女の性的欲望の本質を知る」「『むりやり女に変えられた』快感」「そして欲望はイリュージョンを生み新たな次元へ」――これでまだほんの一部、書き出すだけでおもしろくなってきた。すごいでしょ。

今まで性欲って研究対象にしにくかったけど今はみんなの本性がバレるインターネットがあるんだぜ!がコンセプトだから、検索ログからファンフィクションや動画のカテゴリから各種専門サイトの数からソーシャルブックマークのタグから脳科学や社会心理学の実験から次から次への生々しいデータ満載。

いきなりハリポタや指輪物語のBLが引用されるし、アダルトビデオや官能小説サイトについてるタグもガンガン解析してるし、「HENTAI」として世界に轟く日本のエロマンガが「脳にエロさをかきたてるキューがてんこ盛りでいいね!」って褒められるし、もうほんと全部入り。男と女はもう本能として理解しあえないんですね……と思ったあとに、じゃあゲイのみなさんの心と体の動きは?ってところに話題が移ったり、かゆいところに手が届く感じでかなり分厚いけど飽きずにどんどん読める。

男はひとつのキューだけで性的興奮を覚えるが、女はいくつかのキューが集まらない限り、性的興奮の基準に達しないし、基準自体も進化する。

(女性向けファンフィクション、つまりBL=スラッシュの話で)ヘビーなポルノ小説は「PWP」と呼ばれているの。PWPは「Plot? What Plot?(筋?筋なんてどうだっていいわ)」の略よ。

目に写る像や食べ物の味を組み合わせることで驚くべき効果があるのなら、セクシュアル・キューを組み合わせたらどうなるのだろうか?エロチックな作品でも「モナ・リザ」の微笑みに匹敵するようなものが作れるのだろうか?
きっぱり言おう。答えは「作れる」だ。
いくつかのセクシュアル・キューを組み合わせることで生まれる一種の知覚トリックを僕たちは「エロティカル・イリュージョン」と名付けた。

エロティカル・イリュージョン!!!最高!!いみわからない!!!(読めばわかります)いやー、おもしろかった。ちょこちょこ引用されてたこれも読みたい。

女だけが楽しむ「ポルノ」の秘密 (進化論の現在)

女だけが楽しむ「ポルノ」の秘密 (進化論の現在)

 

  • 幻の近代アイドル史

2014年一番おもしろかったのはやっぱりこれだ~~! 思いの丈はすでにたっぷり書いたので以下をご参照ください。


戦前のマジ恋“アイドルヲタク”の生態に迫る「幻の近代アイドル史」 - インターネットもぐもぐ


骨の髄まで超ミーハーなのでみんなが熱狂してるものになんでも首を突っ込みたいと思ってまた1年生きてた。それぞれの熱源を絶対に否定はしたくない、できれば一緒になってお祭に参加したい、と思ってそういう意味では真剣でいるつもりだから、金や情熱を注ぐ対象がくだらないって思われてもわたしは好きだし、同じように好きな人たちのことも好き。ヒップホップもアイドルもそうだけど、メインストリームからはある意味軽んじられがちな、下に見られがちな「くだらない」文化をきちんと見つめて解説して読みといてくれるものに元気出るし好んでるんだなってことが書きながらわかった。


2015年も「信仰の現場」をたくさん見たいし行きたい知りたいよ~~!というかここ数ヶ月新しいものを学んでいないのでフラストレーション。2013年は毎月1つ新しい何かに手を出すことを目標にしていたのでした。

今興味がある世界はゲーム実況(女の子たちの熱狂の根源をもっとちゃんと理解したい)、ディズニー(パークヲタにもいろんな視点があってすごいと聞いて)、Wikipedia(主なき戦争の世界)、ロードバイク(沼に落ちていく様をもっと仔細に聞きたい)、フォント(ハマるとどうなるの!?フェチズムにぞくぞくしたい)、アメコミ(作品としての魅力も二次創作の話もものすごく興味ある)……あたりなので教えてくれる人いたらお声かけください。それ以外でももちろんいいです。布教されたい欲。超前のめりに話を聞くのでぜひお茶してください。

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

2014年の振り返りはまた改めて。今年も元気です。

アニメ制作現場のお仕事アニメ「SHIROBAKO」、元気出る大好き(年明けも続く)

TVアニメ「SHIROBAKO」がとってもおもしろい。今年は10月後半があまりに身辺がバタバタしていてドラマもアニメもクールの最初に全然チェックできなかった。SHIROBAKOも最初は見てなくて、少し生活に余裕が出てきたころに複数人にすすめられたから見たのだけど一気にハマってすごい勢いで見た。最高だ~~~! 元気出る。あと、泣ける。有名人じゃなくたって個人の名前でやってなくたってあなたの仕事は必ずちゃんと尊い。

TVアニメ「SHIROBAKO」公式サイト

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シロバコとは映像業界で使われる白い箱に入ったビデオテープの事でありひとつの作品が完成した際に、制作者が最初に手にする事が出来る成果物である。イラストや写真等で華やかに作られている販売用パッケージと比べれば、白い箱に入っただけのテープは地味かもしれない。しかし、そこにはクリエイター達の想いが詰まっている。

この物語は、5人の夢追う女の子を中心に、シロバコの完成を目指し奮闘するアニメ業界にスポットを当て日々起こるトラブルや、クリエイティブな仕事ゆえに起こる葛藤や挫折、集団で作るからこそ起こる結束や衝突といったアニメ業界の日常を描いた群像劇作品である。
そして、5人が共に目指した夢への挑戦。その先に見出す希望へと続くサクセスストーリー。
そう、アニメの今がここにある…

簡単に言うとお仕事もので、TVアニメの制作現場を描いてく話。っていうと動きが少なそうだけど、キャラは立ってるし、うわー!ってなるハプニングもどんどん起こるし、テンポよく進んでく。制作進行の新人・宮森あおいが社内外のいろんなトラブルをなんとか切り抜けてく。みゃーもり(愛称)がんばれがんばれ!って気持ちになる。

作打ち、撮影、回り込み、コンテ撮、作監、動画検査、動仕、ダビング、色指定……もう最初から容赦なく知らない単語出てきまくるのにときめく!!!!知らない世界を見せてくれるの大好き!!!本編では全然説明してくれないんだけど(そこがいい)、公式Webサイトに超細かい用語説明やら進行表とか載っててこれを見るのもまた楽しい。あと人の名前とか具体的な作品名とかもいろいろパロディでその元ネタを解説ブログやWikipediaで知るのも楽しい。詳しい人が見るともっと発見が多いんだろうな~!でも知らなくても全然楽しめる。
SHIROBAKO - Wikipedia
アニメ業界の者だけど「SHIROBAKO」12話を詳しく説明する!! : あにこ便

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さすがにわたしでも分かった事例(12話)。声もそっくりだった……笑


アニメ業界……どころかアニメにも対して詳しくないんだけど(Aパート、Bパート、Cパート、の意味を最近知った)それでも面白いのは「働く」ってことに対して真正面から描いてて、そこに過剰なドラマ性がいい意味でないからだと思う。何か特別なことが起こらなくたって、1つの仕事をみんなで少しずつ進めていくことは、完成に一歩一歩近づいていく様は、当たり前のようですごいことなんだなって素直に思える。役職によって物事の優先順位に差があったり、大事にしたいところが違ったり、いろんな思惑をすりあわせて1つのものに向かってく。アニメ、ほんとに何気なく見てるけどものすごくたくさんの人がものすごく細かいところまでこだわって悩んで議論して、こうやって映像になってるんだな~って思いを馳せてじーんとする。アニメはあくまで1つの形であって、世界のすべてのものはそうやってできてるし、自分のちっちゃい仕事だって何かにつながってる、って思って元気出る。


いくつも好きなシーンはあるんだけど、12月25日に放送された12話、1クール目の最終話ほんとにボロボロ泣いてしまった。いつも結構うるっときてしまうんだけど、12話は本当に好き。
『SHIROBAKO』12話感想 1クールの締めに相応しいめちゃくちゃ熱い展開!杉江さんカッコ良すぎる:萌えオタニュース速報

武蔵野アニメーションの手がける「えくそだすっ!」の最終話が進行ギリギリで追い詰められてて、クライマックスの馬の大群が走り抜けるシーン、どうするよ……作画カロリー高すぎてこのめちゃくちゃなスケジュールじゃこなせないよ、何か諦めるしかないんじゃない?ってなって万策尽きそうになってるところで、一筋の光明が。

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どんな立場の人でもそれぞれの悩みがあってそれに大小なんてないんだよな~~悩みなんてなさそうな、一見完璧に見えて尊敬しかないような人でも何か抱えてるんだよなぁ。自分を活かせるポジションを仕事を発見してもらえるのは幸福なことだなって思う。この人は萌え絵なんて描けないしなぁ、と思われてたし自分でもセーブしてたベテランアニメーターの杉江さんが、かっこよくてかっこよくてかっこいい。


あと、宮森あおいちゃんはじめ、ムサニスタッフにも高校のアニメーション同好会の仲間としても、働く女性がたくさん出てきてその描き方が本当に好き。嫌らしくない。頑なでもない。

宮森さんは、新人だけどよくあるドジっ子じゃなくて、むしろめちゃめちゃしっかりしてて先輩からの信頼も厚くて、頼まれた仕事を粛々とこなして、でも「結局わたしの夢ってなんだろう?毎日必死だけどこの先って…」って悩む。アニメーターの安原絵麻さんはキャリアアップも早くて傍から見たらこなせてるのに真面目だから壁にぶつかるとぐるぐる考えちゃって落ち込んじゃう。CGクリエイターの東堂美沙さんは会社が車の造形専門で、入社してからホイールしか作ってないよ、転職したほうがいいんだろうか、いつかキャラクターを動かす仕事がしたいのにこのままじゃだめだ、まだ1年も経ってないのはわかってるけど、でもいつになったら?って悩む。今はかっこよくて会社を支える先輩たちも、いろんな悩みの先に今があるってじわじわわかる。

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働く女をフィクションとして描くのって、変に女の意地悪さ(ファーストクラス)あるいは逆に女の捨て方(働きマンとか)にクローズアップされがちだなって思うけどSHIROBAKOはそのバランスというかニュアンス、自然な視点が上手だなって思う。角を立てずにその場をおさめる、とか、同性だから相談しやすい、みたいな局面って現実ではあることで(性別をウリにしてるとかじゃなくて…うーん、上手く言えないけど)。みゃーもりが先輩の矢野さんに「アメとムチを使いこなすの、誰でもできるわけじゃないから、あんた制作向いてるよ」って言われるシーンが好き。近くで見てくれてる誰かがハッキリ言葉にして自分の仕事を肯定してくれるのってすごい支えになるよねえ。


あと、見た人全員が思うことだけど宮森さんと働くもう1人の新人制作進行・高梨太郎くんが「それはあかんでしょ!!」をしまくりで地雷踏みまくりで頭抱えること必至!自分の身近な人を思い浮かべたり、昔の過ちを思い出したりして、ものすごく背筋が伸びます。「だからぐだぐだ迷ってないで、はよ相談しろって!!!!」「お前の『だいじょーぶです!』は信用できんわ!!」って具体的にイラッとできるので自分も気をつけよう…と心から思えます。タローくんありがとう…(?)


SHIROBAKO 第1話 ‐ ニコニコ動画:GINZA
1話は無料公開してますし、年が明けても2クール目が続くのでリアルタイムに追いつけますよ!
触れ込みでは「高校の同級生がいつか一緒にアニメを作る夢に向かって……」って感じだったけど1クール目はあおいちゃんと絵麻ちゃんのいるムサニの現場が中心だったから年明けからはもう少し5人のシーンが増えていくのかな。
回収されてない伏線いっぱいあるし続きも超楽しみ!!!ナベPにもっとときめきたい。


追記:
GYAO!で1月5日まで全話無料配信してた~!!!!

もっと恋愛漫画を読みたい

恋愛漫画を読みたいブームがきてる。きてるんだけど、なかなか共有できる人がいなくてさみしい。

20代半ばのわたしの周囲でそれなりにマンガ読む人ってBLを中心に嗜む人も多くて、恋愛漫画についての情報って意外に入ってこない。Amazonレビューも少ないし、雑誌やメディアで特集される機会も比較的少ない……ような気がする。

なんというか、身も蓋もなく言うときっとイタいイメージがあるのでしょう。いつまでも恋に恋してるんじゃないよおまえ……って思われている気がします。「アラサー向け少女漫画(笑)」のイメージのアレさも貢献してるんでしょうか。でもね、年下の男の子に理由なく惚れられて会社休みたくなったり、世を憂いて住み着いた田舎で歳は重ねているけどダンディな魅力あるおじさまと出会っちゃったり、壁ドンされたり足舐められたりを見たいわけじゃないんですよ!!!そういうことじゃないの!!!


……ちょっとこのあたりの話は長くなりそうなのであとにまわします。
会最近読んだ中で好きなやつを書きます。女子を好きになれないと恋愛漫画読めないことがわかってきた。


アヤメくんののんびり肉食日誌 (Feelコミックス)

アヤメくんののんびり肉食日誌 (Feelコミックス)

大学の生物学科の研究室が舞台。「基本的に生きて動いてるものは苦手なの」な骨の研究してる派手でギャルっぽいのに研究大好きな女の子と「僕は恐竜が一番好きなんです、今いる動物だと爬虫類」の年下の男の子がゆるゆる距離を縮めていく話。いちいち細かいエピソードがたまらん。いちゃつかなくても楽しそうでよい。


ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

ひるなかの流星 1 (マーガレットコミックス)

絵がとてもきれい。服がかわいい。読んでてずっと気持ちがよい。獅子尾せんせーが髪を結んでるのがものすごく好き。基本的に先生と生徒関係は全然ときめかない(おいおいおいおいって気持ちが圧倒的に上回る)んだけど、スタートの関係性が上手だしヒロインに嫌味がないから好感がもてる。そして同級生・馬村くん…いやがんばってほしい…ほしいが…と思ってると途中からめっちゃ応援してるからあれ!?ってなる。かわいい。かわいいの見せ方がかわいい(伝わる人にだけ伝われ)。あと、装丁がすべて最高。並べたくなる。ついに連載が終わってしまったので12巻で完結らしい。どきどき。


古典「とりかへばや物語」が下敷きの男女境遇逆転もの。男装して出世していく姉と女として宮廷に仕える弟。今5巻まできていっそう佳境。
前にも書いてた。


思春期ビターチェンジ(1) (ポラリスCOMICS)

思春期ビターチェンジ(1) (ポラリスCOMICS)

幼なじみの男の子女の子が精神入れ替わっちゃう話。設定としてはよくありそうだけど、小学生から始まって、謎が解けないまま淡々と成長していくのが、お互いの毎日が当たり前のようにさらっと描かれていくのがざわざわする。もちろん最初は元の身体に戻りたいと思って試行錯誤するんだけど、途中から何が正解なのかどうしたらいいのか、このまま戻りようがないなら何をどう受け入れたらいいのか、読んでる側もよく分からなくなってくる。表紙だけ見ると入れ替わった2人の恋模様ぽいけどそういうことじゃなかった。もっとぐぬぬってなる。続きが楽しみ。


彼女とカメラと彼女の季節(1)

彼女とカメラと彼女の季節(1)

完結した。百合なんだけど、真ん中に男の子がいてこの子がいる意味がものすごくあって読んでてきれいな構図だなあってうっとりできる。高校生の女の子の刺したらしぼみそうな、揺らしたらこぼれそうな、そういう恥も外聞もなくひたすら感情のぐらぐらする感じがうまい。カメラって、エロいよね。エロい。


ママレード・ボーイ」の登場人物たちの弟妹の話。単なるスピンオフで懐古厨としてだけじゃなくて(いやそういうところももちろんありますよ!)(光希も遊も銀太も茗子も出てくる)キャラの造形がめっっちゃかわいい。立夏ちゃんはかわいいし朔くんはかっこいい。とにかく吉住渉さんのカラー絵の配色が好きすぎる。表紙からして最高です…ってなる。明るくさわやかにラブリー。あと巻末の「ママレ」本編解説が当時読んでた人間の胸を突き刺してくる。


大学院卒業しても就職先がないから家政婦として契約結婚する話。よく名前を見かけるけどこの設定だしなんか……と若干敬遠してて、でも暇な夜中にKindleで冷やかしのように買ったらおもしろかった。1巻だけじゃよくわからないと思う、続きまで読んでほしい……。勤労としての同居と家事、社員旅行としての実家へのごあいさつ、会話は敬語、そういう設定でガチガチに固めてきてさっくり“偶然のいたずら”で恋愛モードにスライドしたら絶許だからな!?!?とギリギリしながら読むじゃん、読み進めるじゃん、意思は固かったはずじゃん、あれ気づけば(略)って感じで、いやー海野つなみさんとっても上手ですね。。連載中だから楽しみ。


回転銀河(1)

回転銀河(1)

「逃げ恥」おもしろかったごめんなさいみなさんと思ってたら「海野つなみさんならこれを!」とガッツリおすすめされて一気に買って読んだ。面白かったー!って感じじゃない方向の満足感ありまくる。オムニバスの短篇集で人間関係の断片が少しずつ編まれていく。実の姉と弟のあれこれから始まって、題材としてはセンセーショナルなんだけど、でもこの人が描きたいのはそういうことじゃない。「愛の形にはいろいろあるでしょ」ってことを言いたい、って何度も書いてるしその通りで、友情も恋愛も全部愛のお話だなって思う。どの子がすきかなぁ自分は誰かなぁって考えちゃう。


というわけで、新旧問わずにもほどがありますが最近読んだシリーズでした。
年末年始に読むものに飢えてるのでお心当たりの方いらっしゃったら教えて下さい。


終わり。ここからは冒頭の続きです。すでに長すぎる。

「どうせアラサーで恋愛漫画読む奴はこんな感じにやっときゃ喜ぶんだろwww」のパターンとして「なんかよくわからないけどモテる」構図があると思うけど、好感が持てるやつもあって、例えば「9時から5時まで」はわたしの中では先のブログで出てる「&」同じ感じで好き。なんていうのかな……誰にも特に感情移入できないけど読んじゃう枠。

言い寄られまくることに付随する心労とか自意識の描き方がよい。「女版モテキ」。「東京版SATC?」って触れ込みだけど圧倒的にモテキだと思う。神田の英会話学校でバリバリ働く非常勤講師、留学経験ありの上智大卒、夢はNYで働くこと、な27歳女性が主人公なんだよ?下北沢のWebメディアに就職することになる派遣社員バナナマンの大ファンの29歳サブカル男性――ほらほら、きれいな対偶っぽい。

& 1 (Feelコミックス)

& 1 (Feelコミックス)


恋愛中心に生活まわす余裕なんかないから~仕事もあるし趣味もあるしやりたいことたくさんあるし~っていうのが“働く大人の女の子”(後述)の合意なわけですよね。っていうか誰かと相互関係を築いていくって、一方的にときめくより面倒なプロセス多いわけじゃないですか、当たり前だけど。何かを愛したい欲を発散するならもっといろいろあるわけですよね。

新潮社の女性誌「ROLa」が創刊されたときに「恋より楽しいことがある」ってキャッチコピーで、当たり前だろうが!!!と多くの淑女の皆さんが思ったわけですが、まぁ改めてこんなキャッチが成立してしまうくらい女性向けコンテンツのなんでもかんでも恋愛に収束していく確率の高さよ。そして最近の「ROLA」(表記が変わった)は「働く大人の女の子のごほうびマガジン」てタグラインになってて辛さがある。どっちも違う意味で辛いけどこの変化込みで一層辛さが増すな……。

ROLA (ローラ) 2015年 01月号

ROLA (ローラ) 2015年 01月号

こ、こんな感じになってるのか……「泣いてこころきれい」……!


話が脱線した。
とかまぁ、散々言ってきてここでこの恋愛コンテンツ欲はなんなんだ??と考えてみたんだけど、それなりの親密さになるのはわりと簡単になってるけど、じゃあそれなり以上に仲を深めるって何?のプロセスをもっと見たいんだと思う。友情と恋愛のグラデーションをいろんなタッチで見たいんだと思う。

もはやネットでしか友達ができないし(異論は認める)同じ何かが好きな人、この人なら気が合いそうって人ばっかりでいいし、わたしの場合はとりわけ女性ばかり好んで会うし、最初からそれなりに好意がある状態でスタートできるけど、それ以上になるのって男女どちらでも意外に難しい。きっかけが逆にない。

受け入れられたい…肯定されたい…恋愛is自己承認…愛をくれ…ってところじゃなくて、「くっそー、この人のこと好きじゃん……」の恥ずかしさや敗北感(ってあえて言う)をどう受け入れるかとか、えっ何考えてるのか全然わからないんだけど??みたいな探り探りな感じとか迷いとか、そういう能動的なアクションとしての恋愛を摂取したいのだ。

でもわかんない、今恋愛小説ってそもそも売れてるんだろうか?ある時期には世界の中心で愛を叫んだり100回泣いたりする純愛ブームがあったわけだけど。今「テラスハウス」がめっちゃ人気出たのもすごいおもしろいと思うし、由比ヶ浜のいいところだけを切り取ったInstagramみたいな映像を毎週楽しみにしてた彼女たちがどのあたり琴線が触れてるのかとても気になる。

あとBLも恋愛コンテンツとしていいのかしら。ジャンルとしてものすごく充実しててどんどん進化してて、書き手も読み手も愛と情熱があってすごい。BLの根本的なおもしろさはやっぱり前提として、友情と恋愛のグラデーションをかなり細かく描かなくてはお話が成立しないからだよなぁって思う。おもしろいの、よくできてるなぁって思うの、ありすぎる。男同士をメインにするという制約があるからこそどこかが自由になる感じ。

最近は何周かまわってアイドルを好きでいることも広く「恋愛」のくくりでいいのは?って思い始めてきた。「疑似恋愛」なんて言葉を使わなくても、好きでいて一挙一動にときめけるんだから、相手が同性でも異性でもこの感情は恋ってことでいいよ、って思ってる。1対1じゃなくても、次元の壁の向こうでも、それはそれで愛だからいいかなって……。

嫌いなものに呪詛を吐いたり怒りをぶつけたりレッテル貼ったり他人を煽ったりするより、なんでもいいから愛に生きる方が幸せっぽい。

追記

コメントやTwitterで教えてもらったもの。読むぞ~

夫婦サファリ 1 (Feelコミックス)

夫婦サファリ 1 (Feelコミックス)

ボクは狼。 1 (りぼんマスコットコミックス)

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スプラウト(1)

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隣のあたし(1) (講談社コミックス別冊フレンド)

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BEAR BEAR 1 (花とゆめCOMICS)

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夏の前日(1)

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新装版 恋風(1)

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異国館ダンディ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

異国館ダンディ 第1巻 (花とゆめCOMICS)

ベル・エポック 1 (YOUNG YOU漫画文庫)

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となりの怪物くん(1)

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星屑クライベイビー (マーガレットコミックス)

星屑クライベイビー (マーガレットコミックス)

カレは女とシたことない。 (Feelコミックス)

カレは女とシたことない。 (Feelコミックス)

デビルズライン(1) (モーニング KC)

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キャリアこぎつねきんのもり 1 (クイーンズコミックス)

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14歳の恋 1

14歳の恋 1

溺れるナイフ(1)

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おはようおかえり(1)

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いちばんいいスカート (フラワーコミックス)

いちばんいいスカート (フラワーコミックス)

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)