ひねくれた大人の無責任シティロマンス恋愛漫画「A子さんの恋人」が本当に最高。トーキョーとNYをまたにかけて、阿佐ヶ谷や御茶ノ水や台東区や京成ライナーやスタバやユザワヤや世界堂や伊勢丹やイナムラショウゾウであれこれ。ひえ~都会的ですね~~~。1巻も大好きだったけど2巻がおもしろすぎて、あまりに好きすぎて読んで読んでと言って回っている。
主人公の「A子」さんは漢字だと「英子」なんだけどこの表記になっていて、そこからしてすごい好き。「エイゴのエイに、子です」と言ったら「A子」って書かれたことがきっかけなんだけど、名前なんてそんなもんだよね、他人にとってはね、けいこちゃんゆうこちゃんも「K子」「U子」だね、ところで、あなたたちの名前の漢字ってどんなんだっけ?という話から始まる(「10年来の友達の名前、普通忘れないよね?」と返すけいこちゃん)。
A子さんは3年間NYに住んでいて帰国したばかりなのだけど、3年前に微妙に別れきれていない元カレ(と言い張っている)と、NYに置いてけぼりにした現恋人(ということに一応なっている)がいて、それぞれ仮の名前として“別れたつもりの男の名をつまびらかにしてもしかたがないので”「A太郎」と、対比として日本語ペラペラインテリメガネで性格の悪い「A君」と置かれていて、それで話が進む。2人の合間でふわふわしているのを周りでやいのやいのして応援したり引っ掻き回したりする友人たち。三角関係と言っていいのか微妙なくらい、あるのかないのかよくわからないぐだぐだで煮え切らない優柔不断さ。
クズい男が出てくる漫画は山ほどあるけど、A子さんは女性の側もクズとも言い切れないそこはかとないダメダメさ、どうしようもなさ、問題を先延ばしにしたがるそれあかんやつや!感があるのがいい。けいこちゃんもゆうこちゃんもそれぞれ歪んだ心根を持っていていい。無自覚に末恐ろしい女と、性根が悪い男と、性格が悪い男と、性格の悪い女たちの話。
……って書くと、あーはいはい最近流行りのアラサーものね、って感じだけど、「アラサーあるある」っていうより、人間あるあるっていうか寓話的な作りでおもしろい。いちいち出てくるエピソードが妙に生々しいのに現実的ではなくて、生活感があるのにファンタジック。そして端々のセリフのひねくれ感にやにやする。
「誰か心の薄汚れた人で中和しないと自己嫌悪で死んでしまいそう!!」あるあるあるある pic.twitter.com/yBB2IgyELs
— もぐもぐ (@mgmgnet) August 11, 2015
A太郎とゆうこちゃんは顔をあわせるとにこにこ毒を吐いているけど今回の最高の会話はこれ pic.twitter.com/1jmoVaCYMu
— もぐもぐ (@mgmgnet) March 13, 2016
「安くてたいしておいしくない物を死ぬほど食べたい気分」、めちゃくちゃにわかる。
— もぐもぐ (@mgmgnet) March 13, 2016
1巻も好きだったんだけど2巻でさらにぐわっとおもしろくなった。それぞれのキャラクタのいいところと悪いところがどんどん見えてきて思い入れが高まっていく。A子さんはますますダメダメだなあ!!けいこちゃんいろいろがんばれ。ゆうこちゃん強い、わかるよ。A太郎、お前は本当に悪い男だよ……。A君性格悪いだけじゃなくてかわいいところあるじゃんか~~!!好き!!!
しかしねえ、A太郎ね。ほんとにね。随所随所で、こ、こ、こいつ……!(好き!!)ってなってしまう。作者の近藤聡乃さんが1巻発売時のインタビューで言ってるここの一節が大好き。
──A君だけが悪くないということは、A太郎は悪いんですか?
悪いと思います。生まれたときから悪い。女の子をとっかえひっかえしていること自体はそんなに悪くないと思うんですが。──親しくもない家にあがりこんで、馴染んじゃう、という才能が悪いと。
やっぱりお正月にぜんぜん知らない人の家に堂々と行って、馴染んでカルタして盛り上がってちゃっかり終電で帰るっていうのは悪質だと思います。人としてやっちゃいけないことなんじゃないかと思う(笑)。
A君とA太郎とどっちと付き合いたい!?(きゃーきゃー!)みたいな感じではなく、とにかく後先をどうしても考えちゃうオトナの人間同士の距離感の話なので、恋愛漫画ではありますが自分の胸に手を当てて日頃の行いについて考えさせられる。人はみんなどこかダメ人間なわけじゃないですか。自分の中のクズみについて考えさせられるよ。
というわけで続きがすっっごく楽しみ!!!どうして電子書籍になっていないんだ~~!!悲しい。
近藤聡乃さんはNY暮らしのエッセイ漫画「ニューヨークで考え中」もおもしろいです。変に海外暮らし!という色味ではなくて、淡々と生活の話。
Webで連載読める。→ ウェブマガジン「あき地」
- 作者:近藤 聡乃
- 発売日: 2015/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
去年読んだ恋愛漫画まとめでもこの作品については書いてた。
mogmog.hateblo.jp
以下、わたしとわたしのタイムラインで見かけた感想たちです。
NYにいる恋人にバレンタインのプレゼント送るの忘れてた!!!1週間きってるから普通に送ったら届かない!!ていうか思えばクリスマスカードも年賀状もやってない、今回逃したらヤバい…FedExなら早く着く…でもギリギリになったからってバレる…からのA子のごまかしとA君の反応が好きすぎ
— もぐもぐ (@mgmgnet) March 13, 2016
戦略的に見えて隙あるA君めっちゃときめくじゃん好き…なんだけど、「こんなことならけいこちゃんと付き合えばよかったよ〜」って軽口叩いてからの「こんな見え透いたセリフで頬を赤らめてくれるなんて!?」って茶化してくるA太郎も超好き…… pic.twitter.com/NB8lvgvr7X
— もぐもぐ (@mgmgnet) March 13, 2016
A子さんの恋人2巻買って読んでるんだけど、バレンタインエピソードも、萌える…… pic.twitter.com/opqkZLuyE5
— あもり (@_amoyam) March 14, 2016
絶対A太郎だと思ってたけど普通にA君のことが好きになってきてしまった。冷静に考えれば現恋人だし、頭もいいし、ブロンドでメガネなんだよ。
— あもり (@_amoyam) March 14, 2016
心のきれいなひとには勧められないけど、心の薄汚れた人にはとてもおすすめ、A子さんの恋人
— かごめ (@ramlosaxx) March 13, 2016
もぐもぐさんがオススメしてた「A子さんの恋人」めっちゃ良い…。
— 和泉 (@ddizumi) March 16, 2016
「まぁいいところだってあるしと思わせられて(悪いところはその倍あるのを私は知っている)」とか「その場の思いつきでできる気軽な優しさの数々」っていうこのセンスや良し。 pic.twitter.com/A99DZNj2l1
わ~~~ん私も歳相応に性格の悪いアラサーと恋話したーい!「あんたまた無印良品で働いてそうな男を好きになったの?」とかマウンティングしたーい!(←性格が悪い)
— 和泉 (@ddizumi) March 17, 2016
だめだわA太郎すきだわ……いやA君では……を毎話繰り返させるのすごい
— ひらりさ (@hirarisa_F) March 16, 2016
懐の深い男VS懐に入り込む男
— ひらりさ (@hirarisa_F) March 16, 2016
A子は人気者が嫌いなのでA太郎嫌いで、人気者の悪口を言ってるような人間が好きなんだけど、A太郎がまさにA子の嫌いな女に的確な罵詈雑言を笑顔で言ってるのを聞いて恋をしてしまうっていう流れすげーーーーーーーー「良い」でしょ
— ひらりさ (@hirarisa_F) March 16, 2016
というわけで「A子さんの恋人」超おすすめです、電子化されてないので単行本でどうぞ https://t.co/KlLr7mnGDH
— もぐもぐ (@mgmgnet) March 13, 2016
追記:2016/11/20
3巻が出ました。最高でした。
「A子さんの恋人」3巻もめちゃくちゃ最高でした……しかしこれまでの2巻分のにやにやできる軽快さとは異質のしんどさ!苦しい!助けてくれ!!帯の「愛はどこだ」ってコピーが重い!!! https://t.co/ffmxDkPfiW
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月14日
A君は相変わらず意識的にいじわるでいないと理性を保てないところが本当にいい、なんで俺はあいつのこと好きなんだよ…ってA子ちゃんのことを憎々しげに愛しく思い出していく一連のシーンが超最高
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月14日
私はこういう自分が誰かを好きな感情にまでいちいち理由をつけて確認しなきゃいられない質の人が本当に好き 確認した上で好かれてるのは最高だよ
— 水 (@m_i_z_m) 2016年11月13日
A太郎…いやわかってる、わかってるけどA太郎派なんですすみません結局…と思わざるをえない。。ギリギリ嘘はついてないけど明らかに騙そうとはしてる言葉遊びを息を吸うようにできちゃうのが好き(って言葉にするとサイテーだな!)
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月14日
ナタリーの紹介記事に出てる画像でいうと、付き合ってると旧友に勘違いされたところで1秒も迷わずに「来年結婚するんだよ!」って「具体的なウソ」をつくところ、A太郎のこういうところ、が、死ぬほど好きで憎い!!! pic.twitter.com/MfgjbVwhxz
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月15日
A太郎は自分の幸福も不幸も他人に左右させないであろうところがほんとに好きだな…「君のためを思って」なんて絶対に言わなそう(もちろんそれは吉にも凶にもなる)
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月16日
『A子さんの恋人』3巻読んだんですけど、本当にA太郎は、自分にあまり自信のない女子が「この人に好きになってもらったら、選んでもらったら、きっと自信が持てるはず」と思い込んでしまうタイプの人間で、実際みんな好きになるけど、ただ「好きになったらやばい」というただならぬ不安も与える男だ
— 鮭とば子 (@Lrg_girl) 2016年11月15日
A子さんの恋人では「みんなが好きになっちゃう男は、やばい男」ということが学べます
— 鮭とば子 (@Lrg_girl) 2016年11月15日
https://twitter.com/roserougeparfum/status/798548971069140992
A子さんの恋人を読んで「K子は私みたいだな〜」と言う女は違います。K子が最もK子たる所以は「自覚がないところ」だからです。K子に似てるって言って真面目な女アピールしてる女が1番危ない女だぞ!!!!
— noxxx (@noxxxtwin) 2016年11月15日
松野おそ松になんらかのなにかを感じる人は絶対に読んで損はさせない!!!
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月15日
https://twitter.com/sarirahira/status/798505762586664960
「カヤバ珈琲で女と会う男」というより「いまいち脈がないであろう男に告白するのにカヤバ珈琲を選んでしまうような女を無意識にたぶらかしている男」がダメ(好き)
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2016年11月15日