毎月何か1つ、新しく入門するシリーズ。今までの挑戦履歴は、こちら。
もう随分前のように思えますが、3月は1ヶ月かけて短歌を勉強していた。2月の終わりに会った女の子がわたし大学で短歌会入ってて、って話してて楽しそうだった。ただそれだけ。確かに短歌ってちょっとやってみたかった。現代文の授業とかでやったことないわけではない。でもよくわからん。ちょっとおもしろそうな気がする。いつもは140文字に支配されているけど、それを31文字にしたら何が見えるかしら。
結論から言ってすごくおもしろかった。短歌を勉強し始めると何を見ても定型に落としたくなる。短歌脳。趣味は短歌です、なんて言えるところまでは全然行けてないけどスイッチ切り替えるくらいはできるようになった。毎月思ってるけどねー、大人になってから新しいことを勉強するのはすごく楽しいよ。
3月はじめ。
今月は短歌、って決めたけど、しかしまあ……何からやったらいいかさっぱりわからない。とにかくいつも通りまずは図書館に向かう。入門っぽいものを読みまくることからはじめることにする。
短歌の棚の前に立って愕然とする。全然頭に入ってこない。俵万智と穂村弘と枡野浩一しか知らない。あとは北原白秋とか若山牧水とかになってしまいます。わたしの知識の少なさよ。。
とはいえこういう感じはもう何度か繰り返してきて慣れてきたので気を取り直して挑む。どどんと借りて、ざくざくページをめくる。1ヶ月かけて相当読んだけどその中からいくつかピックアップ。短歌入門的な解説ものと歌集と混ぜながら読んだのですがわかりにくいので分けて紹介します。
- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2011/03/18
- メディア: 単行本
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- 作者: 西 加奈子,せきしろ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 単行本
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ただ、短歌の勉強をする本ではあんまりないかもしれない。彼らのバックグランドがあるからできる崩し方が多い。字余り字足らず表現のはみ出し方が豪快すぎる笑。字余りもリズムがあっていいじゃーん、て勉強する前は思ってたし自分でつくるときもそうしちゃいがちだけど、キッチリ音感決めてくるかっこよさすごいなぁってプロの読むと心から思う。でもこの2人は違う分野のプロだからこれでいいの。意味不明なこのタイトルがねー、後半で出てくるその時にすごいぐっときます。ごちそうさま。
- 作者: 穂村弘,東直子,沢田康彦
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2012/01/25
- メディア: 文庫
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- 作者: 穂村弘,東直子,沢田康彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/10/25
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短歌があるじゃないか。 一億人の短歌入門 (角川ソフィア文庫)
- 作者: 穂村弘,東直子,沢田康彦
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2013/04/25
- メディア: 文庫
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あんまり合わなかったやつも書いておく。合う合わないがかなりハッキリあった、それがおもしろいと思ったから。31文字に凝縮した創作物の強さを逆にすごく感じた。
- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06
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- 作者: 俵万智,一青窈
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2010/05/22
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- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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続けて歌集。現代短歌を読もう、と思ってたのでそういうセレクトです。ええっと、ミーハーでごめんなさい!!笑 当然ながら手に取りやすそうな見た目が多いです…だってわかんないんだもん。もう少し読めばよかったかなあっていうか読みたいのまだあったなーと今さらながら思いつつ。
- 作者: 加藤千恵
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/12/15
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- 作者: 加藤千恵
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/02/09
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- 作者: 穂村弘,タカノ綾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2001/06
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- 作者: 枡野浩一,オカザキマリ
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 1997/09
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- 作者: 穂村弘,東直子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11
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- 作者: 笹井宏之
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2010/12/24
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「ハッピーアイスクリーム」こんなの好きになりますよ。。よかった~ってTwitterに書いてたら、絶対好きだと思いました、って言われた。作者の人が高校生の頃に書いた短歌に小説パートを加えてリミックスしてる?のですが、短歌パートの方が好きです。小説も悪くないけど短歌の広がりの豊かさを見ちゃうと…!自分が高校生の頭がぐらぐらしていたころに31文字って型を持っていたらどうなってたでしょう。10代後半の感覚がぎゅうっとなった感じがドキドキしちゃう。
「えーえんとくちから」はすごかった。最初タイトルの音節の区切りもよくわかんなかったけど、本を開いてすぐにあー、ってなります。なるほど…これは短歌でしかないですね、こういうのやるのが短歌なんだね、って思わせられる歌が多くて読み終わったあとすごい満足感だった。
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2012/12/25
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あとは雑誌を見た。ある程度まとまった量、書籍を読んでから専門雑誌をめくる、のも個人的なお決まりコース。「月刊アクアライフ」とか図書館で見る度にどんな世界が覗けるのか気になるよ。。雑誌、ある程度素養がついてくると、ポイントがまとまっているし、直感という名の自らの偏見に左右されずに広く目を通せるのでなかなかよい。本はミーハーにザッピングしちゃうけど雑誌はそうはいかない。半年分くらいざくっと読んだけど2013年1月号の別冊でまとまって歌集がついてたのと、2012年11月号の角川短歌大賞の発表号がよかった。
わたしは文学賞の選評読むの大好きで、芥川賞も直木賞も毎回楽しみにしてるんですけど、角川短歌賞のそれはすっごいおもしろかった。小説と短歌の決定的な違いは評するのに必要な読む量の違いなわけですよ。31文字の短歌50首で1セットになった対象作品を同じように読んでからプロと自分の視線の違いがわかるのがすごい楽しい。あーそういうところを見るんだ!とか、この歌いっぱいほめられてるわたしもすきだなーとか、いいと思ったのにこういうところが不評なのか…とか比べていろいろわかる。小説よりも全貌を把握できるから同じ土俵の知識を持てる。上位入賞作品はどれもエネルギーがあって読んでてドキドキする。その方向性も違ってておもしろい。
「短歌」って月刊の専門雑誌も見繕って借りた。1月号の別冊付録「現代短歌アンソロジー」がいろいろ読めて楽しかった、140首。雑誌の中には51人が10首ずつ載せてる特集があるんだけど読みやすい人と全然頭に入ってこない人とあまりに激しくておもしろい。でも、10首は多すぎる、わたしには。
— もぐもぐ (@haruna26) April 1, 2013
去年11月号の角川短歌賞発表の号もよかった。講評が一番おもしろい。文学賞もそうだけど、自分がなんらかの感想を抱いている上で読む偉い人の見立てがおもしろい。受賞作はとってもよかった。同い年の人だー。他の入賞作もそれぞれ色があって楽しく読んだ
— もぐもぐ (@haruna26) April 1, 2013
小説に比べて短歌はまるごと読み込むための量が少ないから、偉い人がこう言ってるのいまいち納得出来ない、でもわたしが読み飛ばしていたのかも、と思ってしまう余地なくて、真っ向から解釈ぶつかったりあーなるほどそういうことかぁってなったりできるので講評読むのおもしろかった
— もぐもぐ (@haruna26) April 1, 2013
いろいろ勉強して読んでると自分でもつくってみたくなるのが短歌の楽しいところだった。自分でもできそうな気がしてくる。技巧的なことで言うと句またがりが難しかった…どうしても5音か7音でおさめようとしちゃう。またがるっていうのはこういうの。
恋人が恋人の恋人と住む丘には風は吹かないのです(『短歌という爆弾』P51)
「こいびとが/こいびとのこい/びととすむ/おかにはかぜは/ふかないのです」。
よく読むとちゃんときっちりハマってる。これはプロの作品ではなくてミュージシャンの人との往復書簡の一節なので荒いけど、音の組み方が印象に残ったので載せてみる。
5W1Hがあいまいな方がセクシーでしょ、と何度か評で見たけど本当になあ、と思った。型が決まってるこの中でやることは、見せるものじゃなくて裏側に透かせるものを選ぶってことなんだね。「こわい短歌はいい歌」って穂村弘さんが繰り返しいろんな本で言ってたこともすきだ。ぞっとさせるには得体のしれなさが必要でそれは単に言葉の欠落だけじゃだめで。
最初に書いたことを繰り返すけど、1ヶ月で多分数百首は歌を読みましたがそれだけ急速に頭にいれるとモードが切り替わる感じがしてすごくおもしろかった。140文字でしたためちゃうことを、あーもっと短くうまいことおさめたいなって思った。いろんなところで短文を垂れ流しているからこそ、じゃあ今書いたことを31文字に落とすと、って思考がいく。型にはめるのは不自由なように見えて、その中にある自由をどう享受するかっていう遊びだった。短歌に馴染みなくても、何冊か読むと書きものをざらざらと垂れ流す時に(あえてこういうけど)1本補助線が入る感覚になる気がする。
最後に、短歌習作。の一部を残して短歌学習の一旦の区切り。書きためたものから1ヶ月経って見直すと結構切りたくなるもんだね…。つくった場面を覚えてるものもあれば酔っ払った頭でiPhoneに打ち込んだものもあってなんだか気恥ずかしすぎるわ……。そこまで伝わるわけじゃないのにね。
- さくら味今まで信じてきたものはニセモノかもねいちごチョコみたいに
- 今なんて?聞いてなかったごめんなさい(あなたの存在ミュートしてたの)
- 寒いし雨だし風が強いし ゆるふわスカート今日も留守番
- 月曜日、夢のはじまり、土曜まで省エネモードで夢を生きるわ
- 今はただ京王沿いに越したのと伝えたいから明大前の改札
- 忍ぶれど色に出にけり二日酔い 差し出されしは飲むヨーグルト
- 真夜中の電子レンジに抱かれてまぬけに跳ねるポップコーン(うっとり)
- あの春にあなたと歩きし桜道 思い出は味方にな……らねえよ!!
- 「好きなもの?絹ごし豆腐とパイナップル」「えーやだ何その食べ合わせ」「別に一緒に食べないってば」
- 手の内にからっぽ泡付き中ジョッキ 15の頃はデニーズだったね
- 殺すならさっさと刺して一息に "婚約中"なんてぬるいことしないで
- 震える手このまま死ぬかも息できない届いて電波愛しいこの子に
- 失恋に酔うには恋をはじめなきゃ? …仕方がないから髪を切ります
次のステップとしては歌会なのかなぁ。そうそう、短歌って個人創作のイメージが強かったけど、そうやってグループでやってるんだなつながってるんだなってわかったのもすごくよかったです。
短歌、電車のなかでiPhoneで遊べる優秀なおもちゃでした。ぺろり。