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「ラ・ラ・ランド」超好き、最高に美しいハッピーエンドだと思った

「ラ・ラ・ランド」、いろんな感想が飛び交ってるけど、私はすごく好きだった。めちゃよかった。完璧に幸福なハッピーエンドに見えた。誰がなんと言おうと好き!

これから書くのは、批評でも分析でもない、ただの感想です。

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楽しみにしてた一番の理由は、違う映画を観た時に目にした予告編の音楽が最高にハッピーだったからだ。それまでタイトルのイメージで勝手にボリウッド映画だと思っていた……(めっちゃインドみある響きじゃない!?)。なので映画館行く前からサントラ聞きまくって、この音楽が聞けるなら内容が微妙でも全然いい!すでに好き!と思ってた。

…って予防線はるくらい、正直、かなり身構えていった。公開初日から周囲では賛否両論だったし、もっと前から英語メディアでもくさすようなレビューがいくつも出てたし、自分が一体どう感じるか全然想像つかなかった。超好き、になるのか、悪態つくことになるのか。ドキドキ。

もしまだ観てない人がいたら、と思って先に書いておくけど、先にサントラ聞いてから行くの、個人的にはかなりおすすめです。自分が好きな曲がきたら「きたあああ!!!!」ってテンションあがるし、えっ、この曲こういうシーンで使うの?って思える箇所もあっておもしろい。映画観たあとで聞くと映像も思い浮かぶので2度おいしい。

あと、音楽がピンとこない人は多分映画もそんなに……だと思う。私はとても好きだったけど、確かに万人に超すすめられるかっていうとそんなこともないので、この曲が鳴るなら観たい!と思えたら行ったらいいと思う。

Ost: La La Land

Ost: La La Land

ラ・ラ・ランド (コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス)

ラ・ラ・ランド (コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス)

観る前なら普通のサントラ、観た後は曲数が段違いに多いコンプリート版がおすすめ。さらに別バージョン、スコア版もアレンジ違って楽しい。全部Apple Musicにもあるよ!


以下、超ネタバレです。

みんな言ってるけど、まずOPの数分が最高すぎてそれだけで満足した。「Another Day of Sun」、サントラで聞いても最初の数音だけで好き!!!ってなる高揚感を裏切らない。

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渋滞した高速道路が一瞬で物語の舞台に変わる、ひとつのカメラが人と車のあいだを縦横無尽に走り回る、華やかな曲に合わせて視界がカラフルになって音と色が洪水みたいに流れ込んでくる。最高。好き。トラックの荷台が開いて楽器隊があらわれて、人が集まってダンスするところがなんだかよくわからないけどとにかくめちゃくちゃ好きで泣いちゃう。

軽やかに音楽が終わって、タイトル「LA LA LAND」がスクリーンにドン!と出た瞬間に立って拍手したくなったけど映画館だってことを思い出して我慢した。スタオベだよ。2回目を観て気付いたけど、この歌詞はふんわりとこれから起きることを予感させてるんだな。あなたは私を、いつか映画館のスクリーンで観るでしょう、あの頃を思い出しながら。


OPもそうだけど、この映画を貫くテーマは「退屈」だと思った。生きるの、基本的に退屈なんだよ。その退屈さを少しでも軽減するための燃料を「夢」というのであった。

なので「夢追う2人のキラキラミュージカル!」みたいな言い方も微妙だと思う。夢なんてあってもなくても生きていかなきゃいけねーーんだよ!!って気持ちになったけどな。

人間を変えたり前に進ませたりするのは、夢とか恋とか曖昧模糊としたものじゃなくて、明確に「他者」だと思った。自分ではない異質な存在と関わること。

結局最初から最後まで2人は「1人ずつ」でしかなくて、根本的に見てる世界が違うところが虚しくてよかった。相手と自分を同化させないところが好きだった。ラストシーンの解釈はもう少しあとにするとして、彼らは「2人で手を取り合ってお互いの夢を叶えていこうね」「あなたの夢は私の夢よ」なんて出会った頃から思ってなかったんじゃないかと思う。

ミアもセブも多分傍から見たら「そんなところにこだわらなければいいのに」ってところで突っぱねる。話が合わない脚本家に愛想振りまいたり、店のBGMに徹して言われたとおりの曲を弾いたり、「みんなと同じように」してればいいのに、何かが邪魔してできない。そういうところで「同志」であって、お互いの才能に惚れ込んでるわけじゃないのだ。ミアの演技をセブは見ていないし、ミアはセブのジャズへの執着を「自分の店を持ちたいんでしょ?」というゴールでしか捉えてない。


ミアが、セブが加入したバンドのライブに行くシーン、すごくよかったなあ。残酷で。オセロの白と黒がひっくり返るようで。「Start a Fire」めちゃくちゃいい曲じゃないですか?超かっこいい。このかっこいい曲を聞きながら青ざめていく、固まっていく、冷えていくミアの表情。どうして彼女が拒否反応を見せるのかよくわからなかったんだけど、このあとの口論でわかる。

「ああいう音楽、あなたは好きなの?」「君は好きか?」「ええ好きよ、でもあなたは……」

ああ、応援とエゴは紙一重だ。あなたにはこうであってほしい、という気持ちは。ミアに悪気なんて全然ない。人は他人に簡単に夢を託してしまう。あなたの夢はこうだったでしょ?って決めつけてしまう。

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ラストシーン、私は最高に美しいハッピーエンドだと思った。感傷じゃなくて決別だと思った。美化された思い出でも、得られなかった未来への未練でもなくて、もっと動物的に、血と肉になった過去への憧憬だと思った。恋は終わっても、結婚を選ばなくても、その感情は愛だよ。

終盤、オーディションを終えたミアとセブが昼間の天文台を見上げてポツポツと話すところで、(パリに行くなら)「僕には何もできない」と言い切るのが好き。そのあと、「愛してるよ」「ずっと愛してるわ」って会話を交わすのがもっと好き。あなたの夢を叶えるのは私じゃない。2人でいることが目的じゃないんだから、最後は自分で引き受けなくてはいけない。

セブはずっとミアのことを何度も何度も無責任に励まし続ける。一人芝居に臨む彼女に「君なら書けるさ」「天才だ!」って笑いかける、頼りないヒントを頼りにはるばる車を飛ばして田舎に帰ってしまった彼女を探し当てて「諦めるな」「チャンスをつかめ」って諭しに行く。

その無責任さを白々しく思う人もいるだろうけど、結局、才能の世界って純粋な優劣の差ってわずかで、運を引き寄せられるか、自分を信じていられるかだよね。自分より自分のことを信じてくれる人が側にいるのってどんなに心強いことだろう。

2人は恋人だったけど、それ以上に最初から最後までずっと「戦友」だったと思う。むしろ「5年後」も。このクソ退屈な世界で戦う人たち。性愛よりも情愛に近いような(思えば明確なベッドシーンが一度もない)。

期せずして再会した2人が最後に見つめ合って頷くシーンですごく思った。ミアもセブも夢をつかんだように描かれているけど、夢が日常になった今、それはそれでまた新しい退屈に立ち向かっていかないといけない。

家族でも恋人でも友人でもなんでも、とにかく人生で出会った人の感情や思考って自分の中に混ざりあって影響しているわけで、過去からは絶対に逃れられない。それってすごくない?いままで経験してきたことすべてが交差する唯一の点が自分だってすごい。


なんていうか、過去の恋人も絶交した友人も、マジでみんな幸せでいてくれって映画館を出て思った。お願いだ。幸せでいてくれなきゃ殺す(言い過ぎ)。

夢を叶えたかなんてどうでもいい。私は最初からなかったし。なりたいものもやりたいことも昔も今もずっとない。でも、とにかく毎日それなりに楽しく生きてるし、みんなもそうであってほしい。この世のどこかでなんとかうまいこと退屈をやり過ごしててほしい。

それは愛だよ。もはや恋でも友情でもなくても、愛ではある。