さて、フォロワー2000を突破したら書きます、と言っていたこの記事です。
かなり迷ったのですがわたしを“育てた”をキーワードにしたかったので
今まで3回以上参照した本、という基準で選びました。
つまり、繰り返しわたしの人生に登場している本たち、です。
おすすめの本教えて、と言われたらそのとき読んだ本を答えがちなので、あえて成長の時系列で配分してみました。
小さいころから本ばかり読んでいたので(粘土もお絵かきも苦手だった)
図書室は教室の次に長い時間を過ごした場所だと思う、幼稚園でも小学校でも。
地元の図書館はもちろん、県境に住んでいることもあって違う市の図書館にも通ってた。
小説:
わたしのなかで不動の神様はアストリッド・リンドグレーンです。
著書はほとんど読んだと思う。彼女の生きているスウェーデンに行くことが夢だったんだけどね…。
わたしが中学に入る少し前(2002年の1月)に亡くなって、中学受験の前でものすごく動揺したのをよく覚えている。
特にこれ。
★やかまし村シリーズ。
彼女の作品でいちばん有名なのは「長くつ下のピッピ」だと思うんだけど、
わたしは断然こっちのほうがすきでした。
これで何度読書感想文を書いたことか!
死ぬほど読んだ。飽きずに繰り返し。暗記してた。
いつから読んでたんだろう…小学校にあがる前からだろうか。
3軒しかない家がない村に6人の子どもがいて、
みんなで遊んだりお手伝いしたり喧嘩したりお祝いしたり学校いったり、するのだ。
人物の名前もものすごく覚えてるな…改めて思い返しておどろいた。
この物語(というよりリンドグレーン)のすばらしいところは、
文章から映像を思い起こすことが子どもでも完璧にできて、読書が体験になるところ。
主人公の女の子の、誕生日のお話がいちばんすき。
文庫版もあるけど、ハードカバーがすてきです。挿絵も「外国文学」感がたっぷり。
当時は大きくて重い本、という印象だったんだけど、今見ると予想以上に小さいので、うん。
子どもに与えるならハードカバー、と決めている。
一生懸命めくる感じは文庫の大きさじゃ出せないよね。
今も自分の部屋の本棚のいちばん目立つ位置にある。
★ドリトル先生
知ってる人と知らない人とどっちが多いかしら。
動物と話せる獣医の先生がいろんなところに赴くお話。
シリーズで13冊あります。確かうちには全巻セットのケースであったはず。
あのねえ、すごくいいよ。「動物と話せる」って、一度は夢見るでしょう。
こうやって美しく消化してくれていると欲求が満たされる。
将来の夢を聞かれて何も思いつかなかったとき「獣医さん」と答えていた原因は80%ここにありますw
これは小学生のころかな…でも友達がいなかったころだから(笑)低学年だと思う。
実際はもう少し年上向けかもしれない。「やかまし村」と比べるとずいぶん字が小さい。
今見返したら、翻訳は井伏鱒二なんだね。ひゃあ。
第一巻が「ドリトル先生 アフリカゆき」なんだけど、アフリカって、知らないわけですよ、当時のわたしは。
30年以上前の本だからずいぶん「アフリカ」に対する意識も今と違う気がするけど、
日本でもアメリカでもヨーロッパでもない場所があることへのリアリティは確実に植え付けられた。
大人が読んでもすごく面白いと思います。ドリトル先生がとてもチャーミングなおじさんなんだよ。
こちらもハードカバーも文庫もあります。
文庫はこちら。
やかまし村とドリトル先生は両方、岩波書店です。どうもありがとうございます。
こういう、ある意味地味な本でも大事に読んできた子はいるから!がんばっていただきたい。
だいすき。ただし福音館の訳が断然よい。(これは岩波はだめw)
いわずと知れた西部開拓時代のお話。海外ドラマでご存知のかたもいらっしゃるかも。
アメリカの黎明期を生きていく家族の話。事件と日常の配分が絶妙。
ほぼ実話ということもあって主人公ローラの3人姉妹の関係性もとてもすてきだし、
すべての根本が希望と前進だってところがいい。元気出る。
そして食べものの描き方が天才的…!
どれだけ温度とにおいを感じさせられるかって小説においてすごく大事だと思う。
とてもおいしそうだし、しあわせな気分になるの。
福音館の訳はその点が上手。あとしゃべり言葉の書き方。それからタイトルのセンス。
どの巻もすきだけど印象的なのは「長い冬」かなあ。
(でも「長い冬」以降は福音館訳がない…かなしい)
現代の東京に住んでるわたしとは全然違う(当たり前だけど)と思って時代と世界を感じた。
ああ書いてたら読み返したくなってきた…。英語で読もうかなあ。
あまり知られていないのだけど、ローラの娘、ローズを主人公にしたシリーズもあって、
著者も出版社もまったく別なのだけど、個人的にはそっちもけっこうすきです。
こっちはひとり娘だし、恋愛が絡んでくるし、まあ、ティーンノベルな感じです。笑
表紙がかわいい。クリスマスの話があまずっぱすぎて死にます。男の子がさあ…また…。
こっちのシリーズのタイトルもセンスいいよね。
これは講談社ですね。どうも絶版なのでしょうか。全6巻です。わたしは図書館で借りてた。
★アムリタ
中学に入ってからかなあ。外国文学に傾倒していたわたしが日本の現代作家を読むようになった。
よしもとばななは、いろいろな面でわたしに影響を与えてる。
手放しでだいすき、と言えないし新刊も一生懸命チェックしているわけではないけど
彼女の作品を読み漁っておいてほんとうによかった。
よく覚えていないけど最初に読んだのはおそらく「TUGUMI」で、
家の本棚からきれいな表紙だから取り出した、くらいだったと思う。中1か中2。
このひとのまるごとを知りたい、と思って、図書館のこのひとの棚を左端から読んでいった。
「アムリタ」は借りて読んだんだけど、読み終わった瞬間に
「これは手元に自分のものとして置いておかないとだめだ」と思って
次の日に上下セットで単行本を買った。そのあと文庫でも揃えた(文庫だと最後に書き下ろしがある)。
あらすじはなんてことなくて、お姉ちゃんと弟と、
それをとりまく電波なひとびと(あくまで愛を込めた呼称)の過ごしていく日々。
いくつか強烈にすきなシーンと台詞がある。
当時の自分に降りかかってたいろいろも含めてめちゃくちゃ生々しく立ち上る。夢に見るくらい。
よしもとばななには言葉のつむぎかたとひらがなの使いかたですごく影響を受けてると思うな。
お話としてすきというよりはいくつかの箇所があまりにも鮮烈、という感じ。
UFOを見ちゃうシーンとか、けっこうすきだなあ。
でもねー、わかんない、正直、この本は、なんですきか。うまくいえない。
でもはずせないなあって思ったので入れます。
(別にスピリチュアル系がすきなわけではないw)
★PAY DAY!!
中3の冬。これは確実。飛行機のなかで読んだ。
9・11が大きいテーマになってる、アメリカ人家族の小説。破壊と再生。
登場人物が本当にすてき。すきになっちゃう。いやらしくない。
主人公が男の子と女の子の双子なんだけどね、その関係性もすごくいい。
それぞれ恋愛して、親と固執があったりして、タイプは違うけどお互いのことよくわかってて。
父親はアフリカ系の黒人で、母親はイタリア系の白人。
あまりにも明るい「青春小説」すぎてまぶしいんだけど、
アメリカが舞台だから書ける社会構造のかたちや宗教、人種にも触れてる。
ただ若くてはじけてるだけのアメリカドラマ的なティーンのお話じゃなくて、ちゃんとパワーと愛を感じる。
恋愛沙汰だけじゃなくて、もっと大きいもの。
家族とか兄妹とか全部。それは神様につながってるのかも。(教会でゴスペルを歌うシーンがあるのだ)
なんかね、わかりやすく泣き所、じゃない箇所で泣いちゃう。描き方がすごく敏感。
「放課後の音符」より「ぼくは勉強ができない」よりも、ダントツですき。(この2つはふわふわ系だもんね)
この小説を読んでもらって、どこがすきだった?って周りの人に聞きたくなる。
ハードカバーの装丁がすきだったので文庫がちょっと残念…。
これはものすごくたくさんのひとにすすめた気がする。
わりと分厚いけどさくっと読めるのでぜひ。からっと晴れた日に読みたい感じ。
まんが:
まんがもいれます、もちろん!
小学生の頃はりぼん・なかよし・ちゃお全部読んでた。
今もよく盛り上がる。はじめて買ったまんがは吉住渉「ミントな僕ら」です。
以下2つはやたらいろんなひとに貸してる。「とりあえず読んで!」と押し付けてるw
今までのいちばんすきなまんが選んでって言われたら、ものすごく迷いながらこにすると思う。
「きみはペット」。ドラマでご存知の方も多いでしょうか。
スミレちゃんというOLの家に、ペットとして男の子(モモ)が転がり込んでくる話。
タイトルは倫理的に怪しそうですが中身はそんなことないですよw、ぜひ読んでください。
とにかくね、
モモが、かっこいいんですよ……
まずモダンバレエをやってるってところでやばい。
小川彌生は、人間のからだを美しく描くのが本当に上手。
今連載してる「キス&ネバークライ」もアイスダンスの話だけどきれい。
あと、登場人物に均等にイラッとできるけど嫌いにはなれないのも絶妙(これは読めばわかる)。
そして最終回の終わらせ方がよかったなあ、ラストの2,3巻はとってもしあわせになるよ。
ペットとして暮らしてるときの描写も、なんか妙にリアリティがあるくせに、笑える。
あーもうイライラする!誰かの頭をわしゃわしゃしたい!!っていうとき、あるよね普通にw
徹夜で格ゲーしたり、録画してた番組消されてけんかしたり、
もう怒った!明日朝ごはん作らないから!とか、かわいいじゃないか。いいよね。
家族とか恋人とか、線引きむずかしいよね、とも思う。
帰ってきて誰かいる、の意味と安心感って強すぎると思う。
★チェーザレ
(もうすぐ8巻が出るよ!)
この漫画もすっごく大事に思ってる。
高校1年か2年だね。世界史好きを確実に加速させた。
マキャベリ『君主論』のモデルになった人物、チェーザレ・ボルジアを巡る歴史漫画。
彼は日本で微妙に有名なのだけど、塩野七生の『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』という小説があるからだと思う。
これが彼女のデビュー作です。小説読んでないとまんがわからないってことはない。
同じ人物を扱ってはいるけどけっこう雰囲気違います。
第一に、絵がとてもきれい。
結構設定は複雑なのだけど、惣領冬実の絵がものすごい。気迫さえ感じる。
システィーナ礼拝堂の「当時」の天井画を再現して書いたりするのだよ!感動です。
彼女のサイトを見るとわかるのだけど、もう完全に学者w まんが書いてる、の範疇を超えた仕事量…!
チェーザレがかっこよすぎてやられます。ラテン語かっけー。
側近のミゲルも人気がありますね!(※わたしのまわりで)
そうそう、異教徒としてのユダヤ人問題もとりあげているよ。スペインはレコンキスタ(イスラム教徒追放)前後の話です。
第二に、イタリアという国、ひいてはヨーロッパという陸続きの地域の歴史をおもしろく感じます。
イタリアという国は、中世には存在しなかったのですね。
日本の戦国時代みたいに、小さい国が乱立していたの。
そのなかでどうやって成り上がっていくか、を考えて実行して夢半ばで終えたのがチェーザレ・ボルジア。
よく織田信長と比較されるのですが、ここでおもしろいのはこの国がカトリックの総本山だってことね。
教皇と皇帝の対立は世界史でも何度も出てくるけど、チェーザレは聖職者の地位を持ちつつ政治家・軍事家として活躍するわけです。
宗教はこの地域と切り離せないよなあって、強く思う。
内容は簡単ではないし解説も巻末にとっても小さい字でびっしり書いてあるんだけど、
このまんがは自分のなかで代替不可能ってくらいすき。
もともとキリスト教に興味があるのもあるけど、世界史を立体的に考えられると思います。
7巻なんて、一冊まるまる使って「カノッサの屈辱」についてだからね!なつかしいでしょう、大学生のみなさん?
歴史も宗教も政治も美術も建築も、発見がたくさんあるよ!
後半はまた次回。
以下、今回とりあげた本のまとめです。
小説:
★やかまし村シリーズ
★ドリトル先生
★大草原の小さな家
★アムリタ
★PAY DAY!!
まんが:
★きみはペット
★チェーザレ