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「エル・グレコ展」@東京都美術館 、もう1回行きたいくらいよかった

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開催が決まってから1年くらいずっと楽しみにしてた「エル・グレコ展」、すごくよかった。
久しぶりに、会期中もう1回行こうかと思ってるくらいだ。

ルネサンスのあとの美術史の流れだと、オランダやベルギーのプロテスタント系統よりスペインのカトリック系統が好きなので嬉しくて嬉しくて。プロテスタントの清貧さと対比して、カトリックが荘厳で神々しい方ではなくてある意味泥くさくて人間的で色遣いの鮮やかな方になるの、おもしろい。ムリーリョとかも大好き!

エル・グレコという人はとにかくあの人しか使えないピンクと青を編み出したのがすごすぎる、最高だ。それだけで勝ちは確定だよねえ。クレタ島で生まれたギリシア人で、ヴェネチアで絵の修行してローマにもいったけど、円熟期はずうっとスペインに、マドリードでもバルセロナでもなくトレドにいて、そのままそこで亡くなる、って人生だったって知ってこの人の描く絵になんか納得した。この色はどこから引っ張りだしてきたのかなあ、と思ってたのだけどわかってよかった。

「受胎告知」が彼の作風の変化にあわせて2枚、並べて展示してあるのがとても興味深かった。自分の絵のタッチを見つけていくのがよくわかる。何事もはじめは真似っこで、最初はオリジナリティとか言ってる場合じゃないもんね。特に彼はイタリアに修行に来ていたからなおさらだ。そして宗教画は今で言うアート的な仕事ではないもの。もっとちゃんと、目的とお客さんがはっきりしている。

彼は絵だけじゃなくて礼拝堂の設計だとか祭壇はじめ装飾具のデザインもやっていたようで、手がけたものの写真が展示されているコーナーが途中で挟まれるのもよかった。頭が切り替わって飽きないし。絵を美しく魅せるための建物、という意識でつくりだしてるからこその工夫が垣間見えておもしろかった。そしてトレドに行きたくなる。いくつも関わってる。こうやってバラバラにされて美術館に配置されるのと、本来の場所に静寂と共に鎮座しているのとじゃ意味も訴えるエネルギーも全然違うよね。

第4章 画家にして建築家:近代的芸術家の祭壇画制作

「無原罪のお宿り」は言うまでもなく圧巻で最高でした。大きい。色もきれい。しばらくうっとりと見上げた。筆の勢いがこっちまで向かってくるみたいだ。神々しい。こんなの、蛍光灯もない時代にうすぐらい礼拝堂の中で見たら、もうそれだけで感動してしまいそうだ。ローマでサン・ピエトロ大聖堂に一歩足を踏み入れた時、ああこれは入信しちゃうでしょうね、と思ったのをまざまざと思い出した。今よりもずっと彩度や明度の低い時代にこんなのを見せられてしまったらその衝撃はいかほどでしょう。

肖像画と、聖人を肖像画風に描いたものもたくさん展示されていた。エル・グレコの描く絵は二次創作感が強いなあとなぜか思った。多分、今まで正解とされてきたカッチリした構図の下敷きがある上で今こういう崩した描き方にたどり着いたってわかるから。大きなキャンバスを見て歩く中で、漫画っぽい、と感じたものがいくつもあった。ルネサンス的な質感あふれる人間、という方向とは確実に違う方向の絵画っていう意味で。なんていうんだろう、ラファエロティツィアーノの絵より井上雅彦や手塚治虫の描くものに近く見えたよ。

メモから拾うとあとは「聖パウロ」、「聖ラウレンティウスの前に現れる聖母」、「悔悛するマグダラのマリア」(レースの描き方と金髪!って書いてある)、「フェリペ2世の栄光」、有名なものとは別の「無原罪のお宿り」が気に入ったみたい。いろいろなタッチの、局面の、絵が見られておもしろかったです。


丁寧な構成でわかりやすくて見やすくてよかった。東京都美術館、好き。でもいつも混む企画展が多いねえ。フェルメールよりは全然だけど…。うーん、図録買えばよかったかなあ。でも買っても読まないんだよね。。ああそうか、いつかトレドで買おう。そうしよう。


「エル・グレコ展」、東京都美術館で4月7日(日)まで。
「エル・グレコ展」
上に書いたもののいくつかはここで見られます。
エル・グレコ-主要作品の解説と画像・壁紙-