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「もしイタ〜もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら」っていう演劇を観た

高校演劇がすきな友人が全国大会で見ていて、すげーよかったよ!!と薦められたので、演劇なんて全然詳しくもないけどそんなに言うなら見たいなー、と思って見に行った。全国大会のあと、優秀作品は半蔵門の国立劇場の大ホールで上演するのです(本題とは関係ないけどこれはいいなあと思った、来年も見に行きたい、チアダンスや伝統芸能もあります)。
全国高等学校総合文化祭優秀校東京公演 | 事業内容 | 全国高等学校文化連盟

「もしイタ〜もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら」
青森県立青森中央高等学校

 東日本大震災青森市は幸いにして大きな被害を免れました。私たちや私たちの家族に被災した者はいません。しかし、同じ東北に暮らす者として他人事でいいはずはありません。私たちは部員全員で話し合いを持ち、被災地の人たちのために何かやろう、と決めました。それは舞台装置を用いず、照明も音響も使わない「どこでもやれる」演目で、しかも明るく元気の出るものでなくてはなりません。そしてできあがったのがこの「もしイタ」です。昨年秋から今年の夏にかけて、八戸市気仙沼市大船渡市、釜石市、久慈市、青森市(報告会)、仙台市利府町宮古市での公演を行いました。宿泊とバス移動の費用の大部分は募金で賄いました。宣伝もできるだけ自分たちで行いました。移動中、いくつもの壊滅した港町を歩き、いくつもの瓦礫の山を見上げました。会場となったのはいずれもかつて避難所となっていた体育館や学校で、仮設住宅団地と隣接しているところがほとんどです。いただいた拍手とたくさんの「ありがとう」を胸に、この国立劇場でも精一杯演じたいと思います。


ウェブに公式情報として出ているものがなさそうなので、今手元にあるパンフレットの文章を掲載した。

おわかりの通り、タイトルはあのベストセラーのパロディです。もうそれだけでイロモノ感があってちょっとびっくりしちゃう。でも、話自体はシンプルで力強くてそのギャップがよかった。繰り返すけど、わたし演劇なんてわからないわけです。それでもエネルギーに圧倒されて、高校生かっこいいなあって思って、彼らの目線でちゃんとあの災害を見つめていてすごかった。脚本自体に絡んでいるのと同時に、現場で演じてきたその背負い方っていうか、が伝わってきた。テンポがよくて笑いどころもあってにこにこしちゃって、でもちょっとぐっときた。見ているうちについ前のめりになって、くすくす笑っちゃう感じで終わった後とてもしあわせになった。演劇で人を幸せにしよう、って、本気で考えてやってるんだなってわかった。それがこっちまでビンビン飛んでくるのがすごい。


文中にもあるけど舞台装置も照明も音響もない、というのが圧倒的に凄まじい。
弱点を補っている、どころか、ひとつの超重要なアピールポイントになってる。強く印象に残る。
場面転換も鮮やかで、うっとりしてしまった。小道具や暗転で示せない…って消極的な感じじゃなくて、示さない。誰かのひとつの台詞で、舞台上の人間の配置で、今ここがわかる。野球部のグラウンドなのか、ロッカールームなのか、教室の前の廊下なのか、職員室なのか、試合の会場なのか、放送席で実況する人なのか、そういうことを全部身体で示す。みんなせりふのある役者で、みんな舞台装置で、みんな音響。選手になる、マネージャーになる、先生にも学生にもなる、イヌにもなる、木にもなる、応援団にもアナウンサーにもなる。それぞれが自分の役割をちゃんと理解して舞台に立ってないとこんなにきれいにすっと客席にわからせられないだろうなあって思った。衣装もないの。みんな練習着みたいな服で、視覚で役がわかることもない。


で、人間の声ってすごい元気出るなって単純に思った。
たたみかけるようにせりふを重ねていくのを見て生命力感じたし、野球の応援団の歌や振り付けでこっちまで参加したくなったし、技巧とかテーマの深淵さとかじゃないもっと原始的なエネルギーに触れてこっちまで元気がでた。大きい声を出せば気持ちがよい。声を重ねれば楽しい。そういう。


別に、こういう背景があって制作されたものだからって全然暗くない。むしろめちゃくちゃに明るい。でも軽く扱ってるわけでもない。そのバランスもうまいなあと思った。押し付けがましくない。何より、演じている子たちがみんながすごく楽しそうで。誰かのために、をふりかざす前に、まず自分たちが今このステージ楽しんでやろうって気概が感じられて。
「どこでもやれる」演目をつくる、その発想が徹底されてて感動した。簡単に言えそうだけど簡単にはできないよなー。アートは社会に何ができるか、なんてもう何度も何度もいろんなところで言われているわけで、歌とか演劇なんか腹の足しにもならないよ、みたいな意見ももちろんあるわけでしょう。でも、このステージ見たら気が変わるかもしれないよってくらいだった。その葛藤も織り込まれているもの。元気出るものつくって見せるって、大義名分がなくたってとっても大事だね。


演出やあらすじに関してはこちらの劇作家の方のブログが詳しいです。
衣装も、国立劇場でもこんな感じでしたよ。後ろに体育館のステージが見えるようでしょう? もちろん褒めています。どこでも同じクオリティを見せれるってプロの技だよね。かっこいいなー。
青森中央高校演劇部による被災地応援演劇「もしイタ」上演について : 渡辺源四郎商店店主日記

ぐぐったらもっと詳しい感想とかあらすじとかたくさん出てきますのでご興味ある方はどうぞ。
いやーよかった。もう1回見たいくらい。でもわたしが見られるような場所でやるより、もっと違う場所でやっててくれたら嬉しいや。