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インターネットもぐもぐ

インターネット、おなかいっぱい食べましょう




結局長澤まさみが世界の中心だとしたら、わたしたちの生きる術は…! (映画「モテキ」を見てきた)

f:id:haruna26:20111013152438j:image:h400
映画『モテキ』見た。

いやー何回も笑ったよ、エンタメとして、とっても楽しかったです。
たぶん、もっと曲の背景とか出てくるキャストとか細かい小道具とか場所とか(井の頭線および世田谷区映画!です!)わかるともっと楽しいのでしょう!
わたし全然サブカルどっぷりじゃなくてちょっと知ってるよって程度で、かといってリア充でもないので、楽しみ方として振り切ってない気がします。もっと楽しめる属性の人は世の中にいっぱいいると思うわ。


大根さんはすごいこだわりですねえ。女の子を女の子としてきちんと撮るのがうまい。
それはどういうことかっていうと、ただキラキラなオーラでごまかさないで、質量のある「女子!」としてそこに存在させる感じ。
具体的には顔だけじゃなくて足、とか、デコルテ、とか、胸の谷間、とかそういうのをカメラで捉えるバランス。肉感てほどエロくなくて。質量。
長身の長澤まさみの誰をも黙らせる美しい足のライン!
麻生久美子フレアスカートの下の黒タイツ!
仲里依紗ちゃんのふわふわした白い肌の得体のしれないエロさ!
真木よう子のカッターシャツからのぞく首から鎖骨にかけてのシャープさ!
どの人も、役名もちゃんとあるんだけど、本人の名前が先に出てきてしまうね。そこは生身の女子としての存在感でしょうね。


映画館で見て引きずりまわされてあわあわ、みたいになれるいい感じでした。もう1回劇場で見る元気はない…けどDVDで見たいなあ。
DVDの特典映像とか、どんなのついてくるか楽しみだなー。
夕方に見てそのままビールのみに行く感じがいいと思いますよ…あとひとりで見るともやもやしたまんまだから誰かと一緒をおすすめしますです。


ただのエンタメだと思って見に来て吸い込まれていった人々が過去の思い出やあるあるを刺激されてイライラやもやもやを抱えて映画館をあとにするお化け屋敷みたいな映画になってるはずですよハハハ!って久保ミツロウが言ってたけどほんとそれWed Oct 12 16:01:24 via web


さてここから激しいネタバレ。っていうかわたしのもやもやの解消。
ちゃんと警告しましたよ!見る予定の人はやめといてね!

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おもしろかったんだけど、終わったあと、黙り込んだね。絶句。わたしも、一緒にいった女の子も。
ええええっ…と。思いました。なんだこれは…と。もやもやしすぎた。でもなんでこんなもやもやしてんのかも一瞬じゃ言語化できなくて。
でもね。
謎のエネルギーのあるラストシーンで混乱が最高潮に達したのちの、スタッフロール終わるまでの10分がすばらしかった。
(なぜかストーリー関係なく唐突に)ステージのうえであの曲を歌う森山未來の前に、いろんなことが完璧に無に返ってしまった。
「はーい、ドッキリでしたーー!」みたいなそういう、舞台性を感じたよ…こっちの世界にぐぐぐって戻ってこさせられるような。
いろいろあったけど観客も監督も原作者もキャストのみなさんも、スタッフもおんなじ土俵にうえにいたわけよわかる?みたいな。


とにかくずるいんだよおおおおおお 最初から最後まで!ずるい!もうその一言です!!
大根仁監督と久保ミツロウさんのインタビューを、映画を見た直後に本屋さんでかたっぱしから読んで、帰ってきてからもウェブで拾いまくってしまった。
長澤まさみありきなのですね。最初から。彼女にあててるらしい。
ずるいしイライラするしムカつくしお前ひとりで悲劇ぶるなよおおってなるけど、かわいいんだよ。かわいいの。もうだめだ。負ける。ぱたり。圧倒的な大天使。


でもねえ、結局老若男女が長澤まさみに心を奪われざるをえない世の中だとしたら、我々はどうしたらよいのでしょうか。
何の救いもなさすぎる!無敵の笑顔でいつのまに釣り針をひっかけて「明日朝早いんでそろそろ帰ります!どろん!」と言いながらにっこりとリールを回して男を釣り上げてこっちに巻き込んでいけてしまう彼女が、この生物界のヒエラルキーの頂点だなんて!
長澤まさみかわいいけどずるいし、ひとりだけみっともなくないんだよ!みっともないとこ見せないうえに勝手に傷ついたふりして、そのうえ結局かわいいんだもん。かわいい。かわいい。そうなるとなにが価値で勝ちなんだよ!!!サブカルクソ紳士淑女たちの「勝ち」ってなんなんだよ!!!
なんだかんだ言ってかわいくなきゃだめじゃんか!顔と脚なのか!それが前提条件なのか!という混乱が生じます。


で、その苛立ちは「ビッチ」的なオンナ一般に対するものとは微妙に違うんですよ。
サブカルビッチが成立するための必要条件に対する懐疑なのです。
お前らはメジャーに対するカウンターカルチャーとしての「サブカル」ではないの?メジャーの象徴としてのB'zとかジュディマリとかなんじゃないの?と。
ちょっとメインとか違うところに目をつけるんです感を出しといて選ぶのはみゆきちゃんなの!?超王道じゃん!誰がどう見ても最強かわいいじゃん!
超メジャーだよ!オリコン1位だよ!発売初日にミリオン突破だよ!大ヒットまちがいなしだよ!
サブカル男子界における最終兵器彼女じゃん!明らかに!

森山未來のHでのインタビュー:
「まさみちゃんが演じたみゆきは、ドラマの中での小宮山夏樹、土井亜紀、中柴いつかの3人を全部足した、最強キャラなんです。エロくて、サブカルにも詳しくて、駆け引きもできる、っていうキャラクター。で、僕がそれを“最終兵器彼女”って名付けたら、映画のモノローグに入ってきたんです(笑)」

このエロさもさあ……ずるいわけですよね…
なんていうんですかねアメリカドラマに出てくるティーン的な。飾ってないですよ感を出しつつね。
映画『ソーシャル・ネットワーク』のなかでマーク・ザッカーバーグがクラブでひっかけるミニスカ肩出しの女の子たちとは違うんだよね。
モテキとソーシャル・ネットワークはわたしのなかでけっこう似ているんですけどみなさんどうですかね。。


大根監督が言ってる「少なくとも女子諸君の『モテキ』は、意図的に自分からしかけない限りありえない」って言葉がわりとすべてな気がしたよ。
仕掛ける型なんて空手とか合気道みたいに、ちゃんとあるんだよ。脈々と受け継がれたものが。
陳腐だとか明け透けだと言われようとな!女子にはね!そうなんだよ!ほんとの自分幻想は砕け散れよと。あの笑顔でぶっ潰される。


あと、いくつかインタビュー読んだなかで森山未來くんが言ってたのでおもしろいなって思った部分は
「僕自身は今までサブカルかそうじゃないかなんて考えて触れてきたことなかったし、なんだよサブカルって?って感じだったんですけど、どっぷりそこで生きてきた大根監督と一緒にいてなんかわかった気がします(笑)」ってところ。文言はあいまいです。
身近にその人にとってのサブカル観を形成するアイコンになるひとがいて、それを見よう見真似して背伸びして外側から「サブカルクソ野郎」になってくんだなーって。。サブカルクソ野郎はそういう自分に対して自虐や自嘲する感覚を持ってるうえで、それでもそこにプライドを感じざるを得ないことに気付いちゃったりしてはじめてサブカル好きを公言するんですよね…と思ったよ。
サブカル(笑)的なシニカルな文脈はなかにいるひとがいちばんよくわかってるんだよね…でも馬鹿にしてるわけじゃなくて愛?というか愛着?もはや執着?がちゃんとあってさ…
(どうでもいいけどそこはアイドルファンもけっこう似ている気がします)


モテキの冒頭でリリー・フランキーが「サブカルクソ野郎から金を巻き上げるためにな」ってセリフを言うんだけど、もうなんていうかしびれたねWed Oct 12 15:46:35 via web


麻生久美子演じるるみ子ちゃんが「なんでも俺に合わせようとするの重たいんだよ!!」って言われてフラれるわけだけどこの迫力すごかった。
YouTube神聖かまってちゃんとか見て勉強するから〜、って言う女の子にドン引きしてしまうのは、自分が昔そうだったからでしょう?
何かや誰かに憧れて勉強したでしょう?背伸びして知ったかぶりしたでしょう?「あんまり周りが知らない」その事実自体がステータスだったでしょう?
それって他者の評価が自分の選択において重要という点ではミリオンヒットを聞く人と変わらないわけだよねん。
「俺はこのよさをわかってる(キリッ」って逆説的に「メジャーにウケてないことが前提」なわけだよねん。
そういうのがブーメラン的に返ってくる鋭利さっていうかさ…


藤くんが職場でももクロの「走れ!」をYouTubeで聞いて気が大きくなってるときに真木よう子演じる上司が言い放つこのセリフがかっこよすぎました。

「アイドルソングなんてな、どれも自分の気持ち伝えること至上主義で同じなんだよ! そんなのに勇気づけられてんじゃねぇバカ!」
「弱ってる時に聴くアイドルソングは麻薬なんだよ!」

いい言葉だな〜(棒
でもその麻薬的で箱庭的で錯綜的で「偶然と脚本のあいだ」かつファンとメンバーがいっしょに運営に転がされちゃってるみたいな世界観もすきすき。


彼女はとてもスパイス効いててよかった…!ていうか真木よう子がすきよ!
藤くんはドラマから1年経ってまじめにお仕事してるんだけど(面接のシーンのこじらせ方もすごかったですよ…多くは語りませんが)バナナマンの大ファンていう設定でインタビュー行くことになって舞い上がったりしつつ、「趣味を仕事にするっていいな!」って、言うんだよね。うんうん。
で、最後のほうで仕事でしくじった彼は「もうこの仕事やめようかな…」っていうわけ。今まで繰り返してきたように。彼女はそこで
「お前はまだそんなレベルにいねーんだよ!!」
「自由にとか好きなことをとか自分らしく、とか言えるのは限られた人間だけで、お前は違うの。働けよ、お前は目の前にあるもんやるしかねえんだよ」
って一蹴する。
結局サブカルと自分探しって、ほんと、切っても切れないんだなと、思いました。自己実現とはいったい。
サブカル系自分探しと意識高い系自分探しと一旗あげよう系自分探しの違いとかよく考えたらすごいおもしろそう。。


小説や映画でこれはよかったな〜って思う個人的な条件は、見てる時とかあとから考えてるときに作中のシーンとまったく関係ないセリフとか場面が連想されることで「どっかで見たことある…」の積み重ねをうまく編めるのにじょうずだな!って感じるタイプなので、モテキの映画は、おもしろかったです。
とにかく何か言いたくなる、なんかよくわかんないけどしゃべりたくなる、そういう感じでしたもごもご。
まったくまとまらないけどとりあえず。。なんか恥ずかしいなこれ。
モテキはサブカル映画じゃなくて「サブカルクソ野郎映画」だよ。ドヤ顔も(笑)も内包してるよ。