インターネットもぐもぐ

インターネット、おなかいっぱい食べましょう




インターネット is ラブ

2016年11月第2週は幸福なことがたくさんあった。

何もなくてもだいたい毎日幸せに生きているのだけど(これは努力の問題です)こんなにひときわ幸福濃度が高いものが次々放り込まれたら日曜の夜にエモいことだって書きたくなる。

火曜日は、もぐもぐさん、ネットストーカーに会わせていいですか?って言われて、いいよ笑、って答えて、会ってきた。予想以上にまっすぐ愛を向けられて恐縮してしまった。「日本一のファンだって自信があります」。すごい。普通に照れるわ。

Twitterとブログをはじめて、もう5年以上か。短いのか長いのかわからないな。大学でどんなことしてたの?って聞かれると「インターネットです」って答えているけど、本当にわたしの青春はインターネットの中にあったなって思う。ちっちゃいときから骨の髄からネット中毒者として生きてきたけど、友達以外の誰かを意識して書くようになったのはほんのこの数年だ。

同じ趣味を持つ女の子にブログ好きです!って言われることはあるけど、アイドルにも舞台にも特段興味がない人に同じように言われるなんてちょっと意外だった。ちょっとずつ覚えてきましたよ、あの子とか、ほら、ふうまくん、って言われて、マジすか!ありがとうございます!応援してくれよな!という気持ちになった(何目線なんだ)。物事っていうか世界に対する姿勢が好きです、と言われて、それは自分の中でもこの数年で一番変わったことだなって思った。

楽しいことを見つけるようになった。同じ場所で同じことしてるなら極力気分よくなった方がいい。おもしろがった方がいいわ。別に偽善とか媚びとかじゃなくて、もっとエゴイスティックに自分の精神を健康に保つためのせせこましい話。

これはもう何回も執拗に書いていることだけど、結局インターネットで書くことで何をどうしたいのかなって思った時に、炎上してもいいから読まれたいとかアフィで稼ぎたいとかそういうの全然なくて、未来の自分を救うためだなってある時にわかったのだった。幸せな時間と感情を冷凍保存しておけば、いつでも解凍できる。テンションを上げたり保ったりするためにはかなり効率的な手段だ。ぐずぐずと気が向いた時だけ書いてきたから気づいた。そういう意味で世界の見方、変わったなって思う。

水曜日は、わたしのときめきの世界を広げてくれた、新しい扉をいくつも開いてくれた、大好きなお姉さんの婚約お祝いに行った。指輪を見せてもらって、2人で住むべくもうすぐ引っ越す新居の話を聞いて、もっとのろけてくれ〜〜ってせがんだ。幸せな人の近くにいるのはすごく気分がいい。新婚生活、ガンガン邪魔しにいきますね、と言って別れた。お泊まりも宅飲みもさせてもらったこの街、引っ越してしまったらもうきっとしばらくは降り立つことはないだろう。

土曜日は、大学時代に死ぬほどお世話になった先輩の結婚式だった。大学の先輩だけど多分出会いはインターネットだ。そういう人がたくさんいるのでいい環境だった。リアルとネットがどろどろに溶けてた。本名がわからないからFacebookを見ても誰だっけ?って一瞬迷っちゃう人が今もそこそこいる。大学時代に戻りたいとは1秒も思わないけど、あの空間でああいう風に過ごせたのはめちゃくちゃ幸せだった。

インターネットでしか生存を確認していない人たちとたくさん会ってしゃべって、すごく楽しかった。今何してるんですか。毎日インターネットしてるのは知ってます。

新郎新婦そっちのけで盛り上がってしまって反省した。でも楽しかった。今までたくさんいろいろいっぱい、ありがとうございました。彼女と付き合いだしてからツイート数は減った?増えた?とか数字で出されてておもしろかった。これからも監視していくぞ!!警備警備。

インターネットに住んでる人たちが、それぞれの世界でも楽しくたくましく生きている現実、最高。この世のどこかにはゴミみたいなインターネットもあるらしいけど、そういうところのことは知りません。わたしはわたしの見たいものを見ます。

なんだろうな、この気持ちは。みんな幸せでいてくれないと許さない。そういう感じ。エゴです。

がんばるぞ。海の向こうで誰が大統領になっても、自分のエネルギーの向ける先は別に変わらないもんね。明日もあさっても多分わりと幸せだと思う。

続きはWebで、明日もインターネットで。

2016秋クールのアニメ&ドラマがおもしろすぎてやっぱりテレビは最高

この秋はテレビが大豊作で働いてる場合じゃない!ってずっと予告して予言して心の準備をしていたけど本当に楽しくて幸せ!!自分史上過去最高に満足度が高い気がする。

というわけでこの幸せを残すために。毎日見るものがたくさんあるよ。

アニメ

ユーリ!!! on ICE


TVアニメ「ユーリ!!! on ICE」PV

えっこのまま毎週いくの?大丈夫!?と心配になってしまうくらい、とにかくアニメーションが美しくて生唾を飲む。長髪の男性が無条件に好きなので、Jr.時代のヴィクトルが死ぬほど好きです。抗えない。

世界のフィギュアスケート選手を巻き込んで人気を拡大しているグローバル感もすごい。世界女王であるところのロシアのエフゲニア・メドベージェワさんよ……。


話も毎週震えるくらいおもしろくて、うわ~~!!!ってなる。久保ミツロウ先生がネームを1話につき80ページ、全部で900ページ作ってる現実!!世界は最高!!

「ユーリ!!! on ICE」の脚本は、久保がネームと呼ばれるマンガの下描きの下描きで執筆。「私がお話をすべて描き下ろします」と語る久保は、公開されるものではないスタッフ向けマンガのネームを、トータルで900ページ描くという。1話につき80ページ弱となるため、週刊連載で例えると4話分の話が詰まっていると解説した。
「ユーリ!!! on ICE」テーマはGPシリーズ、久保ミツロウがネーム大量描き下ろし - コミックナタリー

コーチは愛しい弟子に強く強く思い入れているし、彼は憧れ続けてきた師匠への愛の告白のようなセリフを吐くけれど、愛って別に恋愛だけじゃないからな。第4話が本当に好きだった。自分を変えられるのは自分だけだ。どんなに周りに恵まれていても人に愛されていても。

3月のライオン

超いい。毎週幸せになる。漫画の再現度があらゆる意味で高くて、でもちゃんとアニメだからこその情感で、いろいろなレイヤで満足度が高い。

物語の最初から見て、そうだ、これは桐山くんが失ったものを取り戻す話なんだったってことを思い出した。それから、ひなちゃんの造形にアニメですごく納得した。桐山くんがコミックスの最新刊時点でああやって彼女に入れ込んでいる理由が。

まだまだ先が長そうなのでどんどん桐山くんに抱く思いが変わっていくと思うので楽しみだな。漫画では少しずつ重ねていったものが、アニメだと流れ込むように入ってくるのでしょうね。

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ


機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第二期 PV  MOBILE SUIT GUNDAM IRON-BLOODED ORPHANS

すでに2クール分やっていて、少しあいだがあいて、アニメ内の世界でもいくらか時が経っていて、3クール目。毎週めちゃくちゃにおもしろい。

毎週どんどん新しい展開があるのでドキドキするんだけど、しんどい。少年兵たちが戦い抜いて行き着く先が破滅と絶望の予感しかない。真綿で首を絞められていく感じを、闇の中を探り探り進んでいく感じを、少しずつ体験できるのすごくおもしろしんどいです。

10月の放送開始時点ですでに25話あったので布教しにくいんだけど、それでも本当におもしろいから、興味ある人はぜひ1話から追いついて…いや結構ボリュームはあるんだけど…!!と熱心にマーケティングしたくなる(してる)。

主人公の三日月オーガスが平気で人を殺すサイコパスなのがすごい。徹底的にわからない不気味さを感じせてくる。ブレーキかけずに戦闘にのめり込むから、私たちが知らない空白の時間のあいだに、右目が見えなくなって右腕の感覚を失っていた。壮絶。

ガンダム作品はじめてチャレンジしてるけどすごく好き……モビルスーツもめちゃめちゃかっこいい。最高。

響け!ユーフォニアム2


TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』 PV第2弾

本当に楽しみにしていた2期!高校時代のどうしようもない閉塞感を、世界の狭さを、たった一言ですべてがひっくりかえる真っ白な瞬間を、見せてくれてぞくぞくする。

第五回「きせきのハーモニー」、関西大会の演奏が素晴らしすぎてぼろぼろ泣いてしまった。3年生の先輩と過ごせる夏は1度しかないんだよね。ほんの十数分のために時間と魂を注ぎ込むなんて、今の自分には絶対できないエネルギーの使い方だ。

めくるめく女の子たちの衝突と執着は百合……は百合なんだけど、そう言っちゃう気持ちもわかるんだけど、わたしはなんとなく百合って言いたくない。友情でも愛情でもない、好意と嫉妬と羨望が全部混ざった感情、そのエロティックな感じ、正直身に覚えがありすぎる。あんまりフィクションめいた言葉にしたくない。


(これは1期だけど)

高校生の頃って18歳で人生終わる気がしてたよね。わかるわかる。今しかなかった。未来なかったわ。そういうシビアな視界を、京都アニメーションという会社はユーフォニアムでもFree!でも思い出させてくるので、好きです。

舟を編む


「舟を編む」 第3弾PV

丁寧に編まれていて幸福になる。言葉を扱う仕事は美しい。背筋が伸びる。仕事頑張ろう。

櫻井孝宏さんと神谷浩史さん空気の作り方がすごく上手で、だからこそ逆のキャスティングでも聞いてみたかった…と思わせてくる。いや今のままでも好きだけど!!林香具矢の坂本真綾さんも品と色気があってぽわ~~ってしちゃうし、実写映画では宮崎あおいだったことも合わせて日本酒をおちょこできゅっと煽りたくなるすばらしさ。

あと、岡崎体育「潮風」のOPがとにかく超超超好き…!本当にかっこよくて気持ちがいい曲!12月に発売するの楽しみ。

ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校


TVアニメ『ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校』PV 第2弾

引き続き、スタッフの愛が、すごい。漫画っぽさを生々しく残しながらアニメとしてキメのシーンを作ってくるのすごく上手で、見ててテンションが上がる。月島くん~~~!!!

原作実はここまで追いかけてないので普通に毎週ドキドキして見てる。読まなきゃ。

刀剣乱舞-花丸-


アニメ『刀剣乱舞-花丸-』 本PV

ストーリーの中でキャラクターは死なないけど、テレビのこちら側で毎週バタバタと人が死んでいく。気持ちがいいくらいだ。新規のイラストも、新しいボイスもこれまで全然なかったもんね、その状態に慣れてるのに30分動いてしゃべるんだもんね、供給過多だよね、その衝撃はいかほどか……。

特に今のところ中身はないんだけど(褒めてる)この超弩級巨大コンテンツが熱い声援と集めた軍資金で作品になっているというそのプロセスまるっと満足感があるので見る。来年にはまた違うスタッフ、違う視点のアニメがあるからそれも楽しみ。しかしですね、和泉守兼定に思った以上にきゃー!!ってなって自分でびっくりしました。わたし、あなたのことが、好きみたい……。

うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEレジェンドスター

びっくり、予告動画がない!笑

リアタイで見てぎゃーぎゃー突っ込みながら実況するのが楽しいタイプ。これだけたゆまず地道にコツコツとツッコミどころありまくる作品を作れるのマジですごい。とかいって何週かためてるから追いつかなくては……。

ドラマ

逃げるは恥だが役に立つ


[新ドラマ]新垣結衣×星野源の「恋ダンス」 先行映像 10/11スタート 火曜ドラマ 『逃げるは恥だが役に立つ』【TBS】

言うまでもなく!女性も男性も楽しく見ているのもすごくいい!ハッピー!

新垣結衣ちゃんも星野源さまもすっごくよくて、テンポもよくて、1時間全然飽きずに「楽しかったー!来週も楽しみ!」って爽やかな気持ちになれて、ああ、これが、テレビドラマの楽しさだよね、最高、幸せ、テレビ大好き!!!って気持ちがあふれる(話が大きくなりがち)。

わたしは原作がすごく好きで正直若干不安だったんだけど、こんなポップなキャストであの感じを?と思ったんだけど、ドラマはドラマのポップにアレンジされていて、これはこれで超超好き。

原作はもう少しシリアス…まではいかないけどぬるっと低体温で考えさせられるし胸に手を置いてしまうし、しかし本当にこっちも面白いから未読の人は読んでほしい。既刊8巻まで読んでもドラマのネタバレ!って思う要素はあんまりないと思う。結構変えてるし、温度も違うから。

このブログでも前に少し書いてる。同じ海野つなみさんの「回転銀河」も猛烈におすすめ。
mogmog.hateblo.jp

あと新規視聴者を獲得するのに親切なのもうれしい。来週5話なんだけど、3話までのダイジェストを45分でまとめた映像を公式で公開してくれてる…ありがたや…。


【公式】 1話~3話までを一挙にご紹介!! 話題のムズキュンシーンも満載!? 『逃げるは恥だが役に立つ』SPダイジェスト 【TBS】

「社会派ラブコメ」って言い方すごくいいよね。社会派とラブコメは両立するのだ。だって結婚は社会だもの。そしてそこに変な重たさや暗さがないのもまたいい。

黒い十人の女


黒い十人の女

「逃げ恥」はみんな見てる前提で、今期のドラマ、何がアツい?と聞かれたら即答しているのがこれ。めちゃくちゃおもしろい。すごく今っぽい。

船越英一郎演じるテレビプロデューサーを取り巻く10人の愛人たち……なんだけど、ドロドロというよりドンパチしていて強くて弱くてバカで賢くて全体的に湿っぽくなくて毎週ジェットコースターのようにいろんなことが起きる。脚本バカリズムすごい!!!上の動画にもあるけど、修羅場を示すのでお馴染みの「喫茶店で水をぶっかけられる」じゃなくてカフェオレとか日本酒とかで攻撃する。とにかく勢いがすごい。アクセル全開で頭から中央分離帯に突っ込む感じ。

突然教育番組風の演出があるのがげらげら笑う。逃げ恥の情熱大陸パロもそうだけど、こういうギミックほんと楽しいよね。しかも「おとなはどうして不倫してしまうの~~?」最高でしょ……。

あとグループLINEの使い方がすごくうまい。会話の速さとかスタンプの応酬とかいつのまにか大喜利みたいになるとか、リアルすぎて笑うしかない。「愛人、9人いるんだって」「何それ?」「9人て」「野球チームかよ」「監督なの?」って会話、めちゃくちゃ「わかる」。ハマるひとは1話でビビッとくると思うから、1話だけでもとりあえず見てほしい。

地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子


『地味にスゴイ!』第1話予告動画30秒

しかし何度言ってもどうしようもないのはわかっているのだが、「地味にスゴイ!」がメインタイトルなのわけわからない。校閲って言葉になじみがないからかもしれないけど、逆にこう言われてイメージつく……?いやいいけど……。わたしは頑なに校閲ガールって言っていくぞ!

石原さとみのお洋服がかわいくて見てるだけで楽しい。けど今期これだけ大忙しなのでだいぶ優先順位が下がってきてしまった。。いろいろツメが甘いフィクションぽいフィクションだし(つまりお仕事ドラマではない)1時間見てるとちょっと疲れてしまう。正直言って」地味にスゴイ」が今期一番似合うのは「舟を編む」ですね。

Instagramのフォロワー(14万)がTwitter(7万)の倍!っていうのがアツい。もうそういう時代なんだよな~~!めちゃかわいいです。

悦子のお洋服🍀 #地味スゴ #4話 #河野悦子

【公式】水ドラ『地味にスゴイ!』さん(@jimisugo)が投稿した写真 -


吉祥寺だけが住みたい街ですか?


吉祥寺だけが住みたい街ですか? #1

ごはん食べながらゆるゆる見られていい感じ。30分だし。何も起こらないのがいい。みんなにそれぞれの人生があっていい。東京大好き。雑司が谷、五反田、神楽坂、ときて、秋葉原

薫太が超かっこよくて、誰なのこのまた1人出現したサブカル女を殺す俳優は…と思ったら元ジャニーズの浅香航大さんでびっくりした。え、全然わからなかった。かっこいいです。

「プリンセスメゾン」も見たいんだけど今我が家はBSが見られないので未視聴。ある時期は本屋に行けば食べ物漫画ばかりだったけど、衣食住の「食」ブームが一通り終わって「住」にフォーカスしたものがどんどん漫画やドラマになってるのおもしろいね。

刑事ダン

テレ東の“低予算アイドルドラマ”(って公式が言ってる)。芸能界スキャンダルもテレビカルチャーもアイドルブームも2次元アイドルもまるっとパロったようなごちゃまぜ感がすごい。まだ2話しか見てないんだけどこれ話進むほうがおもしろい予感がするな……?


このキービジュアルからして心当たりがありすぎてにやにやしちゃいますね。そしてなんなの、デビュー曲のアニメPVって。Amazonプライムビデオで見られるのでだらだら流してる。

ドラマはネット配信してくれるのが最近はずいぶん多くなってきて、昔より「お願いとりあえず1話だけ見て!」ってできるようになってきてうれしい。すすめやすい。

は~~毎日楽しいね。テレビ、全然オワコンじゃないし大好き。楽しいものをたくさん食べて来週もがんばりましょう。

夏を求めて九州へ

夏が終わっていくことに耐えられなくて九州に5日間行ってきた。あまりに馴染みがない場所で、完全に知らない土地で新しいものをたくさん見た。想像力に乏しい傲慢な人間なので、こうやって少しずつ自分の身でリアルを獲得していくしかない。

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この夏は大学生か?ってくらい遊びまくったけど学生時代よりずっと楽しかった。全然お金がないのに時間だけがあって、未来が不透明な時代はいろんな面で結構しんどかった。今のほうがはるかに健全な精神で生きている。別に特別裕福なわけではないし、めちゃくちゃ浪費家だし、貯金を食いつぶしまくっているけど、それでも自分で稼いだ金を好きなように使えるなんて、なんて贅沢で幸せなことだろうと思う。大人、超楽しいからな。大学生の自分よ、ざまあみやがれ。

熊本・杖立温泉へ

最初の目的地、熊本・杖立温泉には福岡空港から黒川温泉行きの高速バスで向かって途中下車する。超有名な黒川温泉にはいずれ誰かと来そうだから、1人でぶらぶら行くので杖立にしてみた。まだ地震の影響で一部通行止めの区間があって、少し遠くの別のバス停で降りなきゃいけないんだけど、本当だったら2時間くらいで直通で着く。通行止めの道の片側車線は、着いた翌日の夕方に開通していた。


バスの乗り継ぎに失敗してタクシーを使ったんだけどいろいろおしゃべりできて楽しかった。あふれるくまモンのほかに、嵐の写真やステッカーで車内がデコってあってびっくりした。

運転手さんがファンなんですか?って聞いたら、小さい子が喜ぶから、ってにこにこしてた。このあたりのタクシーは近所の子どもを何人かまとめて乗せて習いごとの送り迎えとかに使われることも多くて、喜んでもらうためのことを考えたんだって。「タクシーも殺風景じゃさみしいもんね、差別化していかないとね~」と笑ってた。個人タクシーでもないのに自由だなあ。なんで嵐なのかっていうと、奥さんがファンらしい。

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お昼くらいに杖立に着く。暑い。ド平日の真っ昼間、誰もいない。

特に目的もないのでふらふらと散歩する。大きな川の両岸にレトロな温泉街が広がっていてすごくいい。どこにいても水の音が聞こえる。







温泉の蒸気を使って調理できる「蒸し場」がいくつもあって、地元の人も観光客も勝手に使っていい。野菜と卵といきなりだんごがセットになったセットを買ってやってみた。




楽しい。そういう蒸し物文化なので、いろんな旅館でプリンを作って「杖立プリン」として売り出してる。おいしかった。
杖立温泉について | 杖立温泉


少し食べて涼んだので散歩する。いい意味でたいしてすることもない。ぼーっと川を眺めたり入ったお店でおばあちゃんと話したりする。朝産んだばかりのチャボの卵をくれた。明日の朝卵かけごはんにするんだ。




最近Instagram検索を試していて旅館「米屋別荘」さんのロビーで、プリン味のかき氷が食べられるらしい、と見たので行ってみた。時間ギリギリだけど注文受けてくれた。プリンとラズベリーのハーフ&ハーフにする。

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こ、このボリュームで500円……!すごい!!!超~~おいしかった。宝石を砕くみたいな気持ちで食べた。氷にかけるからどうしても水分で薄まってしまうので、プリンをそのままシロップにしてはだめで、氷屋さんの「師匠」にアドバイスを受けながら何度も試作したらしい。卵でもミルクでもなくちゃんとプリンの味がするかき氷。旅館のなかだから、チェックイン・アウト業務が忙しい時間は提供してなくて、若女将がいる時だけで、出してる時間は12~14時半くらいかな、と言っていた。ちょっと遅めに行ったから、ダメな日に行ったらダメだったはず……ラッキーだった。

「泉屋」さんに泊まる。1人のお客さんて面倒だと思うけどすっごく親切にしてもらってありがたかった。旅程をあんまり決めてなかったので相談したり。鮎の塩焼き、人生で食べた鮎でいちばんおいしかった。

たまたまこの日女性の宿泊客がいなかったらしく、広い浴場もずっと貸し切りで贅沢の極みだった。身体を蒸気で蒸し上げるサウナ「蒸し風呂」がいくつも種類あって楽しい。箱の中で椅子に座って頭だけ出して、首から下をあっためるやつがめちゃくちゃ気持ちよかった。平日最高、夏の温泉最高!!!心ゆくまでお風呂に入って浴衣で夕涼みに川沿いをてくてく歩いて、窓際でぼんやりしたりする。大人になったなあ。

鯉のぼりが川にたくさんはためく5月がハイシーズンなんだけど、今年は地震でそれどころじゃなくて大変だったらしい。その景色もみたいな~。杖立温泉、お湯も景色ももすごくよかったからまた来たい。ぼんやりしに来たい。


麗しの熊本城

朝からまた温泉に入って、阿蘇経由で熊本市内に向かう。レンタカーとかで行けば多分2時間もかからないのですが今回はバスを使うので3時間くらいかかるルート。このエリアは大分との県境にあるので福岡からの方が近い。


始発の杖立から終点の阿蘇まで。お客さんあんただけになるかもしれんわ、と言われて、案の定途中で少し乗り降りがあったあとに山間を走るあいだのかなり長い区間はわたしと運転手さんだけだった。貸し切り。今このへんカルデラの縁のあたりね、あっちの山の茶色いところは地震で地すべりがあってはげた、とかいろいろ説明してくれる。緑も青も濃くてすごくいい。そっか写真撮りたいか、と見晴らしのよいところで一瞬止めて降ろしてくれた。普通の路線バスなのに……優しい。笑 1時間半くらい結構飽きずにしゃべったり写真撮ったり本読んだりしてた。

阿蘇から熊本への経路はバスと電車があるのだけど、肥後大津阿蘇間の電車はまだ止まっている。大変だ。地盤が違うだけで、物理的にはほんの少しだけしか離れていない場所でもずいぶん被害が違ったらしい。なのでまたバス。ちょっと眠る。


熊本にたどり着く。初めて来た。

熊本城、思ったよりずっと崩れていてびっくりした。立ち入り禁止の奥に崩れた石垣が見える。修復に20年かかる、ってそんなに?と思っていたけどこれは大変だ。中には入れなくて外側をぐるりと回って加藤神社の方にいくことはできる。


それでもきれいだった。ものすごく広いお城なんだってことを初めて知った。時間がたまたま合ったので「熊本城おもてなし武将隊」の夕涼みツアーに参加して解説してもらってたんだけど、一本柱を使った建築の内部が見られるのは今だからこそです、必ず元に戻りますからね、と言っててそうだなぁと思った。確かに断面図とかでなく、目の前で見られる。

武将隊の皆さん、軽口叩きながらツアーしてくれるし、写真撮影コーナーもあるし、ミーハー心が満たされた。加藤清正公が祀られている神社の解説を加藤家の家臣たちのみなさんにしていただくのはなんだかシュールでした(設定についてはぐぐってください)。

路面電車大好きだから熊本は楽しかった。あとは水前寺公園で庭園散歩したり(超いいお庭だった)

踊るくまモンとぐんまちゃんに遭遇して大興奮したりした。

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馬刺しを食べてレバ刺しを食べて熊本で熊本県菊池市の日本酒「美少年」を飲むぞっていう夢を叶えて、地酒がたくさん置いてあるバーで焼酎をいただいてくまモンとツーショを撮る。




中心部も地震でかなり揺れて、お酒のボトルも当然割れちゃってしばらく営業ストップした、って話を聞いた。今はずいぶん普通に見えたけど、しばらくは薄暗くてもやもやした不安が街を包んでいたのだろうか。浮かれて1人で何軒もはしごして(やりすぎた)いろんな人としゃべって楽しい夜だった。熊本に旅行に来ると、お金を使いすぎてもお酒を飲み過ぎても、復興支援、と思えることがわかった。重要な気付き!!消費を肯定できる!!いいところだったな~また来たい。

佐賀って何があるの

翌朝、佐賀・唐津に向かう。九州新幹線で博多に行くルートがいちばん簡単でびっくりした。そうなんだ!

というか九州新幹線思ったよりずっと安かった。熊本~博多間、ネットで買えば3600円なんだ……。1週間前までに予約したら2000円ちょっとになる。えー。安い。しかも40分で着く。近いなあ。福岡にコンサートやお芝居で遠征に来た時に熊本まで遊びに来るの全然できるじゃん。新しい知見を得た。

博多で東京から来た友人と合流して、一路唐津へ向かう。なんで唐津かって言うと……

おそ松さん」とのコラボイベントをやってたからです!!せっかくなので来た!笑 商店街のお店にもポスターがたくさん貼られていて、経済効果~~と思った。新聞にも度々取り上げられてる。コラボしたお店の来店者20倍……!
www.saga-s.co.jp





おそ松のイラストに使われてる「唐津くんち」のお祭のお衣装を展示してくれてるの超親切!と思った。かっこいい。

ショップに置かれていたノートを見たら、本当に北は北海道から南は沖縄まで全国のいろんなところから人が来ていてすごかった。あと、夏休みも終盤だからかもだけど、わたしがいた時間はスタンプラリーする中にちびっ子や家族連れも多くてにこにこした。国民的コンテンツ……。周りを見ても小学生の男の子女の子が普通におそ松さん好きなのですごいねえ。


ネットで知り合った友人が長崎から遊びに来てくれて、一緒に車で市内をまわった(初対面なのにお言葉に甘えまくるわたし……ありがとうございます)。呼子イカを食べたかったのだけど天候不良で食べられなくて悲しかった。

これまで1人でふらふら旅行してるのも楽しかったんだけど、文化財指定されてる美麗な近代建築の邸宅を見学しながら「矢口蘭堂の実家にお呼ばれした志村と安田ごっこ」をしたりするのもめっちゃ楽しかった。燃費がいいので何をしていても楽しい。

夜が更けても分かれずにコンビニでビールを買ってホテルでだらだらだら話せるの最高なので旅行好きだな~。次の日は大雨の福岡に行ったのですが割愛します!!(疲れた)ゴジラ展、超よかったです。


九州、確かに車がないと大変だけど、今回の旅はゆるゆる時間を溶かしたかったのでそういう気分で来る場所としてはすごくよかった。長い夏がついに終わってしまう。2016の夏は自分にしかわかりえないいくつかの理由で結構特別だった。明日からまた生きるぞ。

東京都庭園美術館「こどもとファッション」

東京都庭園美術館の企画展「こどもとファッション 小さい人たちへの眼差し」がすごくよかった。“「こどもらしさ」はこどもが作ったわけじゃない”ってコピー、超いい。子どもに着せていた服にフォーカスすることで、時代ごとに大人が子どもに向けていたまなざし、社会の中でどのような存在だったのかわかるのでは?という命題からしてすっごくいい。

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www.teien-art-museum.ne.jp


18~20世紀のヨーロッパ、明治・大正~昭和にかけての日本の子ども服の変遷から社会の変化や親子関係の変化を読み取ろうという視点で服や資料が並んでいる。庭園美術館さんは公式Twitterでたくさん発信してくれてて親切!ご興味ある方はTwitterをご覧ください、でこのエントリは実はもう用が足りる。コミケ期間中は、創作クラスタの皆様へ、というツイートもしていて、ちゃんと中に人がいる感じが素敵だ。


8月5日(金)は21時までの夜間開館(ありがたすぎる!うれしい!)で、お目当ては19時からのギャラリートークだった。展示内容はもちろんだけどお話もおもしろかったので自分のために簡単なメモ。

  • 担当学芸員さんは子持ちのママ。企画がスタートしたのは、島根・足立美術館学芸員兼ママ友から「こういうのやりたいと思ってる」と打診が来たこと(島根、神戸、東京の巡回展だった)。自分はファッションの専門ではないし、美術館自体も服飾について扱っているわけではないけどこの建物でやる企画として意義があると思ったので進めた
  • 子ども服は大人のものに比べてはるかに後世に残りにくいし、まとめて見られるチャンスが少ない。なぜなら、汚くボロくなることが前提なので捨ててしまうから。きれいなものは周りの誰かにお下がりとして譲る。きれいな状態で残ることはほとんどない(なるほど……)
  • 子ども服より残りにくいのは下着。これもなるほど…だった。そりゃ残しておきたくないよね
  • マリー・アントワネットとかロココ文化の頃は男の子も幼児期もドレスを着ていた。女子との違いはコルセットの有無。女子は2,3歳から小さなレディとしてウエストを締めあげられるけど、男子は5歳くらいで初めてパンツを履くことで“男性”になる。それまではある意味無性の存在
  • 女子ドレスはバックリボンで華やか、男子ドレスはベルト穴のようなものがウェストにある(あくまで展示してあったものの話)。あと見分けるポイントとしては袖口の折り込み方とか。大人の服をベースにアレンジしてる感じでおもしろい
  • ある時期までは子どもは大人のミニチュアでしかなくて、西洋の上流階級ではよだれを垂らしているような乳児でも金刺繍の豪華絢爛なドレスを召していた。すぐ汚くなっちゃいそうだ

  • 子ども服がジャンルとして登場したのはフランス革命
  • より着心地が良くて動きやすい自然体でいられるファッションが子どもから広がっていって、それから女性向けドレスとして古代ギリシャ・ローマ風の胸元からストンと落ちる、肌が透けちゃうような薄くて軽いシュミーズドレスの流行りにつながった(そうやって育った世代が大きくなって少しずつ常識が変わっていったって面もありそう)
  • 動きやすさ、を追求してスカート丈も子ども服が大人のものに先行して少しずつ短くなっていく。引きずるような長さからくるぶしくらいまで。ひっかかると危ないから
  • 19世紀半ばに子どもらしいファッションとしてエプロンドレスが流行る→「かわいいじゃん!」てなって大人でも流行る
  • スカート丈とかシルエットが変化していってもバックスタイルにリボンをつけるのは全体的に変わらないデザインでおもしろかった
  • 20世紀になると一気に「子ども服」っぽくなった気がした。多分ドレスから日常着に近くなる。絵本で見たことがあるようなファッションというか
  • コルセットを付けない文化も子どもから大人に広がっていく(定着したのは第一次世界大戦期くらい)
  • 昔から子ども向けのコスプレ衣装はある。20世紀前半?は軍服が人気。友達の誕生会にトルコやロシアの軍服風のお衣装でおしゃれする(かわいい)。今なら戦隊ヒーローとかプリキュアって感じなのかな

  • 日本ではやっぱり大きな転換は明治、和服から洋服へ
  • 明治初期のイラストを見ると男性はスーツやジャケットやハットの洋装、女性は大人は着物、子どもは洋服が多い。動きやすくてじゃぶじゃぶ洗いやすい素材。着物に小物で洋装をミックスさせてるのもとてもかわいい
  • 雑誌の定番付録の「すごろく」のイラストでファッションやおもちゃの変化が見える(楽しい!)
  • 「子ども」という概念は児童向けの雑誌や童謡の登場で強化された側面がある。大人とは明確に違う存在として扱われてることがわかる。無垢で自由ないきものとして礼賛的な視線が向けられてる。子ども観の変化と家族観(イエ制度ですね)の変化の重なり
  • 「子どもはこうあるべき」が少なからず現れているのが子ども服


展示の内容をまとめたプチ年表ももらえる。
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とてもおもしろかった。展示の命題としては大人の子どもに対するまなざし、なんだけど、ファッションの変化としては逆ベクトルの影響が大きいのが興味深かった。子ども服はコスト的にいろんなものにチャレンジしやすいのかな。小さいころの常識を持って大きくなっていくわけだから、世の中の「普通」の位置が変わっていくのもさもありなんだ。そんな視点で子ども服を考えたことがなかった。

庭園美術館は旧朝香宮邸のアールデコ様式の建物が本当に素晴らしく美しくセンスよく気持ちがいい空間なので、この中にちんまりとした服が並んでいる健やかさだけで、特別ファッションに興味ある人じゃなくても楽しめると思う。図録買えばよかったかな。8月31日までです。

白魔術の唱え方

前回のポケモンGOに関するエントリ……というかポエムに、予想の何倍もの反響があって驚いた。

日曜の夕方に突発的に「今夜ひま?」とLINEがきて飲むことになった友人と渋谷のはずれでおいしいものを食べてお酒を飲んでいい気分で帰ってきて、センター街の奥まった暗い所でミニリュウを捕まえて機嫌がよくて、家族のLINEはのどかにポケモンの話が続いていて、アルコールで高揚したふわふわとした気分にまかせて、日付がとうにまわってから一気にしたためたエモい文章だった。読み直すと微妙に恥ずかしいけど、とにかく幸せそうでいいな、よかったね、と翌朝の新しいわたしは思った。

mogmog.hateblo.jp

なんでブログを書いているんだろう、と考えると、どう考えても未来の自分のためだ。ほんの1日でも先の自分はいちばん近しい他人なので、その人に向けている。瞬間の幸福や興奮をスタンプして、いつでも取り出して袋入りのいちごみるくの飴みたいに舐められるようにしたい。元気がない時に読み直すものを、おいしくいただけるものをせっせと増やす。好きなものの話しかしないぞ、なぜならそう決めたので。不幸や怒りや苛立ちに割いているような時間はないのだ。


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最近の幸せそうな写真、ドイツで撮ったねことビール。


前クールにやっていたドラマ「重版出来!」、視聴率的には振るわなかったのかもしれないけど最後までわりと面白く見た。なんだけど、途中の何話かは一時停止したり早送りして気を紛らわすくらいムカついてしまった。インターネットが邪魔者で敵視されていることが本当に悲しかった。世界が作家と出版社(編集部)と書店で完結してて、ネットは本屋からビジネスを奪って、匿名でSNSで作家や作品を傷つけて貶めてる悪者だった。2ちゃんまとめやTwitterを模したようなビジュアルが幾度か出てきた。実体のないどす黒いモンスターとして。終盤で少し救われたけど、それでも自分はインターネットの住民なのでちょっとさみしかった。

……まあでも、そうなるのもわかる。現実世界では黒い感情ってそうそう露わにならないから余計に目立つよね。マイナス感情は「わざわざ言わなかったけど、やっぱりそうだよね」「私もそう思ってた」で他者を巻き込んで増幅しやすいのかもしれない(わざわざ言わなかったけど、って結構大事なブレーキだし「言わない」って1つのちゃんとした選択肢なのだけど)。なんでもいいから常に怒る対象を探している人、批判したりけなしたりすることで世界を一段上から見られている気になってしまう人、そこそこいる。そりゃあね、いますよ。自分の正義や快楽の為にそんなに汚い言葉を使ってしまうの?という人もいる。

でもね、インターネット、それだけじゃないんだよ! ちゃんと幸せになれる場所なの! 深夜にしたためた重たい愛のポエムが、ゲームフリークの増田さんに、ポケモンの中の人に届くんだよ!!!

すごいじゃん。ハッピーでしょ!! わたしはこっちを信じることにする。

何かを否定したりあげつらったり攻撃したりすることでアイデンティティを確立する黒魔術、それはそれで存在していいと思う。きっと何かの形で救われる人はいるのでしょう(いやもちろん、叶うならば違う形で承認されてほしいと思いますが)。

それはそれとして、わたしは闇雲に頑なに徹底的に白魔術を唱えることにした。対抗呪文。Twitterでもブログでもめちゃくちゃ好きなものの話をする。幸せな思い出を掘り返す。楽しいことを探すし、いっぱい教えてもらう。好きなアイドルの好きなところを何度も何度も手を替え品を替え示して、好きな漫画の新刊が出る度に超おもしろかった!って書いて、泣いてしまった小説に言葉を尽くして感謝をつづって、まぁ結局はあとで読み返す自分のためなんだけど、ついでに誰かにちょっとでも届けばいいと思う。なんかよくわからんけど楽しそうでいいな、ってくらいでいい。気を抜くと闇堕ちしそうなインターネットだから、幸せオーラ無駄にビシビシ出していきたい。日々いろいろあるけど、いいことばっかりじゃないけど、吐きそうにしんどいこと降り注ぐようにあるけど、いろいろすっ飛ばして幸福でいる努力。世界は最高!って毎日思って眠りたい。


という気持ちを、スピッツの新しいアルバム「醒めない」を聞いて強めていた。「子グマ!子グマ!」というふざけてる感すらあるタイトルの曲の「幸せになってな ただ幸せになってな あの日の涙がネタになるくらいに」という箇所が何回聞いても好き。そうだった、幸せにならなくては。未来の自分を幸せにするために、今日も明日も幸せに過ごさなくちゃ。「醒めない」、本当に素晴らしいアルバムなのでぜひみなさん聞いてください……草野マサムネと同じ時代に生きている幸せよ。。

闇にも悪意にも負けないインターネット白魔術、もっとうまくなりたい。

醒めない(通常盤)

醒めない(通常盤)


白魔術、という言い方はよく頭に浮かぶし結構気に入っていて、前にも似たようなことを書いていた。

20年ぶりの「ヒトカゲ、君に決めた」

1996年の夏、わたしは6歳で、小学1年生だった。

宿題やってくる、って親に言い訳しながら、友達の家や近所の公園や児童館にゲームボーイ片手に集まって、ポケモンのレベル上げにいそしんだり、近所の年上のお兄ちゃんにどうしてもここから先にいけないんだよ~って泣きついたり、同じジムリーダーに何回も挑戦したりしてた。チューペットをくわえて濡れた手でAボタンを押す、通路なんだからここで集まらないどきなさい、って怒られる。

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……まさか20年経って同じことをしていると思わなかった。思わなかったよ。
2016年7月22日、ポケモンGOが存在する世界がはじまった。


22日は朝から歌舞伎座で「七月大歌舞伎」を観ていて(市川海老蔵さん、本当に本当に格好よかった)午前中からリリースの喧騒は横目に見ていたけど、歌舞伎座の場内は集まる皆様の年齢層もあって至って静かだった。誰もポケモンゲットしようとしてなかった。今思えばぽっかり隔離されたようでおもしろかった。

終演して、公演の感想もそこそこに、一緒にいた同世代の友人と即インストールした。彼女は北海道で、わたしは神奈川で、まったく違うところで育ってきたけど、あの頃ポケモン151匹全部を空で言えた記憶は共通だった。「最初の子、どうした?ゼニガメにしようかな」「ヒトカゲ、迷わずヒトカゲ」ーーそうです、「ヒトカゲ、きみにきめた!」。20年前といっしょだよ!!


操作方法もよくわからないまま、銀座の街に出て2人で歩く。最初に向かったポケストップは「歌舞伎座楽屋口」だった。「え、ここでポケモンが出てくるわけじゃないんだ」「アイテムだけなんだね」「歌舞伎座、伝説のポケモンいそうなのに…」「楽屋口から出てきたらアツいのに!」

早く東京の街でポケモンに会いたい。そわそわする。「あ!!!コラッタだーー!!!!!」「え、どこ!!!」平日の銀座のどまんなかで昼下がりに騒ぐ女2人。銀座でネズミが出るっていうのが最高にクールだな、と思う。

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東銀座から銀座に歩く。死ぬほどポケストップがある。くるくる回るマークをタップして紫にひっくりかえしていく。ポケモンが出るたびに叫んで立ち止まるので全然進まない。

「ポッポ、AR画面で見ると普通に鳩」「ズバットきた!」「ラッタ怖いんですけど…コラッタちゃんはかわいいのに…」「パラスとかヒトデマンとかこんな都心の水がないところで生きていけるの!?」「ズバットまたきた」「イーブイかわいいいいいい!!!こっち向いて!!!」「キャタピー進化させたくなる」「……いや待って、またズバット?多くない??」

めちゃくちゃ楽しい。歌舞伎座から銀座・有楽町までの道なんて、もう何回も何回も歩いてるのに、ポケモンを捕まえながら歩くだけで景色が一変した。隣の子と一緒にわーわーできるのが本当に楽しかった。コイキングオニスズメ、ニドラン、ナゾノクサコダック、アーボ、トサキント……その熱意を違うものに向けてよ!という親や先生の声を聞き流しながらいつのまにか覚えていた151匹のポケモンの名前、今でもシルエットだけで出てくるくらい染み付いていることに驚いた。高校生の頃に学んだ元素記号も日本史の年号も覚えてなくても、6歳でインプットしたポケモンの名前は口に出てくる。ポケモンGOの爆発を前に「クラスで大流行してるのにせがんでもせがんでも親に買ってもらえなかった記憶を思い出して辛い」という気持ちもわかる。それくらい共通言語で、コミュニケーションだったなあって思う。

あの頃の未来が今だってこと、ゲームの中に繰り広げられていた体験が現実になったこと、すごくない?すごいよ。都会のど真ん中で泣きそうになった。駅前で、公園で、飲み屋で、みんなポケモンの話してる。隣に立ってる人の画面をそっと見て、ほんとにそこらじゅう、みんなやってるなあ、ってため息をつく。ポケモンがいっぱい描かれたハンカチを2枚お道具箱に潜めて、毎日休み時間に取り出して、友達何人かと囲んで自由帳に模写していた日々よ!

ポケモン世代ド真ん中だったこと、一緒に育ってこれたことは本当に幸運だった、と思ったの、今までも何度もあったけど、なんだか妙に誇らしい。愛して信じてきたものは嘘じゃなかった。バブルがはじけてから生まれたわたしたちは、ゆとり世代学力低下、終わらない不況、少子高齢化……って何十もの言葉でさんざんかわいそうがられてきたけど、わたしたちの側にはポケモンがあったんだよ。いいでしょ。楽しかったんだよ。

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わたしや弟が監視の目をかいくぐってポケモンぷよぷよゼルダやスマスマやFFをやりまくってる(遅くまで起きていると怒られるので超早朝にこっそり起きて時間を捻出する)のに眉をひそめて「いい加減にしなさいよ」と小言を言っていた母も、この騒ぎに乗じて、使い始めて数ヶ月のiPhoneポケモンGOをインストールしたらしい。「庭にゼニガメいた」と写真が来る、今何匹?と質問される、「レベル4になった。早くジムに行ってみたい」という報告が来る。なんだか、世界が、ぐるっとまわったと思った。少なくともわたしの世界は。こちら側へようこそ。来てみてくれてありがとう。


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きれいなお姉さんの手の内で泳ぐトサキント

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かわいい女の子とじゃれあうコダック

今夜も、知り合ってからもう人生の半分くらい経つ友人とお酒を飲んだあとに渋谷をきゃあきゃあ言いながらポケモン探しながら歩いた。なんて素晴らしい夏休みの夜!お酒が飲めるようになって、こんな時間にこんなにもうるさくて明るい場所を歩けるようになったけど、いろんな感情の源泉はもしかしたらあんまり変わってないのかもしれないな。

ゲームとしてはすぐに飽きるよ、とかそんなのはどうでもよくて、とにかく、こうやって地続きでポケモンを捕まえられる世界が実現したことそれ自体が幸運で幸福で楽しくて未来だってドキドキする。ハッピーだ。あの頃のわたしに教えてあげたい。いや、やっぱり教えなくていいや。君が白黒の小さな画面の中に見ている景色だって完成されてる。

大人になるって、長く生きるって悪くないなって思った。1度愛したものを、形を表現を変えてまた愛せる可能性があるってことなのか。TLで「まだ1匹しか捕まえてないけど、小学生の頃の『ポケモンやらせてもらえなかったわたし』が成仏した気がする」というツイートを見て、ああ、と思った。その時手が届かなくてももしかしたらいつか。

20年後、どこで何をしてるんだろう。どんな未来が現実になってるのだろう。世界は絶対に毎日進化してるって思うし、わたしはテクノロジーのちからを超超超信じてる。

無責任でひねくれてて煮え切らないぐずぐずシティロマンス「A子さんの恋人」が最高

ひねくれた大人の無責任シティロマンス恋愛漫画「A子さんの恋人」が本当に最高。トーキョーとNYをまたにかけて、阿佐ヶ谷や御茶ノ水台東区や京成ライナーやスタバやユザワヤ世界堂伊勢丹やイナムラショウゾウであれこれ。ひえ~都会的ですね~~~。1巻も大好きだったけど2巻がおもしろすぎて、あまりに好きすぎて読んで読んでと言って回っている。

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 2巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 2巻 (HARTA COMIX)

主人公の「A子」さんは漢字だと「英子」なんだけどこの表記になっていて、そこからしてすごい好き。「エイゴのエイに、子です」と言ったら「A子」って書かれたことがきっかけなんだけど、名前なんてそんなもんだよね、他人にとってはね、けいこちゃんゆうこちゃんも「K子」「U子」だね、ところで、あなたたちの名前の漢字ってどんなんだっけ?という話から始まる(「10年来の友達の名前、普通忘れないよね?」と返すけいこちゃん)。

A子さんは3年間NYに住んでいて帰国したばかりなのだけど、3年前に微妙に別れきれていない元カレ(と言い張っている)と、NYに置いてけぼりにした現恋人(ということに一応なっている)がいて、それぞれ仮の名前として“別れたつもりの男の名をつまびらかにしてもしかたがないので”「A太郎」と、対比として日本語ペラペラインテリメガネで性格の悪い「A君」と置かれていて、それで話が進む。2人の合間でふわふわしているのを周りでやいのやいのして応援したり引っ掻き回したりする友人たち。三角関係と言っていいのか微妙なくらい、あるのかないのかよくわからないぐだぐだで煮え切らない優柔不断さ。

クズい男が出てくる漫画は山ほどあるけど、A子さんは女性の側もクズとも言い切れないそこはかとないダメダメさ、どうしようもなさ、問題を先延ばしにしたがるそれあかんやつや!感があるのがいい。けいこちゃんもゆうこちゃんもそれぞれ歪んだ心根を持っていていい。無自覚に末恐ろしい女と、性根が悪い男と、性格が悪い男と、性格の悪い女たちの話。

……って書くと、あーはいはい最近流行りのアラサーものね、って感じだけど、「アラサーあるある」っていうより、人間あるあるっていうか寓話的な作りでおもしろい。いちいち出てくるエピソードが妙に生々しいのに現実的ではなくて、生活感があるのにファンタジック。そして端々のセリフのひねくれ感にやにやする。


1巻も好きだったんだけど2巻でさらにぐわっとおもしろくなった。それぞれのキャラクタのいいところと悪いところがどんどん見えてきて思い入れが高まっていく。A子さんはますますダメダメだなあ!!けいこちゃんいろいろがんばれ。ゆうこちゃん強い、わかるよ。A太郎、お前は本当に悪い男だよ……。A君性格悪いだけじゃなくてかわいいところあるじゃんか~~!!好き!!!

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しかしねえ、A太郎ね。ほんとにね。随所随所で、こ、こ、こいつ……!(好き!!)ってなってしまう。作者の近藤聡乃さんが1巻発売時のインタビューで言ってるここの一節が大好き。

──A君だけが悪くないということは、A太郎は悪いんですか?
悪いと思います。生まれたときから悪い。女の子をとっかえひっかえしていること自体はそんなに悪くないと思うんですが。

──親しくもない家にあがりこんで、馴染んじゃう、という才能が悪いと。

やっぱりお正月にぜんぜん知らない人の家に堂々と行って、馴染んでカルタして盛り上がってちゃっかり終電で帰るっていうのは悪質だと思います。人としてやっちゃいけないことなんじゃないかと思う(笑)。

natalie.mu

A君とA太郎とどっちと付き合いたい!?(きゃーきゃー!)みたいな感じではなく、とにかく後先をどうしても考えちゃうオトナの人間同士の距離感の話なので、恋愛漫画ではありますが自分の胸に手を当てて日頃の行いについて考えさせられる。人はみんなどこかダメ人間なわけじゃないですか。自分の中のクズみについて考えさせられるよ。

というわけで続きがすっっごく楽しみ!!!どうして電子書籍になっていないんだ~~!!悲しい。
近藤聡乃さんはNY暮らしのエッセイ漫画「ニューヨークで考え中」もおもしろいです。変に海外暮らし!という色味ではなくて、淡々と生活の話。
Webで連載読める。→ ウェブマガジン「あき地」

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

  • 作者:近藤 聡乃
  • 発売日: 2015/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


去年読んだ恋愛漫画まとめでもこの作品については書いてた。
mogmog.hateblo.jp


以下、わたしとわたしのタイムラインで見かけた感想たちです。











追記:2016/11/20

3巻が出ました。最高でした。


https://twitter.com/roserougeparfum/status/798548971069140992

https://twitter.com/sarirahira/status/798505762586664960