インターネットもぐもぐ

インターネット、おなかいっぱい食べましょう




白魔術の唱え方

前回のポケモンGOに関するエントリ……というかポエムに、予想の何倍もの反響があって驚いた。

日曜の夕方に突発的に「今夜ひま?」とLINEがきて飲むことになった友人と渋谷のはずれでおいしいものを食べてお酒を飲んでいい気分で帰ってきて、センター街の奥まった暗い所でミニリュウを捕まえて機嫌がよくて、家族のLINEはのどかにポケモンの話が続いていて、アルコールで高揚したふわふわとした気分にまかせて、日付がとうにまわってから一気にしたためたエモい文章だった。読み直すと微妙に恥ずかしいけど、とにかく幸せそうでいいな、よかったね、と翌朝の新しいわたしは思った。

mogmog.hateblo.jp

なんでブログを書いているんだろう、と考えると、どう考えても未来の自分のためだ。ほんの1日でも先の自分はいちばん近しい他人なので、その人に向けている。瞬間の幸福や興奮をスタンプして、いつでも取り出して袋入りのいちごみるくの飴みたいに舐められるようにしたい。元気がない時に読み直すものを、おいしくいただけるものをせっせと増やす。好きなものの話しかしないぞ、なぜならそう決めたので。不幸や怒りや苛立ちに割いているような時間はないのだ。


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最近の幸せそうな写真、ドイツで撮ったねことビール。


前クールにやっていたドラマ「重版出来!」、視聴率的には振るわなかったのかもしれないけど最後までわりと面白く見た。なんだけど、途中の何話かは一時停止したり早送りして気を紛らわすくらいムカついてしまった。インターネットが邪魔者で敵視されていることが本当に悲しかった。世界が作家と出版社(編集部)と書店で完結してて、ネットは本屋からビジネスを奪って、匿名でSNSで作家や作品を傷つけて貶めてる悪者だった。2ちゃんまとめやTwitterを模したようなビジュアルが幾度か出てきた。実体のないどす黒いモンスターとして。終盤で少し救われたけど、それでも自分はインターネットの住民なのでちょっとさみしかった。

……まあでも、そうなるのもわかる。現実世界では黒い感情ってそうそう露わにならないから余計に目立つよね。マイナス感情は「わざわざ言わなかったけど、やっぱりそうだよね」「私もそう思ってた」で他者を巻き込んで増幅しやすいのかもしれない(わざわざ言わなかったけど、って結構大事なブレーキだし「言わない」って1つのちゃんとした選択肢なのだけど)。なんでもいいから常に怒る対象を探している人、批判したりけなしたりすることで世界を一段上から見られている気になってしまう人、そこそこいる。そりゃあね、いますよ。自分の正義や快楽の為にそんなに汚い言葉を使ってしまうの?という人もいる。

でもね、インターネット、それだけじゃないんだよ! ちゃんと幸せになれる場所なの! 深夜にしたためた重たい愛のポエムが、ゲームフリークの増田さんに、ポケモンの中の人に届くんだよ!!!

すごいじゃん。ハッピーでしょ!! わたしはこっちを信じることにする。

何かを否定したりあげつらったり攻撃したりすることでアイデンティティを確立する黒魔術、それはそれで存在していいと思う。きっと何かの形で救われる人はいるのでしょう(いやもちろん、叶うならば違う形で承認されてほしいと思いますが)。

それはそれとして、わたしは闇雲に頑なに徹底的に白魔術を唱えることにした。対抗呪文。Twitterでもブログでもめちゃくちゃ好きなものの話をする。幸せな思い出を掘り返す。楽しいことを探すし、いっぱい教えてもらう。好きなアイドルの好きなところを何度も何度も手を替え品を替え示して、好きな漫画の新刊が出る度に超おもしろかった!って書いて、泣いてしまった小説に言葉を尽くして感謝をつづって、まぁ結局はあとで読み返す自分のためなんだけど、ついでに誰かにちょっとでも届けばいいと思う。なんかよくわからんけど楽しそうでいいな、ってくらいでいい。気を抜くと闇堕ちしそうなインターネットだから、幸せオーラ無駄にビシビシ出していきたい。日々いろいろあるけど、いいことばっかりじゃないけど、吐きそうにしんどいこと降り注ぐようにあるけど、いろいろすっ飛ばして幸福でいる努力。世界は最高!って毎日思って眠りたい。


という気持ちを、スピッツの新しいアルバム「醒めない」を聞いて強めていた。「子グマ!子グマ!」というふざけてる感すらあるタイトルの曲の「幸せになってな ただ幸せになってな あの日の涙がネタになるくらいに」という箇所が何回聞いても好き。そうだった、幸せにならなくては。未来の自分を幸せにするために、今日も明日も幸せに過ごさなくちゃ。「醒めない」、本当に素晴らしいアルバムなのでぜひみなさん聞いてください……草野マサムネと同じ時代に生きている幸せよ。。

闇にも悪意にも負けないインターネット白魔術、もっとうまくなりたい。

醒めない(通常盤)

醒めない(通常盤)


白魔術、という言い方はよく頭に浮かぶし結構気に入っていて、前にも似たようなことを書いていた。

20年ぶりの「ヒトカゲ、君に決めた」

1996年の夏、わたしは6歳で、小学1年生だった。

宿題やってくる、って親に言い訳しながら、友達の家や近所の公園や児童館にゲームボーイ片手に集まって、ポケモンのレベル上げにいそしんだり、近所の年上のお兄ちゃんにどうしてもここから先にいけないんだよ~って泣きついたり、同じジムリーダーに何回も挑戦したりしてた。チューペットをくわえて濡れた手でAボタンを押す、通路なんだからここで集まらないどきなさい、って怒られる。

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……まさか20年経って同じことをしていると思わなかった。思わなかったよ。
2016年7月22日、ポケモンGOが存在する世界がはじまった。


22日は朝から歌舞伎座で「七月大歌舞伎」を観ていて(市川海老蔵さん、本当に本当に格好よかった)午前中からリリースの喧騒は横目に見ていたけど、歌舞伎座の場内は集まる皆様の年齢層もあって至って静かだった。誰もポケモンゲットしようとしてなかった。今思えばぽっかり隔離されたようでおもしろかった。

終演して、公演の感想もそこそこに、一緒にいた同世代の友人と即インストールした。彼女は北海道で、わたしは神奈川で、まったく違うところで育ってきたけど、あの頃ポケモン151匹全部を空で言えた記憶は共通だった。「最初の子、どうした?ゼニガメにしようかな」「ヒトカゲ、迷わずヒトカゲ」ーーそうです、「ヒトカゲ、きみにきめた!」。20年前といっしょだよ!!


操作方法もよくわからないまま、銀座の街に出て2人で歩く。最初に向かったポケストップは「歌舞伎座楽屋口」だった。「え、ここでポケモンが出てくるわけじゃないんだ」「アイテムだけなんだね」「歌舞伎座、伝説のポケモンいそうなのに…」「楽屋口から出てきたらアツいのに!」

早く東京の街でポケモンに会いたい。そわそわする。「あ!!!コラッタだーー!!!!!」「え、どこ!!!」平日の銀座のどまんなかで昼下がりに騒ぐ女2人。銀座でネズミが出るっていうのが最高にクールだな、と思う。

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東銀座から銀座に歩く。死ぬほどポケストップがある。くるくる回るマークをタップして紫にひっくりかえしていく。ポケモンが出るたびに叫んで立ち止まるので全然進まない。

「ポッポ、AR画面で見ると普通に鳩」「ズバットきた!」「ラッタ怖いんですけど…コラッタちゃんはかわいいのに…」「パラスとかヒトデマンとかこんな都心の水がないところで生きていけるの!?」「ズバットまたきた」「イーブイかわいいいいいい!!!こっち向いて!!!」「キャタピー進化させたくなる」「……いや待って、またズバット?多くない??」

めちゃくちゃ楽しい。歌舞伎座から銀座・有楽町までの道なんて、もう何回も何回も歩いてるのに、ポケモンを捕まえながら歩くだけで景色が一変した。隣の子と一緒にわーわーできるのが本当に楽しかった。コイキングオニスズメ、ニドラン、ナゾノクサコダック、アーボ、トサキント……その熱意を違うものに向けてよ!という親や先生の声を聞き流しながらいつのまにか覚えていた151匹のポケモンの名前、今でもシルエットだけで出てくるくらい染み付いていることに驚いた。高校生の頃に学んだ元素記号も日本史の年号も覚えてなくても、6歳でインプットしたポケモンの名前は口に出てくる。ポケモンGOの爆発を前に「クラスで大流行してるのにせがんでもせがんでも親に買ってもらえなかった記憶を思い出して辛い」という気持ちもわかる。それくらい共通言語で、コミュニケーションだったなあって思う。

あの頃の未来が今だってこと、ゲームの中に繰り広げられていた体験が現実になったこと、すごくない?すごいよ。都会のど真ん中で泣きそうになった。駅前で、公園で、飲み屋で、みんなポケモンの話してる。隣に立ってる人の画面をそっと見て、ほんとにそこらじゅう、みんなやってるなあ、ってため息をつく。ポケモンがいっぱい描かれたハンカチを2枚お道具箱に潜めて、毎日休み時間に取り出して、友達何人かと囲んで自由帳に模写していた日々よ!

ポケモン世代ド真ん中だったこと、一緒に育ってこれたことは本当に幸運だった、と思ったの、今までも何度もあったけど、なんだか妙に誇らしい。愛して信じてきたものは嘘じゃなかった。バブルがはじけてから生まれたわたしたちは、ゆとり世代学力低下、終わらない不況、少子高齢化……って何十もの言葉でさんざんかわいそうがられてきたけど、わたしたちの側にはポケモンがあったんだよ。いいでしょ。楽しかったんだよ。

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わたしや弟が監視の目をかいくぐってポケモンぷよぷよゼルダやスマスマやFFをやりまくってる(遅くまで起きていると怒られるので超早朝にこっそり起きて時間を捻出する)のに眉をひそめて「いい加減にしなさいよ」と小言を言っていた母も、この騒ぎに乗じて、使い始めて数ヶ月のiPhoneポケモンGOをインストールしたらしい。「庭にゼニガメいた」と写真が来る、今何匹?と質問される、「レベル4になった。早くジムに行ってみたい」という報告が来る。なんだか、世界が、ぐるっとまわったと思った。少なくともわたしの世界は。こちら側へようこそ。来てみてくれてありがとう。


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きれいなお姉さんの手の内で泳ぐトサキント

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かわいい女の子とじゃれあうコダック

今夜も、知り合ってからもう人生の半分くらい経つ友人とお酒を飲んだあとに渋谷をきゃあきゃあ言いながらポケモン探しながら歩いた。なんて素晴らしい夏休みの夜!お酒が飲めるようになって、こんな時間にこんなにもうるさくて明るい場所を歩けるようになったけど、いろんな感情の源泉はもしかしたらあんまり変わってないのかもしれないな。

ゲームとしてはすぐに飽きるよ、とかそんなのはどうでもよくて、とにかく、こうやって地続きでポケモンを捕まえられる世界が実現したことそれ自体が幸運で幸福で楽しくて未来だってドキドキする。ハッピーだ。あの頃のわたしに教えてあげたい。いや、やっぱり教えなくていいや。君が白黒の小さな画面の中に見ている景色だって完成されてる。

大人になるって、長く生きるって悪くないなって思った。1度愛したものを、形を表現を変えてまた愛せる可能性があるってことなのか。TLで「まだ1匹しか捕まえてないけど、小学生の頃の『ポケモンやらせてもらえなかったわたし』が成仏した気がする」というツイートを見て、ああ、と思った。その時手が届かなくてももしかしたらいつか。

20年後、どこで何をしてるんだろう。どんな未来が現実になってるのだろう。世界は絶対に毎日進化してるって思うし、わたしはテクノロジーのちからを超超超信じてる。

無責任でひねくれてて煮え切らないぐずぐずシティロマンス「A子さんの恋人」が最高

ひねくれた大人の無責任シティロマンス恋愛漫画「A子さんの恋人」が本当に最高。トーキョーとNYをまたにかけて、阿佐ヶ谷や御茶ノ水台東区や京成ライナーやスタバやユザワヤ世界堂伊勢丹やイナムラショウゾウであれこれ。ひえ~都会的ですね~~~。1巻も大好きだったけど2巻がおもしろすぎて、あまりに好きすぎて読んで読んでと言って回っている。

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 2巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 2巻 (HARTA COMIX)

主人公の「A子」さんは漢字だと「英子」なんだけどこの表記になっていて、そこからしてすごい好き。「エイゴのエイに、子です」と言ったら「A子」って書かれたことがきっかけなんだけど、名前なんてそんなもんだよね、他人にとってはね、けいこちゃんゆうこちゃんも「K子」「U子」だね、ところで、あなたたちの名前の漢字ってどんなんだっけ?という話から始まる(「10年来の友達の名前、普通忘れないよね?」と返すけいこちゃん)。

A子さんは3年間NYに住んでいて帰国したばかりなのだけど、3年前に微妙に別れきれていない元カレ(と言い張っている)と、NYに置いてけぼりにした現恋人(ということに一応なっている)がいて、それぞれ仮の名前として“別れたつもりの男の名をつまびらかにしてもしかたがないので”「A太郎」と、対比として日本語ペラペラインテリメガネで性格の悪い「A君」と置かれていて、それで話が進む。2人の合間でふわふわしているのを周りでやいのやいのして応援したり引っ掻き回したりする友人たち。三角関係と言っていいのか微妙なくらい、あるのかないのかよくわからないぐだぐだで煮え切らない優柔不断さ。

クズい男が出てくる漫画は山ほどあるけど、A子さんは女性の側もクズとも言い切れないそこはかとないダメダメさ、どうしようもなさ、問題を先延ばしにしたがるそれあかんやつや!感があるのがいい。けいこちゃんもゆうこちゃんもそれぞれ歪んだ心根を持っていていい。無自覚に末恐ろしい女と、性根が悪い男と、性格が悪い男と、性格の悪い女たちの話。

……って書くと、あーはいはい最近流行りのアラサーものね、って感じだけど、「アラサーあるある」っていうより、人間あるあるっていうか寓話的な作りでおもしろい。いちいち出てくるエピソードが妙に生々しいのに現実的ではなくて、生活感があるのにファンタジック。そして端々のセリフのひねくれ感にやにやする。


1巻も好きだったんだけど2巻でさらにぐわっとおもしろくなった。それぞれのキャラクタのいいところと悪いところがどんどん見えてきて思い入れが高まっていく。A子さんはますますダメダメだなあ!!けいこちゃんいろいろがんばれ。ゆうこちゃん強い、わかるよ。A太郎、お前は本当に悪い男だよ……。A君性格悪いだけじゃなくてかわいいところあるじゃんか~~!!好き!!!

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しかしねえ、A太郎ね。ほんとにね。随所随所で、こ、こ、こいつ……!(好き!!)ってなってしまう。作者の近藤聡乃さんが1巻発売時のインタビューで言ってるここの一節が大好き。

──A君だけが悪くないということは、A太郎は悪いんですか?
悪いと思います。生まれたときから悪い。女の子をとっかえひっかえしていること自体はそんなに悪くないと思うんですが。

──親しくもない家にあがりこんで、馴染んじゃう、という才能が悪いと。

やっぱりお正月にぜんぜん知らない人の家に堂々と行って、馴染んでカルタして盛り上がってちゃっかり終電で帰るっていうのは悪質だと思います。人としてやっちゃいけないことなんじゃないかと思う(笑)。

natalie.mu

A君とA太郎とどっちと付き合いたい!?(きゃーきゃー!)みたいな感じではなく、とにかく後先をどうしても考えちゃうオトナの人間同士の距離感の話なので、恋愛漫画ではありますが自分の胸に手を当てて日頃の行いについて考えさせられる。人はみんなどこかダメ人間なわけじゃないですか。自分の中のクズみについて考えさせられるよ。

というわけで続きがすっっごく楽しみ!!!どうして電子書籍になっていないんだ~~!!悲しい。
近藤聡乃さんはNY暮らしのエッセイ漫画「ニューヨークで考え中」もおもしろいです。変に海外暮らし!という色味ではなくて、淡々と生活の話。
Webで連載読める。→ ウェブマガジン「あき地」

ニューヨークで考え中

ニューヨークで考え中

  • 作者:近藤 聡乃
  • 発売日: 2015/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


去年読んだ恋愛漫画まとめでもこの作品については書いてた。
mogmog.hateblo.jp


以下、わたしとわたしのタイムラインで見かけた感想たちです。











追記:2016/11/20

3巻が出ました。最高でした。


https://twitter.com/roserougeparfum/status/798548971069140992

https://twitter.com/sarirahira/status/798505762586664960

伊豆諸島の真ん中 式根島に行ってきた(後編) #tokyo島旅山旅

旅行記の続きです。前編はこちら。
前回のあらすじ:真冬の伊豆諸島・式根島に週末旅行に行くことに。調布空港から新島へ飛行機で、新島から船で式根島に渡ってきました。目的地である式根島に到着し、一通り観光したんだけど、この後大変なことに……?
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気まぐれな土曜日

朝から活動してたのでまだお昼前。近くの商店でパンを買ってきて、部屋で食べながら、電話しました。
……昨日船着場で会ったお兄さんに。「電話して」って言われたので本当にする。

「あ、どうも、昨日船のところで会ったのですけど」
「お~! 来る?」
「えっいやお、忙しくない時で、お時間ある時でいいですよ!」
「いつでもいいよ、何分後?軽トラで行くわ」
は、はやい。話がめっちゃはやい。

昨日の時点で泊まってる場所は言ってあったので超スムーズ。ドキドキ。

そして数分後、着いたのが、



いちご畑!!!

1月の伊豆諸島でいちご狩りするとは!!ビニールハウスの中はあったかい。

とちおとめ、超おいしい。

連れてきてくれた綾真吾さんは、すこし前に脱サラして式根島に移住してきて農業をスタートしたそうで、今はいちごと烏骨鶏飼育をしているんだって。快くいろいろ案内してくださって本当にありがとうございます……ドラクエ感。

いちご畑専用の畝を作る機械があるってことを初めて知ったよ。その機械に描かれてるイカしたうさぎ。うねパンチャー!

就農して日が浅い中で何を栽培するか、いろいろ考えていちごに行き着いたのは、伊豆諸島……に限らず離島地域はどこもそうなのだろうけど、どうしても物資の輸送に日数がかかってしまうから新鮮なものの割合が少なくて、子どもも大人も喜んで食べてくれるものは何かな~と思ったことだそうで。確かにいちごって、目の前にあるだけでテンションあがる。ちょっと特別な感じがする。濡れたような赤が宝石みたいできれいだ。

とりあえず試験的にやってみたので今はハウスは1つだけど、土壌的にも大丈夫そうと分かって、来年は数倍に拡大する予定らしい。そうかぁ農業を始まるって何を育てるかから自分で調べて考えるってことなんだ!当たり前のことだけどそうなのか~!と思った。伊豆諸島で苺農家初めてかもね、と言っていた。初めて、すごい。あとちょっとで今年のシーズンは終わりです。


続いて烏骨鶏も見せてもらう。
うこっけい、って聞いたことはあるけどどんな鳥だか知らないぞ。
※当然ですがここから鳥注意(一応)


鳥だ。


か、かわいい……。真っ白でふわふわ。肉も骨も内蔵も黒いんだって。ひえ~~!顔も黒い。愛嬌がある。全然目を合わせてくれない!!笑

なぜそんなにぎゅうぎゅうに詰まっているのか君たちは?(一番右)

すみっこに卵が!

烏骨鶏は普通のニワトリとくらべて産卵数が5分の1くらいで、まず卵をとれる数が少ない。サイズは小さめだけどビタミンやミネラルの栄養価がすごく高いことで有名な高級食材で、東京のデパートだと1個500円とかで売ってます。高級だね。

綾さんの両親も式根島に住んでいて、もともとお父さんが趣味で飼っていて、あれよあれよと(?)増えていったそうです。有機飼料を使って、広々した場所で散歩させながらのびのび育っているうこっけいちゃんたち。


(勝手に写真を組み合わせてアニメーションを作ってくれるGoogle Photoの機能が役立っている)

ひとしきり遊んだあとに、また車へ。卵を持って。
「食べたい?」「食べたいです!」「じゃあ食べよう」

朝行った場所にまた戻ってきました。24時間無料開放の雅の湯!

温泉につけてる、ということはまさか。
……そうです温泉卵!!!
ただでさえおいしい烏骨鶏の卵の温泉卵なんておいしいに決まってますよね?楽しみすぎる。

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足湯でくつろぎながら待つ。

できた!開封の儀。




………め、め、めちゃくちゃおいしい。甘い。びっくりした。黄色みは強くないけど味は濃い。しかも海直結の温泉だから自然に塩味がつくのです。えっおいしい……。調子に乗って2,3個食べてしまった。これごはんに乗せたい!!お醤油垂らしたい!!!それか夏海水浴したあとにそのままファストフードとして食べたい!!疲れた身体に温泉卵!

烏骨鶏の卵は直販でお願いすることもできます。
ちょ~~~おいしいのでおすすめです。そりゃスーパーの普通の卵よりは全然高くなってしまうけどおいしいです。
……でもどうやって頼めばいいのかな?笑 確認してまた追記します。

海と火星

予想外の方法で温泉を堪能して、今度はまた違うところへ。今度は島の西側。

神引展望台にまた来たよ。きれいだな~~!!

ハイキングコースがある。



柵とかまったくない完全な崖。怖い怖すぎる。


映画のロケができそうな荒涼とした大地。スター・ウォーズだ!!(朝スター・ウォーズの話をいっぱい聞いたので引きずられている)

謎の展望デッキ。何も展望できないけど空は見上げられる。


空が青いし広い。

インターネットせずに黙々と過ごした。頭すっきりする。海の真ん中に島ができて、人が住んでるのすごいな……ってなんだかやけに大きいものに思いを馳せる。


超初級ハイキングコースを終えて、綾さんとお別れ。大変お世話になりました。
せっかくなので雅湯に入って帰ろう。

雅湯は水着着用で入ります。手前の小屋が更衣室になっていて自由に使ってOK。この時は早い夕方だったけど、ちらほら地元の人が来ていた。

正直行く前はまぁ冬場だし…水着も面倒だし…と思っていたのですが、朝来て見てたらこれは絶対にハッピーすぎると思って簡単に鞍替えしたのであった。

ずーーーっと海をながめてぼんやりしてるの幸せだった。頭がからっぽになる。することがないので波の数を数える。風が吹くとすこし冷たくて肩までつかる。熱くなってきたら腕を岩のへりにのばす。なんだかいろんなことをぐるぐる考えてるような考えてないような気になる。茶色いお湯をつまさきでかきまわす。両手でお湯をすくってちょっとずつ落とす。もぐりたい気持ちになって、いやいやここは海じゃない、って正気に返る。

夏は海で泳いでそのまま入れるんだな~最高じゃないですか?絶対最高だよ。すこしずつ日が傾いていくのを眺めた。

おみやげを買った。ふわふわした島のり、ごはんの上に乗せてお醤油をすこし垂らすとそれだけでおいしい。

帰って夕ごはん。「ラ・メール SHIKINE」さんは夕食が、和食と洋食で選べる。1日目はお魚とか食べたいなと思って和食にしたのだけど、洋食がとっても素敵なので超超おすすめです。

……コースなの!!アンティパストからデザートまで1皿ずつ出てくるコース!えーイタリアンのコースなんてびっくり!という声を聞きたくて準備しているんだって。確かに夏休みに行くような民宿やペンションてどこもなんとなく似たような食事だし、そういう気持ちでいるからこんな感じだとびっくりする。小さいお子さんがいるお家とか、なかなかゆっくりこういう形で食べられるチャンスも少ないかもしれないし、ちょっと特別な夜になりそう。

しかも全部、すごくおいしい。食べ過ぎてしまった、1人で。

デザートとコーヒーを食しながらオーナーさんとおしゃべり。

「明日大丈夫ですかね……」
「どうだろうね~~ギリギリ大丈夫、かもしれないし、大丈夫じゃないかもしれない」
「こわいよー!それっていつ決まるんでしょうか」
「朝にはわかるから、ごはん食べにここに来てくれた時に」
「……はい」

ええとですね、実はこの日超巨大寒波が西日本に近付いていたのでした。1月の後半の週末です。前週は東京が大雪で、よかった今週じゃなくて!と安堵していたのですが、まさか2週連続でスーパー悪天候に見舞われると思いませんですよ!

伊豆諸島の周辺は冬場は海がしけることが多くて、ひどい時は週に半分くらい船が結構になるレベルだとか。天気がよくても風が強いとだめ。春から夏にかけて以外はわりと不安定で、島を出ようにも出れない、だって船が出ないから、ということになります。今日は天気……よかったんだけどな……。今のところ風そんなにないんだけどな……。これは祈るしかありません。

悲しみの日曜日

朝起きた瞬間わかりました。

あ、これダメだわ。

とにかく超風が強い!!!部屋の前の木が吹き飛びそう!!気が動転してちゃんとした写真を撮ってなかったのでこんなのしかないですが、ブレまくっているのがわかるでしょうか。こんな風にお部屋は離れとして並んでいます。

というわけで、本当は式根島から11時半頃にフェリーに乗って、約8時間かけてのんびり東京に戻ってくる予定だったのですがそんなわけにいかなくなりました。そして日曜日の船はこの時点ですべて欠航が決まったので必然的に帰国(とあえて言おう)は最短月曜日になります。しかも、明日も帰れない可能性もあるっちゃある……という……。


……いや、考えても仕方ないのでさっくりと明日とりあえず午前休でお願いします!がんばって帰ります!と連絡してフェリーじゃなくて飛行機の手配をすることに頭を切り替える。

しかもねー、天気はめっちゃ晴れてるんですよ。朝8時のひんやりした空気。確かに波が高い。



次の予定は24時間後、なので黙々と部屋で過ごす。持ってきた本を読んだり、Kindleで漫画を読んだり、ある意味ものすごく休日らしい休日を過ごした。なんだかんだ東京にいると予定を入れてしまうから。あんまりインターネットもせずにiPhoneを手放して(今回の旅の目的としてネット解毒も頭の片隅にあった)ぼんやり過ごすのは案外悪くなかった。だってどこにも行けないんだもの。ここから出られないの、ちょっと楽しい。吹きすさぶ風の音にすこし怯えながら、誰にもじゃまされずに昼間から眠った。

夕方には温泉に行った。屋内の温泉施設「憩の家」は200円。これも地鉈温泉と同じ泉質。当然島のみなさんは顔見知りなので話しかけられる。帰れなくなったんですよね~って笑う。
式根島温泉 憩いの家|施設案内|東京都新島村

ひまを持て余しているのでぷらぷらと歩いて帰る。さっきまで一緒にお風呂に使ってたおばあちゃんが「あら、あなた歩いてくの?湯冷めしないようにね」って言いながらバイクで横を走り抜けてく。かっこいい。

式根島には1箇所だけ信号がある。信号がないと子どもが信号を知らないまま大きくなっちゃうからね、と言われて、なんだか特別な感じがした。みんな知ってる赤と青。


夕ごはんはまた洋食にしてもらった。今日はお魚だ。エビとあさりのチーズクリームソースのパスタが超おいしかった。ハッピーな日曜日。


明日は帰れるかしら。また眠る。

決戦の月曜日

あ、大丈夫な気がする。

起きたらあの凄まじい風は止んでて安心した。7時に朝食を食べて、大丈夫だって!と教えてもらって、7時40分の船を目指す。

とってもお世話になりました。次は夏に来な!って言われる。本当にそうです!!ここは夏来るところ!絶対天国!夏場は高速ジェット船という選択肢もあって、それだと竹芝桟橋からなんと2時間20分で来られる。速い。

船で20分くらいで新島へ。通勤通学で使ってる人も結構いる。天気よい。

本当は9時40分の飛行機で帰りたかったんですが満席だったのでロビーで待っていることにしたので早く来た。……んだけど、まぁもともと19人乗りだし、月曜の朝だしそりゃ無理だよね!ということで午後まで待ちぼうけ。でも、朝イチの飛行機で帰れば10時20分には調布に付くので、午前中には戻れるってことですね。土日フルで楽しんで月曜朝に帰るプランもありかも。

お察しの通り暇なので、暇にまかせて散歩に出た。
……海が凄い。


めちゃくちゃ青い。

すごいグラデーション。



石のどうぶつがたくさんいた。


数十分ふらふらして空港へ戻る。寒い寒い。必要なメールはiPhoneで返せるし便利な世の中ですね。
さあ、帰るよ!!


晴れていたので遠くに富士山も見えた。小さな飛行機で高度も低めなので、結構ずっと景色を見ていられて楽しい。

東京だ!

14時半過ぎに到着!は~~よかった!!


というわけで、2泊3日……の予定が不慮の事故によって3泊4日になった式根島への旅、これにて終了です。
式根島は見るものがたくさんあって時間が足りない!というタイプの“観光地”ではないけど、島ならではののんびりした感じとか、とにかく広い海と広い空を見てぼんやりするじわじわ幸せな感じとか、他のどこにもなさそうな温泉とか、そういうものが楽しめてすっっごくいいところでした。何度でも言うけど、夏!夏に行きたいよ!!笑

今回私が参加したPR施策「tokyo reporter 島旅 & 山旅」のサイトでは東京の山村や離島への旅行記が他にもいろいろ読めます。
http://tokyoreporter.jp/tokyoreporter.jp

Kindleで幻冬舎本がセールだそうで

幻冬舎電子書籍セールだそうで!!!買ったり迷ったり読んでほしかったりするものを探したよ。25日まで。

Amazon.co.jp: [電本フェス]幻冬舎ほぼ全作品40%OFF(2/25まで): Kindleストア
今週のKindleセール!幻冬舎・翔泳社ほぼ全作品対象の大規模セールや司馬遼太郎『坂の上の雲』など文藝春秋合本版半額ほか - きんどう


さて、最初は森博嗣大先生様から。

神様が殺してくれる

神様が殺してくれる

タイトルと表紙がとても好き。パリやミラノが舞台でこういう空気感、森博嗣作品だとちょっと珍しい気がする。読みたかったけどスルーしてたのでこの機会に買った。

これも珍しい雰囲気。私小説タッチ。

作家の収支 (幻冬舎新書)

作家の収支 (幻冬舎新書)

めちゃくちゃに筆が速い人が自分の作家としての収支をさらけ出すってだけで超読みたい。書誌情報だけでぞくぞくする。森先生はすごい。この人が、自称引退済みだという現実。

1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である――総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学


科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)

科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)

この書評がとってもいい。「個人ではなく、みんなで築きあげていく、その方法こそが科学そのものといって良い」「科学者は、すべてが説明できることを願っているけれど、すべてがまだ説明できていないことを誰よりも知っている」。
seisin-isiki-karada.cocolog-nifty.com


幻冬舎セールとはいっさい関係ないんですが、新レーベル講談社タイガで刊行がはじまったシリーズがミステリィじゃなくSF、人工知能と人工細胞と生きていかざるを得ない永遠に命を永らえさせられる人間の世界、人工細胞とアンドロイドが当たり前になって人間とヒューマノイドがどこまでもあいまいになっていく近未来の話でアツいのでおすすめです。真賀田四季とかミチルとか出てきて過去作品の読者としてもぐっとくる。1作目は得意のダブルミーニングだし、2作目は「魔法の色を知っているか?」っていうタイトルが本当に好き。


小説。

有頂天家族、まさか続刊が出るとは!!とびっくりしただけで読んでいなかったので買った。アニメも好きだったな~。しかし森見登美彦作品を読むと自分の文章のリズムまで変わってきて気持ちがいい。タブレットスマホの画面でテンポよく読むのが楽しいよ。

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

「わかるー、共感ー、なんて軽々しく言えないしこの本読んでそう簡単に言うやつは信用しない。男も恋愛も結婚も出てくるけど、ただもうどうしようもなく、ここで生きてくしかない女のあるいは哀しくも永遠に女子でしかない人たちのお話だった。女女女。」「しかし、わたしは東京“しか”知らないのだよ、それはある意味なんて貧困なのでしょう」「灰色で砂っぽくてそこかしこが錆びたロードサイドの変わりばえしない景色の中にあるでかいショッピングモールと隣の廃墟の落書きに色付けられた生活を知らない」――と2012年の私が書いている。

わたしの神様 (幻冬舎単行本)

わたしの神様 (幻冬舎単行本)

「私には、ブスの気持ちがわからない。」って書き出しの破壊力よ。
cakesで冒頭が読める。
私には、ブスの気持ちがわからない。|わたしの神様|小島慶子|cakes(ケイクス)

凍りついた香り

凍りついた香り

「今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた」。小川洋子の冬の湖みたいな文章はいつまでも特別な感じがする。

アムリタ (上)

アムリタ (上)

ハゴロモ

ハゴロモ

ああ、吉本ばななを読み漁った日々よ……私の血と肉。アムリタ、人生でいちばん読んだ本の1つだ。結構幻冬舎から出しているのでいろいろある。


とっても面白くてわかりやすい。素粒子と量子物理学と宇宙!超ミクロと超巨大!村山先生の本は全部好き。

言わずと知れた。タイトルからしてかっこいいし、中身もかっこいいし、シェフは戦士だし、働くということはすごい。


貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎単行本)

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎単行本)

読みたかったけどなんだかんだ買ってなかったのでこの機会に。ほんとだよ、我々はいつまで女子でいられるのか。女子会していられるのか。

中身漫画なんですね。ちょっと読みたいけどどうしよう。

こないだ出たばっかりのもセール!これタイトルがタイトルだけど中身は凄まじい切れ味なので、なんか、うん、「恋より楽しいことがある」みなさんは読んだらいい。電車の中で広げるのは微妙にはばかられるので電子書籍だとよさそうだね!!
書評が面白かったので借りて読み始めて今まだ数十ページなんだけど「私も合コンさしすせそ的なものを実践しながら『こんなことしなきゃモテないなら死んだほうがマシだ』と思っていました」「恋愛はキノコ狩りに似ています。素人はいざ森に入ってもどこにどんなキノコが生えているかわからない」「見た目を変えるのはメンタルを変えるよりも手っ取り早い」「自意識過剰だからといって銃殺されるわけじゃない」とかロックな文言が並んでて、いいです。なんかこう羅列すると、あ~そういう本ね~って感じに思えるけど、実際読んだ方が、なんだろう……勢いあるしごめんなさいって気持ちになる。ほんとなんなんだろうね、人生にとって、恋愛って、マジで……。
www.excite.co.jp


幻冬舎セール、前回は逃していたので今回はちゃんとラインナップながめられてよかった。
Kindleは幸福な悪魔の道具!


またもやセールは関係ないですが歪んだアラサーもそうじゃない人も読むべき漫画「波よ聞いてくれ」、2巻もアクセル全開で中央分離帯をぶっ壊しそうなグルーブ感で最高でした。

伊豆諸島の真ん中 式根島に行ってきた(前編) #tokyo島旅山旅

伊豆諸島・式根島に行ってきた。東京都の観光事業「tokyo reporter 島旅&山旅」で行かせてもらいました。
いろいろあったけど(後述)楽しかった!青い海と白い砂浜とまっすぐ伸びる水平線のすごく美しい場所だった。好きになった。次は夏に来たい。
http://tokyoreporter.jp/


レポーターとして東京の離島に行きませんか?と声をかけてもらって、いくつか選択肢があった中で式根島を選んだのは全然知らない場所だったから。絶対自分じゃ行かないところにせっかくなら……と思って決めたのでした。

伊豆諸島と言っても結構広いわけで、式根島は東京から南に約160キロ、大島よりは遠くて、八丈島よりは全然近い、一般に「伊豆諸島」と言われる範囲のちょうど真ん中あたりにあります。1周12キロの小さい島(ということをもちろん調べて知ったわけですが)。
http://shikinejima.tokyo/index.html

式根島

いくつか行く方法はあるのですが、今回は行きは飛行機、帰りは船の予定を組んだ。飛行機!? ってなるけど、調布に飛行場があるんですね!!知らなかったよ!!
というわけで旅は調布飛行場からスタート。19人乗りのちっちゃい飛行機に乗ります。すでに楽しい。



12:45に出発して13:25に新島に着く。式根島へは新島から連絡船で渡ります。

夕方の船まで時間があったので、だらだらと空港から海沿いへ歩く。この日はめちゃくちゃ天気がよくて気持ちいい。海が超青くてまぶしいくらいだ……。新島はサーフィンで有名な場所なんですね。しかし冬場なのもあって何もやってない。お店も全然あいてない!お昼の時間は終わっている!暑い日だったのでアイスを食べる。海沿い歩きながら食べるアイス超最高だ。




港から10分くらい歩いたところに「湯の浜露天温泉」ていう24時間無料で入れる場所があるらしいので行ってみる。「古代ギリシャをモチーフにした建物が目印です」ってなんだ……?と思ってたけど行ったらわかりました。かっこいい!!

平日の昼間ですが人がいた。横に足湯があるのでくつろぐことにする。地元のおばさまが1人でいらしたのでこんにちは~って声をかける。こんな時期に珍しいわねえ、あはは、ちょっと旅行で、そうなの、足湯ちょっとぬるいでしょ、いつもはもう少しあったかいのよ、海の様子で変わるの、そうなんですか、今日はとってもお天気がいいから気持ちいいですね。浜辺できれいな貝をひろってきたところ、というので見せてもらって、少しもらう。かわいい。帰って瓶に詰めよう。




しばらく過ごして船着場へ。結構人がいる。式根島と新島は2島1村で「新島村」なので役場とかはこっちにあるんだって。あと、式根島には高校がないので、通学に船を使うらしい。


港で明らかに旅行~って感じで写真撮ったりしていたら何しにきたの?って話しかけられた。特に何が目的ってわけじゃないんです、初めて来ました、みたいに話していたら、そうか、ひまだったら電話しな、って連絡先を教えてもらう。ドラクエみたい。

着いたらもう夕方。「ラ・メール SHIKINE」に泊まります。すっっごく豪華なお食事を出してもらう!!赤イカおいしい。

ご機嫌な土曜日

式根島観光を始めるぞ。オーナーの齋藤さんに朝ごはんを食べながら相談して、車でぐるっと一周ハイライトしてもらうことに。シーズンオフの1人客にとっても親切にしてもらってすっごくありがたかった……! 式根島は小さい島ですがアップダウンがかなりあるので歩いて回るのはちょっと大変です。普通に来たら自転車(電動だと楽)を借りるのがよさそう。

まずは島の北側、泊海水浴場から。写真を見ればわかりますが、崖の下に砂浜が広がっていて、入江がきれいに視界にはいってめちゃくちゃテンション上がる!!海だーー!!と騒いでいたら昨日から海見てるでしょ!と笑われた。式根島は島の地質で砂浜が真っ白なのもリゾート感たっぷりだ。プライベートビーチみたい。これ、海水浴できる時期に来たら絶対気持ちいいな……。パラソルの下で1日中波の音を聞きながらごろごろしたい。Kindleで本を読みたい。

神引展望台。高低差が少ない式根島でいちばん高いところ。階段を少し登ってたどり着く。リアス式海岸のゆるやかで力強い曲線がすごくきれい。海が青い……。晴れてれば富士山まで見えるらしい。写真より実際見たほうが飛び込んでくる全部が濃い。


朝早くて風が強くて寒かったけど一気に目が覚めた。ここが東京都内だなんて!こんな場所があるんだな~。

オーナーさんも世界中いろいろ旅したけどここの景色が一番好き、と言っていた。季節によって、時間によって、全然表情が違う、毎日違うって。そうだろうなぁ。上の2枚はすこし違う時間。夏は夏でキラキラしてるんだろうな~~!

石碑に白く積もっているのは塩なのだそうで、舐めてみな、と言われてすこしすくてぺろっとした。しょっぱい。


南の方にも展望台がある。潮の流れなのか日の当たり方なのか、青の色がずいぶん違う。

白い砂浜の海岸。

神様が降りてきそうな空。

ご利益がありそうな霊言を感じる木。





もうすぐ小学生になる男の子も一緒に案内してくれた。式根島のちびっこたちは冬もビーサンらしい。小学校に入ったら靴を履く!笑 林の中の階段も急な坂道もざくざくのぼる、走る。
最近はスター・ウォーズにハマってて、エピソード7をお正月に東京で見たそうで(もちろん島に映画館はない)。シリーズでどれが一番好きなの?と聞いたら、うーん、ファントム・メナスかな~!と言っていた。かっこいい。好きなキャラはヨーダ!と意気揚々と教えてくれたけどちょっと前までダース・ベイダーだったじゃん、とパパに突っ込まれていた。かわいい。

地を裂く温泉

式根島は、24時間無料で入れる露天温泉がなんと3つもある。何より地鉈温泉のインパクトがすごい。「地面を鉈で切り裂いたような地形から地鉈温泉と名づけられた」。

このね、一番下に温泉があります。



温泉だ!!(落としそうで怖くてうまくカメラが持てない!!)


見てわかる通り、目の前が海!!どう見ても海直結なので潮の満ち引きで温度が変わる。なので熱いかもしれないしぬるいかもしれないし……で結構難しいらしい。あと当然また登って戻らなきゃいけないので結構過酷!笑 え~でもここから夕日見たりしたら絶対気分いい。朝なのですこし曇っているけど、天気がよくなると、もっとピカピカに夢のような場所になります。

「泉質は硫化鉄線。温度は80度と高く、神経痛、リュウマチ、胃腸病、冷え性等に効能がある。別名『内科の湯』とも言われている」(公式サイトより)というとおり、昔から湯治に使われていたらしい。歴史がある温泉なので、行きすがら壁のように立ちそびえる岩に文字が彫り込んであっておもしろい。「昭和○年 宏」とか、刻んであって時の流れを感じる。ずっと残ってるのすごい。

2つめは足付温泉。松の生えた海岸沿いの小道をすこし歩いて行く。

……温泉です!!!普通に海かと思うけど温泉!潮だまりかと思うと手を付けるとあったかくてびっくりする。

完全に岩場ですね!ちょっと怖い。こちらも潮の具合で温度も水位も変わります。あと、さっきはお湯が赤褐色だったけどこっちは透明。こんなに近いのに違う泉質なんてちょっと不思議だね。

3つめは松が下雅湯。足付温泉の手前に、地鉈温泉のお湯を引いて作られた人口の温泉で、地元の人はこっちに来るらしい。駐車場も近くて入りやすい。脱衣所もシャワーもあるよ!あと足湯もある!


ここももちろん海の目の前です、め、めちゃくちゃ入りたい……!
ここには後でもう1回、楽しいことをしに来ます。温泉といえば、という楽しいこと。


さて、だいたい島のハイライトはしてもらったのでここからは後半戦。
なんですが、書きたいことがまだまだあるので前後編に分けよう……。続きは別のエントリで。このあとちょっと、大変なことになります。

軽率にファンレターを書く活動の成果

去年の後半は、好きですって気持ちをちゃんと伝えようというのを意識していて、それが精神衛生上すごくよかったという話。
好きなものに好きだと言うのは、何よりまず自分のためなのであった。


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銀座・伊東屋の竹尾見本帖、死ぬほど紙があってめっちゃ楽しい(本文とあんまり関係ない)


きっかけは、友達と昔懐かしインターネットの話をしていて盛り上がって勢いでWeb拍手を設置したことだった。エントリも書いたし最初は結構押してもらって、Twitterでリプライするようなことでもない、メールで伝えるようなことでもないちょっとした言葉がたくさん届いてうれしかった。その昔、管理人さんに小説やイラストの感想送るのすっごく楽しかったなって思いだした。拍手レスする仕組みをまったく用意していなくてすみません。こっそり見てます!!!

これね↓

mogmog.hateblo.jp


おもしろかったのは、Free!聖地巡礼鳥取岩美町にいったよ、の記事を読みましたって人がすごい多かったこと。ワンピース歌舞伎の記事はたくさん言及してもらえたけど逆に拍手コメントは全然なかった。やっぱりWeb拍手を知ってる人、押したくなってくれる人って、昔の同人サイトを通った人なんだな~!って思ったのでした。考えてみたら当たり前だけどおもしろかったです。数ヶ月経ってからどなたかのツイートでバッと拡散したことがあって、更新したタイミングと少し離れていたのもあるかもしれない。

話が逸れた。わたしは別にPVのために何かを書いているわけではないので、普段からそんなに数字は意識していないんだけど、それでも誰かが読んでくれているのがきちんとわかる手応えはうれしい。いや、そういう意味では数字でわかる部分はあるんだけど、自分に向けて書いてくれたものは少し温度感が違ってうれしい。受け手でいると、どうせたくさんのNの中の1人だって思うじゃん?そんなことないんだよね。Twitterの海に流れてる感想を拾い上げて見せてもらうのもすごい楽しいけど、誰か1人を想定してしたためた言葉ってちゃんと1対1になるんだな~ってなった。

何かの折に友人知人の創作業に関わってる人たちに聞いたファンレターの数がわたしが思ったより少なかったということもあった。それくらいなのか!と思う程度の数でびっくりした。確かにお手紙書くのって、それなりの労力いるもんね。もちろんジャンルによってお手紙を書く機会の多さとか、どれくらい一般的な活動かって全然違うからなんだけど。

それから、ステージに立つ人が身内にいる友人が、「公式アカウントへのファンの人のリプライは全部見て、こういうことしたら喜んでくれるんだな~!って思ってる」「わたしはやってないけどお母さんは本人の名前でエゴサしてると思う笑」と言ってたこともあった。そうかぁこうやってわたしがTwitterやブログでしたためている愛は、彼ら彼女らだけじゃなくてご家族に届いている可能性も十二分にあるんだ、と思った。すごいな、それ。「(任意のアイドル)を産んでくれたお母様に感謝しなきゃ……」とか伝わってる可能性あるってことですね。

というか、コンテンツを作る人やそれに関わる人達は多かれ少なかれリサーチしていると思うから、これまでもなるべくひっかかるように作品名とか作者名とか明記してきたところはある。届けばいいな~くらいは思ってたけどそれくらいだった。手紙やメール、今までもきっかけがあれば書いてたけど、意識的にハードルを下げたのでした。好きだけど書いたことない人たち、考えてみたら意外にいっぱいいた。


で、10回くらいは手紙やメールを書いた気がする。宇宙でいちばんすきなAKBの子、めちゃくちゃ応援しているNMBの子、めちゃくちゃ頑張ってほしいジャニーズの子、彼女が輝いている今この時に好きになれて幸せ!っていう宝塚の生徒さん、好きすぎていろんな人にすすめまくってる作品を描いてる漫画家さん、手が震えるくらい大好きな二次創作の小説を生み出してくれたひと……とかとか。小心者なので、お返事を期待しているように見えてしまったらやだな、と思ってあんまり住所も書かずにだったけどこれってどっちの方がいいのだろうか。。

ファンレター書きやすい環境を作るコツは自分の中で締め切り作ることだってことがわかった。いつか書こう~って思ってても案外面倒くさくてやらない(少なくともわたしはそうだった!!)(横着)舞台だったらお手紙入れる箱あるし、コミケだったら直接渡せるし、CDやDVD出たらその感想を書くぞって思えばいいし、そういう点を自分で決めていくことだなって思った。しかし即売会で手紙渡すのってめちゃくちゃ緊張する。下手したらアイドルの握手会より全然緊張するってことがわかりました。新しい発見。

あーこれ使いたい!っていうレターセット買いに行ったり、ペンの色選んだり、ステッカーを貼ったり、結構楽しい。特定の対象に直接伝えたいことって、友達とわーきゃー好き勝手話してる時と違う温度感になって自分でもびっくりする。そして恥ずかしい。でも愛の在処を言葉にして自覚するのってなんだかすごく満足感がある。そうかそういうところが好きだったんだ、応援してたんだ、めちゃときめいてたんだ…!って書きながら気付く。

女の子アイドルのファンの男性に聞いた初めてファンレター書いた話もよかった。好きな子が好きなディズニーやサンリオのキャラクターのラブリーなレターセットを買いに行くところから初体験だし、大の男がそのかわいらしい紙に向かって文字を綴るんだもんな、端から見たらなんだか凄いよね、と言われて、人生にはいろんな階段が!と思った。愛だなぁ。

週刊誌ならアンケートを送れ!単行本買うなら初週に買え!アニメならBlu-ray買え!みたいな「応援してるなら○○しろ」みたいなの、逆説的に「そうじゃない人」を罪深く見せるようであんまり好きじゃないんだけど、その点ファンレターってマジで自分事、誰に頼まれたわけでもないこちらからのベクトルでしかないから変な貢献感がなくて個人的には気が楽だった。

トップアイドルから同人作家から、友達とお仕事付き合いのあいだの人まで、いろんな人に向けてだったから返事は来たり来なかったりだったけど、もちろん来るとうれしいけど、自分としてはどっちでもよかった。というかそこの自意識をうまくやっていく訓練だった。例えばアイドルなんてみんな手紙たくさんもらうもんな~あくまでワンオブゼムだものな~どれくらいありがたいのかな~と思ってた節もあるけど、書いてみてわかったのはもはや相手に届いてほしいわかってほしいというより、自分の背筋を伸ばすためって感じだった。応援してます!!!という気持ちをダイレクトに伝える手段としてはやっぱり一番大きいな、って思える(自分が思えることが重要)。

というわけで今年もファンレター、ファンメールをしたためていく活動をしていければいいなって思っている。「ファンレターを書く」って思考回路が1回できると、折に触れて、あ、書きたいな、ってなる気がする。軽率は力なり……。

あと、好きなものの話をいろんなところでたくさんするぞ。わたしは、わたしが好きなものを、違う誰かに自分よりもっと好きになってほしい。